三菱のSUV、エクリプスクロスには、1.5ℓ直4ガソリンターボ(いわゆるダウンサイジング過給エンジン)と2.3ℓ直4ディーゼルターボ(いわゆるクリーンディーゼル)のふたつのパワートレーンがある。今回は、ディーゼルに乗って、「ガソリン or ディーゼル」を考えてみた。

4N14型2.3ℓ直4DOHCディーゼルターボの実力

エクリプスクロスに搭載されている2.3ℓ直4ディーゼルは、[4N14型]という型式を持つエンジンだ。4N型は2010年の誕生した新世代のエンジンで、もちろんブロックはアルミ合金製。ターボはVG(可変ジオメトリー。ディーゼルの定番だ)という基本は押さえた上で、三菱の可変動弁システムであるMIVECを使い、オフセットクランクなど新技術を満載したエンジンである。


形式:2.3ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ 型式:4N14型 排気量:2267cc ボア×ストローク:86.0×97.6mm 圧縮比:14.4 最高出力:145ps(107kW)/3500pm 最大トルク:380Nm/2000rpm 燃料供給:コモンレール式燃料直接噴射(DI) 燃料:軽油 燃料タンク:60ℓ

排気量は2267ccだから、四捨五入的に言えば「2.3ℓ」なのだが、なぜか「2.2ℓ」と表記されることも多い。


同じ4N14型はデリカD:5にも搭載する


同じ4N14型はデリカD:5にも搭載する


コモンデールシステムはデンソー製を使う


ほとんどの人がご興味ないと思いますが、これがエンジンカバー(表)


こちらが裏側。手抜き感のないなかなかいいカバーだ

この4N14型を積んだエクリプクロスGプラスパッケージに試乗した。試乗コースは、都内から神奈川県城ヶ島までの往復。筆者にとってはいつもの試乗コースである。 ディーゼルエンジンの現在トレンドは、ある意味で「ライトサイジング」である。その意味で、4N14型の2.3ℓの排気量は、いまや「大きめ」だ。 メルセデス・ベンツも2.2ℓ(OM651型)から2.0ℓ(OM654型)へ切り替えを図っている。その他のメーカーもほぼ、「2.0ℓ直4」というのが多い。2.2もしくは2.3ℓなのは、マツダ(SKYACTIV-D2.2)と三菱(4N14)である。 排気量が2-300cc多いからといって、それが体感できるわけではない。マイカーとして使うBMW320d(先代F30型)のディーゼルは B47型2.0ℓ直4(190ps/400Nm) 対する 2.3ℓの4N14型は145ps/380Nm マツダの2.2ℓSKYACTIV-D2.2は190ps/450Nmだから、やはり三菱の4N14のパワースペックは控え目だ。


全長×全幅×全高:4405mm×1805mm×1685mm ホイールベース:2670mm


車重:1680kg 前軸軸重1020kg 後軸軸重660kg


最小回転半径は5.4m

とはいえ、不満があるかといえば、まったくない。静粛性も最新ディーゼルらしく高いし、アイシン・エィ・ダブリュ製8速ATとのマッチングもいい。 現在、世界一低い圧縮比(14.7)であることも、このパワースペック、静粛性、噴け上がりに関係しているのだろう。 AWD(三菱の場合S-AWCと呼称する)や、ハンドリング、乗り心地などについては、こちらのレポートをご覧になっていただきたい。


城ヶ島にて

最新ディーゼル搭載のSUVに乗ると「やっぱりSUVはディーゼルに限るね」と思う。車重が重いSUVは、どうしても燃費がキツクなりがちだ。豊かなトルクのため、ももちろんあるが、日々のお財布にとってもディーゼルは心強い。 じつはエクリプスクロスについては、同じコースを1.5ℓ直4ガソリンターボ+CVTのモデル(4WD G Plus Package:309万5280円 )でドライブしたことがある。 今回のディーゼルモデルに乗ると、やはり「ディーゼルがいい」と感じる。「いい」と思わせる半分は8速ATのおかげだが、残りはこの4N14型の恩恵だ。

