2018年9月20日にヤマハからフリーライドプレイバイク「TRICKER」がリバイバル登場したのは既報の通り。二輪車平成28年度排出ガス規制に対応し、クランクケースの左前にキャニスターを装備。これは蒸発(揮発)ガソリンが外気へ排出されるのを低減する役割がある。エンジン制御も最新のチューニングが施され、燃費性能も向上している。 REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


マットブラック2

ヤマハ・トリッカー……467,640円


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トリッカーのデビューは2004年の事。それまでに例の無い新ジャンルモデルの投入とあって大きな話題と期待を集めた記憶は今も鮮明に残っている。アメリカで流行り始めたエクストリームスポーツをヒントに開発され、アクションライディングに適したデザインを採用。何と言っても軽量コンパクトな設計が大きな特徴であり魅力的。 正確な表現でない事は承知の上で、あえてわかりやすく言うとストリートに飛び出したトライアルマシンのような仕上がりである。 車体もエンジンも基本的に同じコンポーネントを共有するセロー250と比較しても、トリッカーは全長で120mm、軸距で30mmも短く車重は6kgも軽い。何より決定的な違いは前後輪のサイズが21/18インチのセローに対してトリッカーは19/16インチである。細身の燃料タンクも容量は僅か7Lに過ぎない。 セローの車体も決して大きくはないが、トリッカーは明らかにスマート。シートに跨がるとよりスリムで軽量なことが、感覚的に直ぐ理解できてしまうのである。 つまり自由自在になりそうな予感を覚え、頬が緩んでくる。カタログコピーには“マチを、遊びつくせ。”とある。 120kgだったデビュー当初の車重は127kgまで増えてはいるが、それでもまるで125ccのバイクに近い感覚で、誰でも楽に乗れてしまう。その気軽な存在がとても魅力的だ。

あぁ、軽いバイクって良いな〜って、思わず笑顔に!

試乗車を目前にすると、改めて車体デザインのスリムさが印象的。シートに跨がると足つき性も抜群。バイクを支えることに対する不安要素が感じられず、好きなことができそうな予感。ステップの上に立つスタンディングスタイルもピタリと決まり、前後左右の体重移動も自由自在になる。 この親しみやすい感覚は、小柄なライダーや初心者にもお薦めできるし、ちょっと遊んで(技を試して)みたくなるところに、ワクワクさせられるのも見逃せない。 例えば雨上がりの道を行く時、前方にそこそこの水たまりを発見。そのまま突っ込めば両すねがずぶ濡れ間違いなしの場面だ。ジーンズやブーツを濡らさないためには慌てて減速しソーっとしぶきを上げずに通過せざるを得ない。しかしトリッカーなら腰を上げてちょっと後方へ引く動作(体重移動)とスロットルONを合わせてやれば、前輪はスウッと地面を離れ、水面に触れることなく通過できる。水跳ねは後輪のみでライダーは濡れずに済んでしまうのだ。 そもそも軽量である事とホイールベースが短めな点、そしてダイナミックな体重移動がスムーズに行える事と元気良くレスポンスする瞬発力に富む出力特性も効いている。バイクを操縦する上で、前後輪の接地荷重や接地バランスにまで気を使うこと、そこに意識して走りを楽しむことができる点に、バイクを扱う醍醐味のひとつが理解でき、バイクで遊ぶ楽しさを思う存分に体験できる。まさにスキルアップにも打って付けなのである。 今回、撮影時は林道で何度かUターンを繰り返したが、ハンドルが48度とトライアル車並みに深く切れるので、かなり狭い所でも1回の切り返しで事足りる。もしくはアクセルターンが簡単にかつ不安無く決められるので、ターンにモタつくことなくスピーディにかつ安全に往復できた。これも軽さとコンパクト設計の賜物である。 市街地の一般道等、40~50km/h程度以上の速度域では、5速トップギヤでフルカバーできる。高速も含めてまるでオートマチック感覚で走れてしまうイージーさも印象深い。全体的なギヤレシオが低めで、高速道路ではエンジン回転が高めながら、常に元気の良い加速力を発揮する。 そのネガ要素としては、騒がしい乗り味にあり、ついつい有りもしない6速ギヤにシフトアップ操作してしまう事が何度もあった。また200kmも走らずに燃料警告灯が点灯。頻繁な給油が必要な事も欠点と言えるだろう。とは言え、トリッカーはスマートなデザインと軽量設計に大きな価値があるのだから、そもそもタンク容量を欲張ってはいけないのである。 ともかく跨がった瞬間にバイクで走る事、バイクを操る事の楽しさがあふれて来る。トリッカーに乗ると気分はニコニコ。常に遊べる感覚になれるのが魅力的なのだ。

