スムーズさが際立つ1.5Lガソリンターボは20km/L以上の低燃費を実現
メルセデス・ベンツ日本は2026年7月9日に新型CLAとCLAシューティングブレークを、7月29日にCLAウィズEQテクノロジーとCLAシューティングブレーク・ウィズEQテクノロジーを発表した。前者はマイルドハイブリッドシステムを搭載する内燃機関(ICE)モデル、後者は電気自動車(BEV)である。


試乗したのはICEモデルのCLA 220だ。新型CLAはICEモデルもBEVモデルも新開発のプラットフォーム、Mercedes-Benz Modular Architecture(MMA)を採用している。ICEモデルはフロントにパワートレーンを横置きに搭載。プロペラシャフトでリヤに駆動力を伝える4MATIC(四輪駆動)の設定も本国にはあるが、日本仕様では現在のところ設定なし。FWD(FF)のみのラインアップだ。
BEVモデルはフロントとリヤにモーターを搭載する仕様も本国には設定があるが、日本に導入されるのはリヤモーター搭載仕様のみの設定である。

今回の主役はICEモデルのCLA 220なので、ICEモデルに的を絞ってお伝えしていこう。パワートレーンはエンジンもトランスミッションも新設計だ。エンジンはM252型のガソリン1.5L直列4気筒直噴ターボを搭載。CLA 180、CLA 220ともに搭載するエンジンの型式は同じだが、最高出力/最大トルクが異なり、180は100kW/200Nm、220は140kW/300Nmを発生する。

ボア×ストロークは75.0×84.8mmでストローク/ボア比(S/B比)は1.13。効率を追求するのがトレンドの昨今のエンジンとして見れば、極端なロングストロークではない。幾何学的圧縮比は11.0。140kW版で高性能エンジン並みのBMEP(正味平均有効圧)25.2barを絞り出すいっぽう、最新のエンジンらしくミラーサイクル(圧縮比<膨張比の高膨張比サイクル)を適用して高効率化を図っている。インタークーラーは水冷式(マーレのロゴが確認できた)。直噴インジェクターはセンター配置に見えた。

M252型の技術的なハイライトはターボチャージャー(ギャレット製)にセグメント型を採用したことだ。タービンハウジングの渦巻き型をした流路(ボリュート)が内周側(インナーボリュート)と外周側(アウターボリュート)に分かれた構造を持っているのが特徴。入口側に切り替えバルブがあり、流量が少ないときはインナーボリュートだけを使用。細い流路を通ることで流速が高まり、応答高く過給圧を発生させる。
排気流量が増えるとバルブを開いてアウターボリュートにも排気が流れるようにし、ロスを低減する。これにより、低回転域の応答性と高回転の出力(効率)を両立させるコンセプトだ。排ガス流量に応じて可変ベーンを制御し流路を小↔大にリニアに切り換える可変ジオメトリーターボ(VGT)も同様のコンセプトを持つが、同様の効果を低コストで実現できるがゆえにセグメント型を選択したのだろう。

アルミ製シリンダーブロックの内壁に鋳鉄シリンダーライナーを鋳込むのではなく、鉄を含んだ金属を溶射することで薄い膜を形成するNANOSLIDE(ナノスライド)はメルセデス・ベンツのお家芸で、M252も採用。これによりエンジン全長を短縮することができ、トランスミッションに充分なスペースを与えることができた。
そのトランスミッションは8F-eDCTと呼ぶモデルで、8速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)に最高出力22kW、最大トルク200Nmを発生する48V駆動のモーターとインバーターを統合している。DCTの変速を行なう2組のクラッチのほかに、エンジン切り離し用のクラッチを持つトリプルクラッチである。助手席の下あたりに搭載するバッテリーの容量は1.3kWhだ。
シャシーではフロントサスペンションが見どころだ(地面に這いつくばれば見えないことはない)。メルセデス・ベンツは「新開発の3リンク式」と表現しているが、ロワーアームのナックル側取り付け点を分割したデュアルピボットのストラット式に見える。メルセデス・ベンツは前側のロワーリンクと後ろ側のロワーリンク、それに前引きのタイロッドをもって3リンクと呼んでいる。

コンベンショナルなシングルピボットではなくデュアルピボットにしたのはスクラブ半径(キングピンオフセット)を小さくすることが狙いだとすれば、セオリー的にはキックバックの低減や制動時の安定性、ステアリング操舵力の低減などが理由として挙げられる。あるいは剛性向上が狙いか。ナックルは鋳造アルミ、2本のリンクは鍛造アルミ製とし軽量化を図っている。リヤはメルセデス・ベンツ車の定番ともいえるマルチリンク式だ。
BEVモデルとプラットフォーム&ボディを共用する都合からか、空力性能を徹底的に重視したつくりになっており、ドアハンドルもそのひとつ。先代は順手でも逆手でも握れるタイプだったが、新型はポップアップ式(格納式)となっている。


インパネは全面スクリーン。垂直に近い角度で取り付けられた大きなガラス面の下に3つの大型ディスプレイが埋め込まれている。まるで小規模シアターのおもむきだ。スクリーンの両サイドにはジェットエンジンを想起させる丸型のエアアウトレットがあり、ヘッドライトと連動して怪しく光る。この雰囲気、個人的には嫌いではない(というか、好きです)。

