連載

新車コクピット解説

「i-Cockpit」は2010年のコンセプトカー「SR1」まで遡る

コンセプトカー「SR1のコクピット
コンセプトカー「SR1のコクピット

本来であれば、最新モデルであるプジョー「3008」や「5008」をピックアップしたいところだが、取材の都合で今回は弟分のプジョー「2008 GT HYBRID」を取り上げる。現行の2008は、2020年9月に日本発売で発売され、2023年10月にマイナーチェンジを受けている。

プジョー2008 GT HYBRIDのインパネ
プジョー2008 GT HYBRIDのインパネ

最近のプジョーは、「i-Cockpit」と呼ぶインパネを採用している。その原型は、2010年に「ジュネーブモーターショー」で披露されたコンセプトカーの「SR1」だ。上下リムを水平にした異形(小径)ステアリングの上からのぞくメーターなど、現在の「i-Cockpit」の元になっているのが分かる。

プジョー「i-COCKPIT」の変遷

2008 GT HYBRIDのインパネ

市販車としての初出は、2012年の初代「208」。現在ほど小径ではないものの、ステアリング上からのぞく高位置メーターが採用された。2013年の2代目「308」では、ハードスイッチを減らし、ステアリングはリム上側は丸型だが、下側は水平になっている。

2016年登場の2代目3008では、ステアリングの上下リムを水平にした異形になり、完全に小径といえるステアリング、「デジタルヘッドアップインストルメントパネル」と呼ぶデジタルメーターに進化。インパネ中央からセンターコンソールまで逆「コ」字を描くラインとインパネ中央部(センタークラスターに相当する部分)に配置されたトグルスイッチなども印象的だった。なお、現行3008では、21インチの曲面パノラマスクリーンが目を惹く「パノラマ i-COCKPIT」が採用されている。

2008には「3D i-Cockpit」を採用

本題である現行2008の「3D i-Cockpit」も小径ステアリング、高位置メーターパネルによる視線移動の抑制を図っている。「デジタルヘッドアップインストルメントパネル」と呼ぶこのメーターは、ホログラムのように情報を立体視で映し出すのが特徴で、ドライバーの視認速度は約0.5秒向上するという。

2008のセンターコンソール前端部とセンタークラスターまわり
2008のセンターコンソール前端部とセンタークラスターまわり

また、「i-Cockpit」が登場してからしばらくの間は、ステアリングのチルト機構に制限が設けられていた。上側まで最大限チルトさせてもステアリングが下側に感じられたドライバーも多かったはずだ(筆者は身長170cmで、決して長身ではない)。これは、メーターとステアリングのリム上側を干渉させないためで、ステアリングを抱えて運転するような感覚を抱かせた。シートハイトで座面を高くしすぎると、これはこれで最適な運転姿勢からかけ離れてしまう。

2008のセンターコンソール。ドリンクホルダーは縦に2本
2008のセンターコンソール。ドリンクホルダーは縦に2本

なお、現行型のi-Cockpitは、この干渉問題を割り切ったようで、干渉しても適正なドラポジが取れるようになった。3D i-Cockpitでは、重要な情報をメーター内の上側に表示させ、パノラマ i-COCKPITではメーターをさらに高い位置に浮かせるように配置するなど、苦心しているのが読み取れる。

マイナーチェンジで10インチの大型タッチスクリーンを採用

上にホームボタンやシートヒーターのスイッチ、下にエアコンなどを操作スイッチを用意
上にホームボタンやシートヒーターのスイッチ、下にエアコンなどを操作スイッチを用意

3D i-Cockpitに話を戻すと、一番上がメーターとセンターディスプレイを横同軸上に並べた「EYE」、中央が操作系を配置する「HANDS」、下側がシフトレバーなどの「BODY」という3つにゾーニングした考え方を採用した。

2023年10月にビッグマイナーチェンジを受け、タッチスクリーンのセンターディスプレイを10インチに大型化。ほかにも、高解像度の「パークアシストカメラ」や15W の「ワイヤレススマートフォンチャージャー」を用意している。

リッド収納内にワイヤレスチャージャーを配置
リッド収納内にワイヤレスチャージャーを配置

ハードスイッチは、インパネ中央(エアコン吹き出し口下)にハザードやドアロック、エアコンのAC/MAX(急速冷房)、内外気切替、前後ウインドウのデフォッガーなどを鍵盤状のトグルスイッチとして並べている。その上に、前席両側のシートヒーター(3段階スイッチ)やインフォテイメントシステムやエアコン用のホームボタンのスイッチを配している。

鍵盤状スイッチの視認性、操作性は良好である一方、その上にあるシートヒーターやホームボタンのスイッチが最初は「どこにあるのか」探すこともあるかもしれない。

エアコンの操作系は?

