79万8000円(2026年8月頃発売予定)

KOVE「350RR」は、予価79万8000円で2026年8月に日本発売予定と発表された。

カラーはホワイトのみというシンプルな構成で、装飾よりも性能を優先したモデルであることを明確に示している。

この価格帯に収まりながら、世界選手権で勝利したマシンをベースとするという事実は、従来の300〜400ccクラスの価値基準を覆すものだ。単なるエントリースポーツではなく、“本物のレース直系”をそのまま市販化した存在である。

WSBKチャンピオンマシンそのものの系譜

350RRの最大の特徴は、2025年WSBK-SSP300でチャンピオンを獲得したレーシングマシンのベースモデルという点。

2023年から参戦を続け、「勝つため」に進化し続けた344cc並列2気筒エンジンは、レースフィールドで磨き上げられた実戦仕様。そのままEURO5+規制をクリアし、日本市場へ導入される。

つまりこのモデルは“レーサーレプリカ”ではない。世界のトップカテゴリーで実際に勝利した車両の技術が、そのまま落とし込まれたリアルレーシングマシンである。

47.5PSを叩き出す344cc高圧縮ツイン

搭載されるエンジンは344cc水冷並列2気筒DOHC。高圧縮比12.5:1という設計により、1万1500rpmで47.5PSというクラス最高レベルの出力を発揮する。

このパワーは単なるスペック競争の結果ではない。中高回転域でのクイックレスポンスを重視し、レースにおける立ち上がり加速を最優先に設計されたものだ。

そのため、アクセル操作に対する反応は鋭く、軽量な車体と相まって鋭烈な加速感を生み出す。公道においても、その特性は“軽さと瞬発力”という形で体感できる。

164kgの軽量ボディとレーシングシャシー

車体重量は164kg。この軽さは、レースを前提とした設計思想の象徴である。

フレームにはダイヤモンド・デュアルウィング形状を採用し、軽量化と高剛性を両立。アルミハンドルバーとスチールプレススイングアームの組み合わせにより、優れたハンドリング特性を実現している。

サスペンションはφ37mm倒立フォークとリアショックを組み合わせ、レースからのフィードバックによって高いトラクション性能を確保。

さらにφ320mmシングルディスクブレーキ、ABS、トラクションコントロールを標準装備し、ストリートからスポーツ走行まで幅広いシーンで安定した制御性を発揮する。

350RRは、価格・スペック・背景のすべてが常識外れのバランスで成立している。79万8000円という現実的な価格、164kgの軽量ボディ、47.5PSの高出力、そしてWSBKチャンピオンという実績。そのすべてが一台に凝縮されている。

このモデルが示すのは、“レースマシンと市販車の境界が消えつつある”という事実だ。350RRは単なる新型スポーツではない。サーキットで勝つために作られた思想そのものを、ストリートに持ち込んだ一台である。