100km/h巡航時のエンジン回転数は1450rpm程度。エンジン音よりも風切り音の方が気になるほど走行中のエンジンは静かだ。追い越しの際は右足に少し力を込めれば、グーっと加速してくれる。ここは1.5ℓガソリンターボ+CVTでは、こうはいかない。


4N14型は尿素SCRシステムを採用するので、AdBlue(尿素水)補給口がある


191km走って燃費は16.3km/ℓ 平均時速は45km/hだった

また、燃費についても 1.5ℓ直4ターボ4WD(150ps/240Nm)のモード燃費は WLTCモード:12.4km/ℓ 市街地モード 9.7km/ℓ 郊外モード 12.8km/ℓ 高速道路モード 13.8km/ℓ に対して、今回のディーゼル4WDは WLTCモード燃費 14.2km/ℓ 市街地モード 11.0km/ℓ 郊外モード 14.0km/ℓ 高速道路モード 16.4km/ℓ 同じコースをほぼ同じ運転状況で走った燃費は 1.5ℓガソリンターボ+CVT:11.3km/ℓ 2.3ℓディーゼル+8速AT:16.3km/ℓ だった。ガソリン仕様を試乗したのは暑い9月で、ディーゼルは2月だから同じ条件ではないが、ガソリンとディーゼルはこのくらいは燃費が違うと考えていいだろう。 今回のディーゼル仕様の試乗では、WLTCモードよりも14.8%も良好な 燃費となった。ひとり乗りで、かなり穏やかな運転をした結果だが、エクリプスクロスの、そして4N14型の実力が見えた、と言ってもいい。


前席のシートの座り心地はOKだが、リヤシートは少し小さく、長距離には向かない


前席のシートの座り心地はOKだが、リヤシートは少し小さく、長距離には向かない

同じGプラスパッケージ4WD同士での価格の差は ガソリン:317万3500円 ディーゼル:347万4900円 と30万1400円ある。 レギュラーガソリン(144円/ℓ)、軽油(124円/ℓ)で計算すると 平均燃費がガソリン11.3km/ℓ、ディーゼル16.3km/ℓだとしても ガソリン:12.7円/km ディーゼル:7.6円/km だから、その差は5.1円/km。 30万1400円を燃料代の差額で取り戻そうと思ったら、 年間1万kmの走行で ガソリン:12万7434円 軽油:7万6074円 で差額は5万1360円/年。したがって約6年かかる計算だ。 1万km/年以上走行するユーザーならもっと早く取り戻せる。 もちろん、クルマ選びは燃費、燃料代だけではないし、エクリプスクロスのディーゼルでは尿素SCRシステムのためのAdBlueの補給代も必要だ。 とはいえ、筆者がエクリプスクロスでガソリンかディーゼルか、と問われたら、 「ディーゼル!」と答える。 エクリプスクロスのディーゼルなら、ストレスなく(当座のお財布にも)遠くまでドライブできそうだからだ。クルマにとって、それは重要な購入動機になるはずである。

三菱エクリプスクロス Gプラスパッケージ 全長×全幅×全高:4405mm×1805mm×1685mm ホイールベース:2670mm 車重:1680kg サスペンション: F|マクファーソンストラット式 R| マルチリンク式 タイヤ&ホイール:225/55R18 駆動方式: エンジン形式:2.3ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ 型式:4N14型 最小回転半径: 排気量:2267cc ボア×ストローク:86.0×97.6mm 圧縮比:14.4 最高出力:145ps(107kW)/3500pm 最大トルク:380Nm/2000rpm 燃料供給:コモンレール式燃料直接噴射(DI) 燃料:軽油 燃料タンク:60ℓ 燃費: JC08モード燃費15.2km/ℓ WLTCモード燃費 14.2km/ℓ 市街地モード 11.0km/ℓ 郊外モード 14.0km/ℓ 高速道路モード 16.4km/ℓ トランスミッション:8速AT 車両本体価格:347万4900円 ※試乗車はオプション込み