⚫️足つきチェック(170cm)


シート高は810mm。ご覧の通り両足はべったりと地面をとらえる事ができる。全体のフォルムはスマート、車重は127kgと軽量で車体を支えるのも楽。


シート高は810mm。ご覧の通り両足はべったりと地面をとらえる事ができる。全体のフォルムはスマート、車重は127kgと軽量で車体を支えるのも楽。


シート高は810mm。ご覧の通り両足はべったりと地面をとらえる事ができる。全体のフォルムはスマート、車重は127kgと軽量で車体を支えるのも楽。


シート高は810mm。ご覧の通り両足はべったりと地面をとらえる事ができる。全体のフォルムはスマート、車重は127kgと軽量で車体を支えるのも楽。

⚫️ディテール解説


60/55W ハロゲンランプを採用したオーソドックスなヘッドランプまわり。メーターも含めてコンパクトなデザインが印象的。


オレンジのアルミリムを採用した19インチ・スポークホイール。ブロックパターンのタイヤはトリッカー専用。フロントシングルディスクローターはφ220mm。ブレーキキャリパーは異径2ピストンのピンスライド式を組み合わせている。


基本的にセローと共通の空冷249ccエンジンを搭載。ショートストロークのOHC2バルブは20psを発揮する。


前寄りにセットされたショックユニットが覗く。ボトムリンク式モノクロスサスペンションが採用されている。


リヤホイールは16インチサイズ。リヤのシングルディスクブレーキはφ206mmローターにピンスライド式キャリパーを選択。専用のプロテクターも装備されている。


手前への絞りが少ないグリップは多彩なライディングに適応する。ハンドル切れ角が48度と大きくUターンも楽に決められる。


グレー、黒、赤で色分けされた左側スイッチ。赤いホーンボタンはベストポジションにあり、扱いやすい。


右側のスイッチは赤いエンジン・キルスイッチとグレーの始動用セルモータースイッチ。


いたってシンプルなシングルメーター。今時珍しいアナログ式の速度計のみ、オドやトリップもドラム式。基本的に何も不満は感じられない。


スマートなフォルムが良くわかる。体重移動が自由自在になり、どんな場面でも扱いやすい。ただし燃料タンク容量は7Lと少なめ。


フラットで長いダブルシートを採用。タンデムランも気軽に対応できる。


後席用グラブバーは、取り回しも含めて車体を動かす時の持ち手になる。テールランプもウインカーも含めてコンパクトにデザインされている。


俯瞰すると改めて車体のスマートさが良くわかる。

◼️主要諸元◼️

トリッカー 認定型式/原動機打刻型式:2BK-DG32J/G3J9E 全長/全幅/全高:1,980mm/800mm/1,145mm シート高:810mm 軸間距離:1,330mm 最低地上高:280mm 車両重量:127kg 燃料消費率*1: 国土交通省届出値 定地燃費値*2:45.2km/L(60km/h) 2名乗車時 WMTCモード値 *3:38.7km/L(クラス2, サブクラス2-1) 1名乗車時 原動機種類:空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ 気筒数配列:単気筒 総排気量:249cm3 内径×行程:74.0mm×58.0mm 圧縮比:9.7:1 最高出力:14kW(20PS)/7,500r/min 最大トルク:20N・m(2.1kgf・m)/6,000r/min 始動方式:セルフ式 潤滑方式:ウェットサンプ エンジンオイル容量:1.40L 燃料タンク容量:7.0L(無鉛レギュラーガソリン指定) 吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション 点火方式:TCI(トランジスタ式) バッテリー容量/型式:12V, 6.0AH(10H)/YTZ7S 1次減速比/2次減速比:3.083/3.000 クラッチ形式:湿式, 多板 変速装置/変速方式:常時噛合式5速/リターン式 変速比:1速:2.846 2速:1.812 3速:1.318 4速:1.035 5速:0.821 フレーム形式:セミダブルクレードル キャスター/トレール:25°10′/92mm タイヤサイズ(前/後):80/100-19M/C 49P(チューブタイプ)/120/90-16M/C 63P(チューブタイプ) 制動装置形式(前/後):油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ 懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式) ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:ハロゲンバルブ/12V, 60/55W×1 乗車定員:2名

◼️ライダープロフィール


元モト・ライダー誌の創刊スタッフ。編集部員経験の後フリーランスに。約36年の時を経てモーターファンJPのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。