スムーズさが際立つ1.5Lガソリンターボは20km/L以上の低燃費を実現

メルセデス・ベンツ日本は2026年7月9日に新型CLAとCLAシューティングブレークを、7月29日にCLAウィズEQテクノロジーとCLAシューティングブレーク・ウィズEQテクノロジーを発表した。前者はマイルドハイブリッドシステムを搭載する内燃機関(ICE)モデル、後者は電気自動車(BEV)である。

2013年に初代が登場したメルセデス・ベンツCLA。2019年登場の2代目を経て、2026年7月に3代目となる新型が日本上陸を果たした。CLAの日本での累計販売台数は6万台以上という人気モデルで、新型にも注目が集まる。
ボディタイプはCLAとシューティングブレークの2系統、パワートレインは電気自動車とガソリンハイブリッドの2系統で構成される。ヨーロッパでは昨年から発売が開始されており、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

試乗したのはICEモデルのCLA 220だ。新型CLAはICEモデルもBEVモデルも新開発のプラットフォーム、Mercedes-Benz Modular Architecture(MMA)を採用している。ICEモデルはフロントにパワートレーンを横置きに搭載。プロペラシャフトでリヤに駆動力を伝える4MATIC(四輪駆動)の設定も本国にはあるが、日本仕様では現在のところ設定なし。FWD(FF)のみのラインアップだ。

BEVモデルはフロントとリヤにモーターを搭載する仕様も本国には設定があるが、日本に導入されるのはリヤモーター搭載仕様のみの設定である。

新型CLAは新開発のMercedes-Benz Modular Architecture(MMA)を採用する。

今回の主役はICEモデルのCLA 220なので、ICEモデルに的を絞ってお伝えしていこう。パワートレーンはエンジンもトランスミッションも新設計だ。エンジンはM252型のガソリン1.5L直列4気筒直噴ターボを搭載。CLA 180、CLA 220ともに搭載するエンジンの型式は同じだが、最高出力/最大トルクが異なり、180は100kW/200Nm、220は140kW/300Nmを発生する。

全長4725mm×全幅1835mm×全高1470mm、ホイールベース2790mm。試乗車のCLA220はオプションのAMGラインパッケージ装着車で、全長は+5mm、全高は−15mmとなる。
「Sensual Purity」というメルセデス・ベンツのデザイン言語に基づき、流麗さがひと際増した印象のエクステリア。フロントグリルはクローム仕上げのスターパターンで彩られる。
ヘッドライト&リヤコンビネーションランプには、スリーポインテッドスターをモチーフにしたライトシグネチャーを採用する。

ボア×ストロークは75.0×84.8mmでストローク/ボア比(S/B比)は1.13。効率を追求するのがトレンドの昨今のエンジンとして見れば、極端なロングストロークではない。幾何学的圧縮比は11.0。140kW版で高性能エンジン並みのBMEP(正味平均有効圧)25.2barを絞り出すいっぽう、最新のエンジンらしくミラーサイクル(圧縮比<膨張比の高膨張比サイクル)を適用して高効率化を図っている。インタークーラーは水冷式(マーレのロゴが確認できた)。直噴インジェクターはセンター配置に見えた。

新型CLAのガソリンハイブリッドモデルには、新開発のM252型1.5Lエンジンを搭載。CLA180では最高出力136PS(100kW)&最大トルク200Nm、CLA220は最高出力190PS(140kW)&最大トルク300Nmと差別化される。

M252型の技術的なハイライトはターボチャージャー(ギャレット製)にセグメント型を採用したことだ。タービンハウジングの渦巻き型をした流路(ボリュート)が内周側(インナーボリュート)と外周側(アウターボリュート)に分かれた構造を持っているのが特徴。入口側に切り替えバルブがあり、流量が少ないときはインナーボリュートだけを使用。細い流路を通ることで流速が高まり、応答高く過給圧を発生させる。

排気流量が増えるとバルブを開いてアウターボリュートにも排気が流れるようにし、ロスを低減する。これにより、低回転域の応答性と高回転の出力(効率)を両立させるコンセプトだ。排ガス流量に応じて可変ベーンを制御し流路を小↔大にリニアに切り換える可変ジオメトリーターボ(VGT)も同様のコンセプトを持つが、同様の効果を低コストで実現できるがゆえにセグメント型を選択したのだろう。

NVH対策のためのエンジンカバーを外した状態。

アルミ製シリンダーブロックの内壁に鋳鉄シリンダーライナーを鋳込むのではなく、鉄を含んだ金属を溶射することで薄い膜を形成するNANOSLIDE(ナノスライド)はメルセデス・ベンツのお家芸で、M252も採用。これによりエンジン全長を短縮することができ、トランスミッションに充分なスペースを与えることができた。

