ニュルブルクリンクを全開で攻められるクルマを目指して

GRMNカローラ(プロトタイプ)

GRMNカローラは、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を掲げるGR、モリゾウことマスタードライバーの豊田章男会長の「GRMNを名乗るならニュル(※)をしっかり走れるクルマに」という言葉を受け、ニュルで鍛え上げた、究極のGRカローラ。モリゾウの「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」という強い思いから生まれたGRカローラを徹底的に磨き上げた。
※ドイツ・ニュルブルクリンクサーキット

GRMNカローラ(プロトタイプ)

世界一過酷なコースとも言われるニュルは、通常のテストコースでは現れない入力や路面変化があり、走り込めばクルマの弱みを浮き彫りにする。GRMNカローラは、低速域からレーシングスピードに至るまで、荒れた路面であってもクルマを意のままに操れる一台に仕立てられた。

ニュルにおける開発テストの様子
ニュルにおける開発テストの様子

ニュルでの走行テストのみならず、日本のスーパー耐久シリーズ(以下S耐)への参戦、さらに最新のドライビングシミュレーターを活用して様々な検証を行って開発。それでも実際にニュルを走り込むと、想定外の課題に直面した。浮かび上がった課題をひとつずつ解決し、限界走行域に至ってもクルマとドライバーがしっかり対話し続けられる、クルマとの一体感の高さが追求された。

液体水素エンジンGRカローラ

開発で得られた知見は、ベースとなるGRカローラの進化にも活かされている。2025年9月発表、11月発売モデル(25式後期)のGRカローラで、ボディの構造用接着剤の塗布を13.9m延長した32.7mとしてボディ骨格を強化したことや、クールエアダクトを装備して高負荷走行時の吸入空気温度の上昇を低減したのは、ニュルでの学びを生かした結果だ。

スーパー耐久シリーズに投入し、ニュルブルクリンクで磨いた空力性能

GRMNカローラ(プロトタイプ)

S耐(スーパー耐久シリーズ)のようなレース、そしてニュルでは、クルマは高速かつ高Gで走行を続ける。こうした状況で車両のパフォーマンスを最大限に発揮させるには、4輪をしっかり接地させることが重要だ。GRMNカローラでは専用のエアロパーツを開発し、接地性を高めた。

GRMNカローラ(プロトタイプ)

フードダクトやフェンダーダクト、フロントサイドスポイラー、リヤウイングは、S耐に参戦している水素エンジン搭載のGRカローラに投入し、レースで培ったノウハウをもとに開発された専用パーツ。S耐で試行錯誤を重ねたうえで、ニュルでファインチューニングされた。たとえば5段階の調整機構を設定したリヤウイングの角度は、プロドライバーとの走行テストにおいて1度ずつ変更しながら効果を検証し、最適な仕様が導き出されている。

ノルドシュライフェを走り込んで仕上げた専用の足まわり

GRMNカローラ(プロトタイプ)

サスペンションには、前後に専用のモノチューブショックアブソーバーを採用。コーナリング時の内輪の接地性を高め、高速旋回性能を引き上げるべく、ショックアブソーバーにリバウンドスプリングを追加している。

ニュルの路面は一般的なサーキットと異なり、サスペンションが上下に大きくストロークする環境も存在している。そうした環境においても安心して走り込めるスタビリティの高さを求め、ニュルでの走行テストを重ね、バウンドストッパー特性の最適化を実施。前後それぞれストローク量をミリ単位で調整しながらベストバランスを見出した専用パーツだ。さらに、コーナリング時の安定性とブレーキ性能を高めるため、タイヤもベース車と比べて幅を10mm拡げた245/40ZR18サイズのハイグリップタイヤ「ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2」を装着した。

EPS(電動パワーステアリング)については、高いGを受ける旋回時においても適切なアシストトルクを発生できるように制御プログラムを変更。また、4WDの制御もGRMNカローラ専用にチューニングされた。直進時のリヤ側トルク配分を最適化し、超高速域におけるステアリングの切り始めの安定性を増すよう設定されている。

水素カローラで得られた、内燃機関のさらなる進化

GRMNカローラ(プロトタイプ)