ドアにシートの形状を模した電動調整のスイッチが取り付けられているのはいつものメルセデスという感じ。しかしパワーウインドウのスイッチは2つしかない。リヤウインドウを開け閉めする際は「REAR」のボタンを押して機能を切り替える必要がある。合理性を追求した格好(有り体に言えばコスト低減を図った)なのだろうが、使い勝手がいいとは言い切れない。

PRNDのポジション切り換えは右レバーで行なうが、Pボタンがない。いつものクセ(?)でレバーの先端を押すとエンジンが止まってしまう。そう、先端はエンジンのスタート/ストップボタンとなっている。Dレンジに入った状態でブレーキを踏み、ドアを開けると自動的にPポジションに入るということだが…。慣れが必要だろう。停止時、ブレーキを強く踏み込むとオートブレーキの機能がオンになるのは従来どおりである。

ドライバーの加速要求が48Vモーターのカバー範囲を超えない限りEV走行するとのことだが、チョイ乗りした限りではモーターの出番は限定的でエンジンが主体の走り、の印象。モーターからエンジンへのバトンタッチがスムーズなら、エンジンが始動した状態で発進し、微低速で加減速を行なった際のギクシャク感も皆無でスムーズだ。高トルク/高出力型のエンジンにもかかわらず、ラグ(応答遅れ)によるストレスを一切感じない爽快な気分を味わうことができたのは、セグメント型ターボチャージャーのおかげだろうか。

試乗車はオプションでAMGラインパッケージを装着。そのためローワードコンフォートサスペンションを装着し、タイヤ&ホイールは標準の18インチから19インチへとインチアップされていた。ダンパーの可変制御機能は付いていない。乗り味は快適性を損なわない範囲でハード、というより引き締まった印象で、AMGのネーミングから期待するフィーリングを味わえる。剛性感は高く、いいクルマに乗っている感覚だ。電動パワーステアリングのアシストは強めで、操舵反力は常に軽めである。

BEVモデルとプラットフォームを共用する都合から、フロアが高めなのだろう。ヒール段差(フロア〜シート座面先端)が小さく、体育座りとまではいかないものの、膝がやや持ち上がった体勢になる。これは後席も同様。シェードを持たない全面ガラスルーフを採用したのはBEVあるあるで、室内高を確保するためだろう。ICEモデルのパッケージングはプラットフォームをBEVと共用する都合に引きずられた格好である。
ルーフがカーブして落ち込んでいるのが歴代CLAの特徴で、新型もその特徴を上手に受け継いでいる。後席のヘッドクリアランスが気になるところではあったが、筆者(身長184cm)は特段窮屈に感じなかった。余裕があるわけではないが、ストレスも感じない。ちょうどぴったりな印象である。ただ、シートの座面は尻をがっちり保持する構造になっており、崩れた姿勢(尻の位置をちょっとずらすとか)を許容しない感じだった。
メルセデス・ベンツは先にSクラスで導入したMBUXバーチャルアシスタントも新型CLAのウリのひとつに挙げている。いわゆる対話型のAIなのだが、良好な関係を築くには時間が必要な印象。少しやり取りをかわしたくらいでは仲良くなれず、相手が反応してくれそうな質問を用意して差し出す必要がある。質問を無視されたり、思ったような回答が得られなかったりするケースが多々あった。

ディスプレイに表示されるアバターは3種類から選択することが可能だが、どれを選んでも性格も声も同じなので、アバターを切り換える意味(楽しみ)はない。もっとも、OTA(無線通信を利用したソフトウェアの更新)で継続的にアップデートしていくことが可能(MBUXバーチャルアシスタントだけでなく運転支援機能なども)とのことなので、付き合っていくうちに使いやすくなっていくことだろう(と期待したい)。
今回はチョイ乗りなので実用燃費は未確認だが、CLA 220のWLTCモード燃費は20.2km/L。高速道路モードは23.2km/Lである。車重は1670kg。エクステリアやインテリアの見た目で結構弾けている印象の割には燃費の優等生。そのギャップがこのクルマの魅力を一段と高めている気がする。

| 車種 | メルセデス・ベンツCLA 220 |
| 全長 | 4725mm |
| 全幅 | 1835mm |
| 全高 | 1470mm |
| ホイールベース | 2790mm |
| トレッド前/後 | 1605mm/1600mm |
| 乗車定員 | 5名 |
| 最小回転半径 | 5.2m |
| 最低地上高 | 140mm |
| 車両重量 | 1660kg |
| 荷室容量 | 405L(VDA方式) |
| 駆動方式 | 前輪駆動 |
| エンジン型式 | 252 |
| パワーユニット | 1.5L直列4気筒DOHCターボ+モーター(48Vハイブリッド) |
| 総排気量 | 1498cc |
| ボア×ストローク | 75.0mm×84.8mm |
| エンジン最高出力 | 140kW(190PS)/5500rpm |
| エンジン最大トルク | 300Nm(30.6kgm)/2000-3500rpm |
| 燃料(タンク容量) | プレミアムガソリン(43L) |
| モーター型式・種類 | EM0046(交流同期電動機) |
| モーター定格出力 | 11.0kW |
| モーター最高出力 | 22kW(30PS)/1150rpm |
| モーター最大トルク | 200Nm(20.4kgm)/0-1000rpm |
| バッテリー種類 | リチウムイオン電池 |
| トランスミッション | 8速DCT |
| 燃費(WLTCモード) | 20.2km/L |
| サスペンション | 前:3リンク式 後:マルチリンク式 |
| ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク 後:ソリッドディスク |
| タイヤサイズ | 225/45R18 |
| 価格 | 687万円 |