そのトランスミッションは8F-eDCTと呼ぶモデルで、8速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)に最高出力22kW、最大トルク200Nmを発生する48V駆動のモーターとインバーターを統合している。DCTの変速を行なう2組のクラッチのほかに、エンジン切り離し用のクラッチを持つトリプルクラッチである。助手席の下あたりに搭載するバッテリーの容量は1.3kWhだ。

シャシーではフロントサスペンションが見どころだ(地面に這いつくばれば見えないことはない)。メルセデス・ベンツは「新開発の3リンク式」と表現しているが、ロワーアームのナックル側取り付け点を分割したデュアルピボットのストラット式に見える。メルセデス・ベンツは前側のロワーリンクと後ろ側のロワーリンク、それに前引きのタイロッドをもって3リンクと呼んでいる。

フロントの3リンク式サスペンション。前側のロワーリンクと後ろ側のロワーリンク、前引きのタイロッドから成る構成。

コンベンショナルなシングルピボットではなくデュアルピボットにしたのはスクラブ半径(キングピンオフセット)を小さくすることが狙いだとすれば、セオリー的にはキックバックの低減や制動時の安定性、ステアリング操舵力の低減などが理由として挙げられる。あるいは剛性向上が狙いか。ナックルは鋳造アルミ、2本のリンクは鍛造アルミ製とし軽量化を図っている。リヤはメルセデス・ベンツ車の定番ともいえるマルチリンク式だ。

BEVモデルとプラットフォーム&ボディを共用する都合からか、空力性能を徹底的に重視したつくりになっており、ドアハンドルもそのひとつ。先代は順手でも逆手でも握れるタイプだったが、新型はポップアップ式(格納式)となっている。

こちらは電気自動車モデルの下まわり。徹底的にフラット化することで空気抵抗の低減を図っていることが窺える。
マルチリンク式リヤサスペンションのロワーアーム部もカバーで覆われている。

インパネは全面スクリーン。垂直に近い角度で取り付けられた大きなガラス面の下に3つの大型ディスプレイが埋め込まれている。まるで小規模シアターのおもむきだ。スクリーンの両サイドにはジェットエンジンを想起させる丸型のエアアウトレットがあり、ヘッドライトと連動して怪しく光る。この雰囲気、個人的には嫌いではない(というか、好きです)。

3つのディスプレイをダッシュに配置して、全面をガラスで覆ったMBUXスーパースクリーン。オプションの「アドバンスドパッケージ」を装着車に備わる。
助手席前のディスプレイでもアプリの操作などが可能だ。
運転席前のメーターはフル液晶が標準。表示もクリアで見やすい。

ドアにシートの形状を模した電動調整のスイッチが取り付けられているのはいつものメルセデスという感じ。しかしパワーウインドウのスイッチは2つしかない。リヤウインドウを開け閉めする際は「REAR」のボタンを押して機能を切り替える必要がある。合理性を追求した格好(有り体に言えばコスト低減を図った)なのだろうが、使い勝手がいいとは言い切れない。

新型CLAはステアリングホイールも新しい。クルコン系やボリューム調整など上段には物理ボタンを採用して直感的な操作を可能としている。下段は見た目がスマートな静電容量式。

PRNDのポジション切り換えは右レバーで行なうが、Pボタンがない。いつものクセ(?)でレバーの先端を押すとエンジンが止まってしまう。そう、先端はエンジンのスタート/ストップボタンとなっている。Dレンジに入った状態でブレーキを踏み、ドアを開けると自動的にPポジションに入るということだが…。慣れが必要だろう。停止時、ブレーキを強く踏み込むとオートブレーキの機能がオンになるのは従来どおりである。

モーターのアシストとラグのないターボチャージャーの相乗効果で、スムーズかつ爽快な走りが味わえる。

ドライバーの加速要求が48Vモーターのカバー範囲を超えない限りEV走行するとのことだが、チョイ乗りした限りではモーターの出番は限定的でエンジンが主体の走り、の印象。モーターからエンジンへのバトンタッチがスムーズなら、エンジンが始動した状態で発進し、微低速で加減速を行なった際のギクシャク感も皆無でスムーズだ。高トルク/高出力型のエンジンにもかかわらず、ラグ(応答遅れ)によるストレスを一切感じない爽快な気分を味わうことができたのは、セグメント型ターボチャージャーのおかげだろうか。