水素エンジンを搭載したGRカローラのS耐参戦は、内燃機関の進化にも多くの学びをもたらしている。耐久レースにおける長時間、高負荷下の走行は水素技術のみならず、内燃機関の基本コンポーネントのポテンシャル向上に活きる。1.6L直列3気筒ターボエンジンの最大トルクをベース車比+15Nmの415Nmにできたのは、S耐参戦による知見を投入した結果だ。最高出力はGRカローラと同じ304ps。

エンジンの特性は、サーキット走行でのエンジン使用領域を分析し、コーナーでの立ち上がり加速に重要な3600~4800rpmの中速域でのトルク向上が図られた。連続した全開走行でも安定したエンジン高出力を維持するため、GRカローラ25式後期で新たに装着したクールエアダクトに加え、GRMNカローラにはインタークーラースプレーも装備された。

GRMNカローラ(プロトタイプ)

また、GRMNカローラはより高いパフォーマンス、そして「お客様を魅了する野性味」を追求するため、徹底的な軽量化を目的にリヤシートを撤去。ベース車比で約30kgの軽量化によりパワーウェイトレシオを低減し、突き抜けた走りを提供する。

より高いパフォーマンスを引き出すためのコックピット

GRMNカローラ(プロトタイプ)
GRMNカローラ(プロトタイプ)
GRMNカローラ(プロトタイプ)

走行性能だけでなく、コックピットもGRMNカローラ専用に造り込まれた。走りの真価をドライバーが引き出せるように、シートやインストルメントパネルを変更。シートはより高い横Gに対応できるホールド性を求め、S耐参戦車のドライビングポジションを指標にした、専用設計のフルバケットシートだ。クラッチ操作をしやすくするため、シート長も細かく調整。ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を採用することで、軽量化も図っている。安全性を担保することはもちろん、日常使いにおける乗降性にも配慮しつつ、クルマとの一体感を高められるシートを目指し開発された。開発中にはこのシートをS耐参戦車両に搭載し、ヘルメットを装着した状態での評価を含めて、様々なプロドライバーのフィードバックを反映している。

GRMNカローラ(プロトタイプ)

コックピットは、より運転に集中できる空間を追求して配色にもこだわり、専用の植毛加工を施したインストルメントパネルおよびフロントピラートリムを採用。また、トヨタ自動車・元町工場のカーボン課で開発、製造するカーボン製オーナメントを助手席側のインストルメントパネルに装着している。モリゾウのサイン入りパッドも施された。ドアトリムやシフトノブにはアルマイトレッドの差し色が入り、GRMN専用シリアルナンバープレートが装着されている。

GRMNカローラ(プロトタイプ)
GRMNカローラ 特別装備の主な内容(日本仕様)
メカニズム・エンジントルクアップ
・クロスミッション
・サブラジエーター
・インタークーラースプレー
・GRMNカローラ専用ショックアブソーバー(フロント倒立/リヤ正立 ※リバウンドスプリング内蔵)
・ハイグリップタイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2)
・GRMNカローラ専用パワーステアリング・チューニング
・GRMNカローラ専用4WD制御チューニング
外装・カーボン製エンジンフード
・カーボン製フロントフェンダー
・カーボン製フロントサイドスポイラー
・カーボン製リヤウィング(角度調整機構付き)
・ホイール(マットブロンズ・GRロゴ入り)
・ダーク色トヨタエンブレム(フロント・リヤ)・GRMN専用GRエンブレム(フロント・リヤ)
・ボディカラー「グラビティブラック」(特別設定色)
内装・GRMN専用フルバケットシート
・GRMN専用シリアルナンバー入りプレート
・MORIZOサイン入りインストルメントパネル(カーボンオーナメント付)
・植毛インストルメントパネル・フロントピラートリム
・2シーター専用剛性ブレース
・鋳物ブラック塗装

TOYOTA GAZOO Racing公式サイト「GRMNカローラ」

GRカローラMORIZO RRも開発中!

GR-DATを搭載した究極のGRカローラの5シーターモデルとして、現在「GRカローラMORIZO RR」の開発も進められている。発売は未定だ。GRカローラMORIZO RRはコンセプトモデルとして、GRMNカローラと同じく6月2日〜6月28日まで富士モータースポーツフォレスト ウェルカムセンターで展示中だ。