エアコン用画面

エアコンの設定は、タッチスクリーンのエアコン設定画面と先述した鍵盤状のスイッチで行う。センターディスプレイでの操作で細かい設定をするため、温度設定などを直感的に行うのは少し難しい。ただし、オーロエアコンでも「AUTO SOFT」、「AUTO NORMAL」、「AUTO FAST」の3つから選択できるなど、BセグメントSUVとしては多機能だけにオーナーになれば慣れることも含めて許容できる方も多いはずだ。

ADASやメディア、各種設定に入る前の階層
ADASやメディア、各種設定に入る前の階層

またセンターディスプレイでは、エアコン(クライメート)のほかに、先進安全装備のADAS、車両設定、メディア、タッチスクリーンの設定、ハンズフリー通話の設定、時計、外気温度計、ナビゲーション(PEUGEOT i-Connect Advanced 装備車)、一部の機能の動画による説明、音声コマンド(PEUGEOT i-Connect Advanced 装備車)などが可能だ。

「アドバンスドグリップコントロール」は、サンド、マッド、スノーから選択可能
「アドバンスドグリップコントロール」は、サンド、マッド、スノーから選択可能

センターコンソールに目を移すと、「エフィシェント・オートマチック・トランスミッション」であるプッシュセレクターを配置。「P」にする際は、スイッチPを押し、プッシュセレクターを前後に動かして希望のポジションに変える際も軽い操作感でできるのが美点だ。

ウインカーはコンフォートフラッシャー式

シフトスイッチの操作感は軽い
シフトスイッチの操作感は軽い

シフトセレクターの下に電動パーキングブレーキスイッチ、ドライブモードスイッチ(エコ、ノーマル、スポーツ)、ヒルディセントコントロール(アドバンスドグリップコントロールとセット)用スイッチを配置する。「アドバンスドグリップコントロール」は、サンド、マッド、スノーから選択できる。

走行モードの画面表示
走行モードの画面表示

左側のウインカーは、軽く操作すると3回点滅するコンフォートフラッシャー式(ライトスイッチはウインカーの先端に配置)。右側のワイパー、ウォッシャーなども従来のプジョー車と同じで、アダプティブクルーズコントロール(ACC)とスピードリミッターは、ステアリング左側奥にあるレバー式で、視認性、操作性は良好とはいえないが、これも昔から変わっていない。

ステアリングスイッチは左右ともに基本的にオーディオやハンズフリー通話などとなっている
ステアリングスイッチは左右ともに基本的にオーディオやハンズフリー通話などとなっている

そのほか、右がプラス(シフトアップ)、左がマイナス(シフトダウン)になるパドルシフト(ステアリングコラム固定式)もオーソドックスだ。

ステアリングスイッチは、左右ともにオーディオやハンズフリー通話用になっている。左側に音量調整や音声操作用などを、右側に電話メニューや音源切替のSRCスイッチを配置している。

メーターはフルデジタル化されている
メーターはフルデジタル化されている

収納系は、センターコンソールにQi規格対応のリッド(蓋)付のワイヤレスチャージャーを用意し、両サイドにはUSBポートも配置する。その下にオープントレーと12Vアクセサリーコンセントを備えている。

連載 新車コクピット解説

by ゲンロクWeb
車の知識 23時間前

プジョー2008の「3D i-Cockpit」の使い勝手をチェック【最新モデルコクピットドリル:05】

ポルシェ718ボクスター スタイルエディションのインパネ
by ゲンロクWeb
新型 2026.05.29

「ポルシェ718ボクスター」のシートや収納など実用性チェック[実用性編]【新車コクピット解説:04】

by ゲンロクWeb
車の知識 2026.05.15

「ポルシェ718ボクスター」の操作性を徹底チェック[操作性編]【新車コクピット解説:03】