乗り心地は「引き締まっている」という言葉がピッタリ。機会があれば、標準の18インチタイヤ装着車との違いも確かめてみたい。

試乗車はオプションでAMGラインパッケージを装着。そのためローワードコンフォートサスペンションを装着し、タイヤ&ホイールは標準の18インチから19インチへとインチアップされていた。ダンパーの可変制御機能は付いていない。乗り味は快適性を損なわない範囲でハード、というより引き締まった印象で、AMGのネーミングから期待するフィーリングを味わえる。剛性感は高く、いいクルマに乗っている感覚だ。電動パワーステアリングのアシストは強めで、操舵反力は常に軽めである。

AMGラインパッケージ装着車は「19インチAMGアルミホイール」を履く。タイヤサイズは標準の225/45R18に対して、225/40R19にサイズアップされる。

BEVモデルとプラットフォームを共用する都合から、フロアが高めなのだろう。ヒール段差(フロア〜シート座面先端)が小さく、体育座りとまではいかないものの、膝がやや持ち上がった体勢になる。これは後席も同様。シェードを持たない全面ガラスルーフを採用したのはBEVあるあるで、室内高を確保するためだろう。ICEモデルのパッケージングはプラットフォームをBEVと共用する都合に引きずられた格好である。

ルーフがカーブして落ち込んでいるのが歴代CLAの特徴で、新型もその特徴を上手に受け継いでいる。後席のヘッドクリアランスが気になるところではあったが、筆者(身長184cm)は特段窮屈に感じなかった。余裕があるわけではないが、ストレスも感じない。ちょうどぴったりな印象である。ただ、シートの座面は尻をがっちり保持する構造になっており、崩れた姿勢(尻の位置をちょっとずらすとか)を許容しない感じだった。

新型CLAはパノラミックルーフを標準装備する。従来のシェードをなくすことでヘッドクリアランスを確保するとともに開放感を演出。その恩恵は後席で享受できる。
シート表皮は標準が人工レザー/ファブリック、写真のAMGラインパッケージ装着車が人工レザー/スエード調ファブリックとなる。

メルセデス・ベンツは先にSクラスで導入したMBUXバーチャルアシスタントも新型CLAのウリのひとつに挙げている。いわゆる対話型のAIなのだが、良好な関係を築くには時間が必要な印象。少しやり取りをかわしたくらいでは仲良くなれず、相手が反応してくれそうな質問を用意して差し出す必要がある。質問を無視されたり、思ったような回答が得られなかったりするケースが多々あった。

センター画面の左上に表示されているアイコンがMBUXバーチャルアシスタントのアバター。このバーチャルアシスタントはマルチエージェント方式を採用しており、ナビゲーションにはGoogle、会話機能にはChatGPT、検索エンジンにはMicrosoftの技術を使用し、メルセデス・ベンツ・オペレーティング・システム(MB.OS)で制御する。

ディスプレイに表示されるアバターは3種類から選択することが可能だが、どれを選んでも性格も声も同じなので、アバターを切り換える意味(楽しみ)はない。もっとも、OTA(無線通信を利用したソフトウェアの更新)で継続的にアップデートしていくことが可能(MBUXバーチャルアシスタントだけでなく運転支援機能なども)とのことなので、付き合っていくうちに使いやすくなっていくことだろう(と期待したい)。

今回はチョイ乗りなので実用燃費は未確認だが、CLA 220のWLTCモード燃費は20.2km/L。高速道路モードは23.2km/Lである。車重は1670kg。エクステリアやインテリアの見た目で結構弾けている印象の割には燃費の優等生。そのギャップがこのクルマの魅力を一段と高めている気がする。

車種メルセデス・ベンツCLA 220
全長4725mm
全幅1835mm
全高1470mm
ホイールベース2790mm
トレッド前/後1605mm/1600mm
乗車定員5名
最小回転半径5.2m
最低地上高140mm
車両重量1660kg
荷室容量405L(VDA方式)
駆動方式前輪駆動
エンジン型式252
パワーユニット1.5L直列4気筒DOHCターボ+モーター(48Vハイブリッド)
総排気量1498cc
ボア×ストローク75.0mm×84.8mm
エンジン最高出力140kW(190PS)/5500rpm
エンジン最大トルク300Nm(30.6kgm)/2000-3500rpm
燃料(タンク容量)プレミアムガソリン(43L)
モーター型式・種類EM0046(交流同期電動機)
モーター定格出力11.0kW
モーター最高出力22kW(30PS)/1150rpm
モーター最大トルク200Nm(20.4kgm)/0-1000rpm
バッテリー種類リチウムイオン電池
トランスミッション8速DCT
燃費(WLTCモード)20.2km/L
サスペンション前:3リンク式 後:マルチリンク式
ブレーキ前:ベンチレーテッドディスク 後:ソリッドディスク
タイヤサイズ225/45R18
価格687万円