骨格剛性と冷却性能の強化でさらに走りに磨きを掛ける

カローラの拡幅ボディに、超ハイチューン1.6ℓターボと高度な4WD(GR-FOUR)をねじ込んだGRカローラは、1980年代後半から90年代に隆盛を誇ったグループA時代を彷彿させる本格スポーツモデルだ。当時と違うのは、これがトップカテゴリー競技のベース車という役割ではないことだが、「現場で鍛える」というGRのコンセプトのもとで、頻繁に改良されている。これは国内外ラリーで戦うGRヤリスと基本的に共通のパワートレインを搭載することに加えて、GRカローラ自体もスーパー耐久レースに参戦して、そこで得た知見を市販車にどんどん投入しているからだ。
エクステリア




GRカローラは、2022年12月に限定500台(と70台の〝モリゾウエディション〞)の抽選販売でスタートして、翌23年8月に各部の締結ボルト化やフロントバンパーダクト形状改善といった改良を施して、500台抽選販売で復活した。この原稿を書いている25年末時点で最大の改良と言えるのが、その次の25年2月に発売された進化型である。最も目立つポイントは、GRヤリスに続いて採用されたATと新制御(トラックモードの可変化など)を入れたGR-FOURの採用だが、外観ではフロントバンパーが冷却性能と空力特性を改善した新デザインとなった。
乗降性


さらにシャシー面でも、強化型締結ボルトの採用(フロントロアボールジョイント、リヤダンパー、ステアリングコラム)のほか、リヤトレーリングアームジオメトリー変更、前後リバウンドスプリング追加、リヤのバネレート変更などが実施された。それは微に入り細を穿つマニアックな内容というほかない。
インストルメントパネル

これと同時に、従来の限定販売から通常販売に移行したことも、25年2月のトピック……と思ったら、そこから約半年しか経っていない25年9月には、構造用接着剤の塗布距離延長(18.8↓32.7m)によるボディ剛性強化とエンジンルーム冷却ダクト追加、そしてJBLプレミアムサウンドシステムのグレードアップ(とアクティブサウンドコントロールの追加)といった改良が実施された。これで発売からちょうど3年で3回改良された計算になり、まさにモータースポーツ直結の実質イヤーモデルとも言える進化だ。
居住性


これぞ公道を走るレーシングマシン……という印象のGRカローラだが、誤解を恐れずに言えば、その走りは快適で上品だ。高回転で絞り出すようなヒステリックなエンジン音はレーシーで、何度も改良を受けたステアリングは正確無比だが、リアルな道で鍛えられたフットワークは、意外なほどしなやかにロールして、乗り心地が良く接地感も高い。また、GR-DATなるスポーツ8速ATは、普段乗りではイージーそのものだが、6速MTに優るとも劣らない戦闘力をもつ。レースでも、トップアマチュアレベルなら一発の速さでもGR-DATが有利、プロドライバーでも長丁場の平均スピードなら6速MTを凌ぐ可能性が高いとか。
うれしい装備






一部改良発表 25年9月18日
月間販売台数 282台(25年6月~11月平均)
WLTCモード燃費 12.4km/ℓ

ラゲッジルーム


いずれにしても、内外装の派手なイメチェンなどはまるでせず、徹底して実戦的かつシブい進化を繰り返すGRは、今や世界で最もマニアックなクルマづくりをするブランドと言っていいかもしれない。


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