Mercedes-Benz CLA with EQ Technology
2速ATを備えるフル電動パワートレイン

新型「メルセデス・ベンツ CLA」には、フル電動のBEVモデルと内燃機関を搭載するICEモデルがラインナップされる。そのBEVモデルにおいて、安全性能と並んで大きなテーマが「いかに少ないエネルギーで、より遠くまで走るか」という効率性能だったという。
単に大容量バッテリーを搭載するのではなく、モーター、トランスミッション、空力、タイヤ、ブレーキ、熱マネジメントなど、あらゆる要素を見直すことで効率を追求した。その中核となるのがMMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー)プラットフォームと800Vシステムである。新世代の電動プラットフォームは、まず新型CLAに導入され、今後複数のセグメントへ展開される計画だという。
CLAのリヤアクスルには、最高出力200kW(272PS)を発揮する永久磁石同期モーター(PSM)の「EDU 2.0」を採用している。最大の特徴は2速ATを備えていることだが、その目的は加速性能を高めることではなく、市街地から高速道路まで、さまざまな速度域でモーターを高効率に働かせることにある。電気モーターは低回転域から大トルクを発生できるが、高速域では回転数が上昇するほど効率が低下する。
そこで2速ギヤを組み合わせ、低速から高速まで広く使えるようにした。発進時、1速はFWDモデルで最大1.5tの牽引能力を持つという。2速への変速はドライバーに感じさせず最高210km/hまで200kWを発揮。変速タイミングは走行状況や運転操作によって変化するというが、スポーツモードは110km/hで2速へシフトアップし、エコノミーモードでは60km/h付近でシフトアップする。
バッテリーとその制御

電動パワートレインでは、バッテリーやモーターだけでなく、どのように制御するかも重要だ。新型CLAは、高電圧系システムを集約した「ワンボックスシステム」を採用。エネルギー配分と充電機能を統合することでバッテリーとの接続を簡素化した。さらに駆動と充電を統合的に管理するのが「CDCC(駆動・充電統合コントローラー)」だ。いわば電動パワートレインの頭脳であり、走行状況をリアルタイムで判断しながら、モーターへの電力供給、回生ブレーキ、機械式ブレーキなどを最適制御する。
駆動用バッテリーは大きく4つのモジュールで構成され、それぞれ48個のセルを直列接続し、合計192セルという構成となる。電力容量はNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)バッテリー(85.5kWh)の「CLA 250+ with EQ Technology」と、LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリー(58kWh)の「CLA 200 with EQ Technology」が用意される。
バッテリーは単なるエネルギー貯蔵装置ではなく、車体構造の一部としても機能するため、衝突時にセルやモジュールへ大きな変形が及ばないよう、ボディ構造との関係も含めて設計されている。もちろんバッテリーのエレクトロニクス部には急速遮断機構を備え、事故や高音などの異常が発生した際には、エアバッグ作動と同時に高電圧系を遮断する。
回生モードは4種類

回生ブレーキによるエネルギー回収も、CLAでは細かく制御できる。「D」レンジでは通常の回生モードとなり、最大1m/s2程度の弱い減速度。「D−」レンジでは最大3m/s2程度まで強い回生を行い、停止までワンペダルドライブが可能となる。「D+」レンジでは回生は行われず、低抵抗状態でコースティングする。前走車や道路状況、制限速度を判断し、自動的に回生量を調整するオートモードも選択可能だ。回生ブレーキは8速すべてで作動し、最大25kWの回生能力を持つ。
ここで重要な役割を果たすのが前述のCDCCだ。通常のブレーキペダルの操作感を再現し、CDCCが回生ブレーキと機械式ブレーキのどちらを使うか、あるいは両者をどのように組み合わせるかを判断するという。これにより日常生活においてはブレーキ時にパッドとディスクが摩耗することなく、制動エネルギーの99%を回収できるとしている。
内燃機関モデルにも生きる電動化技術

CLAには新世代のICEモデルも用意されるが、その中心となるのがメルセデス・ベンツ新開発したというM252型直列4気筒ターボエンジンだ。48V電装システムと1.3kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせる。さらに電気モーターとインバーターをトランスミッション内部に組み込むことで、内燃機関と電動モーターを統合制御する。
新開発トランスミッションの8速DCT「8F-eDCT」は、従来より全長を50mm短縮したコンパクトさがトピックだ。最大の特徴は3つのクラッチを備えることで、偶数段用、奇数段用に加えて、内燃機関を完全に切り離すためのクラッチも備えている。これによって、バッテリーに十分な電力が残っていれば内燃機関を停止したまま、電気モーター(出力22kW、トルク85Nm)だけで完全EV走行が可能だという。
空力性能による電費向上

CLAの効率性能を語るうえで、空力性能は極めて重要な要素だ。開発ではCd値を先代の0.23から0.21(セダン)に低減することを目標として、フロントマスクからフロアまで徹底的な空力対策を施した。フロントは開口部や段差を減らし、冷却時のみ開くアクティブ・ラジエターシャッターを採用。ドアミラーやウインカー形状、ウインドウまわり、格納式ドアハンドルなども空気の流れを考慮して設計されている。フロアも可能な限りフラット化。フロントホイールスポイラー、リヤバッテリー周辺のスムージング、足回りのアーム類を覆うアンダーボディカバー、リヤアクスルカバーなどを組み合わせ、車体下面を流れる空気まで管理した。
興味深いのが、航続距離を伸ばすために必要な改善量の比較だ。例えばCLAで航続距離を約8km、1%伸ばすために、駆動系効率を0.5%改善、Cd値を0.005低減、車重を50kg軽量化、転がり抵抗を0.12kN改善する、あるいは電装品などの補機消費電力を50W削減する、といった積み重ねが必要だという。これはEVの航続距離を伸ばすことが、単純にバッテリー容量を増やすだけの問題ではないことを示している。バッテリーを大型化すれば車重が増え、その重量増が転がり抵抗や加速時のエネルギー消費につながる。だからこそ、モーターの効率、空力、タイヤ、重量、補機類など、車両全体で少しずつロスを減らしていく必要があるという。認証試験の数値を伸ばすためだけではなく、新型CLAが示すのは、まさにそうした「リアルワールドで効く効率」を追求した、メルセデス・ベンツの新電動化戦略なのだ。
PHOTO/GENROQ
新型電動パワートレイン“EDU2.0”を初導入する新型「メルセデス・ベンツ CLA」の最大航続距離は750km超? | Motor Fan|自動車情報のモーターファン
