500台限定の伝説を、現代へ繋ぐ。

グループAの血統、再び目覚める!

JTC(全日本ツーリングカー選手権)グループAクラスのホモロゲモデルとして、1988年に限定500台の触れ込みで発売されたMA70スープラ3.0GTターボA。

エンジンは型式こそベースの3.0GTと同じ7M-GTEだけど、カムシャフトやスロットルは専用品に交換され、タービンやインタークーラーも大容量タイプが導入されるなど、トヨタが本気で手を加えたメーカーチューンドと言える内容だ。結果、3.0GTを30ps&1.5kgm上回る270ps&36.5kgmを発揮。翌年、Z32と共にVG30DETTが現われるまで国内最強の座に就いていた。

また、エンジンスペックの向上に伴ってバネレートアップやダンパー減衰力の最適化、スタビライザー径の拡大など足回りを強化。俗にターボAダクトと呼ばれるフロントバンパーの3連ダクトや本革シートなど、内外装も専用品で固められた。

ここで、「ターボAってボディカラーが黒じゃなかった?」と思った人も多いはず。確かにターボAに用意されたのは専用色ソリッドのブラックだけだった。それに対して取材車両はパールホワイト。そこでバルクヘッドのコーションプレートを確認してみる。車両型式は『MA70-BLMXZ』と打刻されているから、ターボAなのは間違いない。

一方、カラートリムは202。つまり、ターボA(とブラックスープラ)の限定色ブラックであることから、パールホワイトで全塗装されたと考えるのが妥当。同時にホイールも濃いガンメタリックの専用品に代えて3.0GT純正を装着したと思われる。

取材車両は、新車購入された個体を息子が受け継いだ実質ワンオーナー車。しかし、放置されていた期間が長く、不動車になっていた。それを再び路上復帰させ、今後も長く乗れるように手直ししてほしいとエスプリに持ち込まれた。

「ウチに来たんが5~6年前。長いこと動かしてなかったもんで、燃料系がえらいことになっててな。燃料タンクは内部の錆を取ってコーティング。燃料ラインはホース類を全交換してパイプ内部を洗浄した。それでもガレージにしまわれてたんで、ボディに錆が全くなかったんは幸い。ベース車としての程度は下回りも含めて良かったな」と、エスプリ代表の前川さんは言う。

また、エンジン本体はヘッドガスケットやシール類、メタルをアメリカから取り寄せてもれなく交換。シリンダーヘッドもオーバーホールされた。オーナーからのリクエストはパワーや速さを求めることではなかったため、必要以上に手を加えることはしなかった。それでも、純正タービンはオーバーホールを兼ねてブーストマジックでハイフロー化。排気系にはサードメタルキャタライザーとワンオフステンレスマフラーが組まれる。

前川さんいわく、「制御は純正ECUで行なっとるけど、年式的なことを考えるといずれ故障する可能性が高い。そしたらVプロ単体制御を考えとるよ」。

創業45周年を迎えたエスプリは新車当時からターボAを含め、MA70のチューニングを手掛けてきた。スカイラインやフェアレディZに対抗できるトヨタの本格的なスポーツカーとして大きな期待を寄せていたが、前川さんにとって7M-GTEはあまり印象が良くなかった。というのも、700psくらいでコンロッドの曲がりが発生したからだ。それもL型チューンのS30Zで開催2回目のRRCドラッグレースを制し、新たに7M-GTEで挑戦しようと意気込んでいた矢先の出来事。それを機にドラッグレースへの参戦をやめたいきさつがある。

逆に上限を500ps程度とするなら、耐久性には問題がないことを経験として知っている。今回取材したエンジン本体ノーマルのハイフロータービン仕様であれば400ps前後だから、その範疇に十分収まるわけだ。

バンパー開口部の奥に構えるエンジンオイルクーラー。ノーマルでも標準装備されるが、冷却効率の向上を狙ってコアはセトラブ製に交換される。

マフラーはメインパイプ径76.3φのステンレス製でエスプリによるワンオフ品。錆がひどくて使用不可になってしまったフジツボ製マフラーに代えて装着された。大容量のサブサイレンサーが設けられるため、音量は控えめだ。

足回りにはテインフレックスZを装着。EDFC5を追加することで、走行シチュエーションに応じた最適な減衰力の自動調整を可能にしている。また、パワーに対して純正キャリパーでも十分な性能があるとの判断から、ブレーキはパッドのみエンドレスに交換。

MA70はデジタル式メーターが標準で、アナログ式とされるのはターボAとターボSのみ。それも欧州仕様に準じたもので、スピードメーターは260km/hフルスケールとなる。その右側にタコメーターと水温計、左には燃料計、油圧計、ブースト計が並ぶ。

追加メーターや各種コントローラーはグローブボックス内にセット。デフィブースト計、水温計、油圧計とコントロールユニット、HKS EVC5、懐かしのマインズフューエルハッカーが確認できる。

グループAホモロゲモデルながら、ラグジュアリーさも追求された室内。前後シートやドアトリムには本革が使われる。前席は調整箇所が多く、当時トヨタのスポーツ系車種に幅広く採用された8ウェイスポーツシート。

後席は中央部が大きく盛り上がっているが、車検証上の乗車定員は5名とされる。

すでに車検を取得して路上復帰を果たしているけど、近々サスペンションアーム類のブッシュ交換を予定。ターボAはこうして、徐々に本来の調子を取り戻していくのだ。

●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080

「レストアついでに300%パワーアップ!?」老舗が創った“令和最強ビート”の衝撃

軽スポーツの名車“ビート”を、老舗チューナーのエスプリがターボ化。HKS GT2912Bタービンやワンオフインタークーラーを組み合わせ、低回転から力強い実用トルクを発揮する仕様へ進化させた。リフレッシュと高性能化を同時に実現した正統派レストモッドだ。

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