軽オフローダーというジャンルを切り開いたジムニー

1970年4月、スズキから軽自動車の本格4WDオフローダー「ジムニー」がデビューした。ジムニーの原形は、ホープ自動車が1967年に発売した4WDの軽「ホープON型」である。軽初の本格的な4WD車だったが、販売が振るわず経営難になったため、1968年にスズキがホープON型の製造譲渡権を取得。大幅な改良を加えた上でスポーティなスタイリングに変更し、1970年に初代ジムニー(LJ10型)として市場に放ったのだ。

初代ジムニーは、軽自動車規格の排気量とボディサイズながら、ラダーフレームや頑丈な前後リジットアクスル、高低2速を備えたトランスファー、大径タイヤという本格的な4WDシステムを採用。この構成は、その後のジムニーの進化の過程でも引き継がれている。

最高出力25ps/最大トルク3.4kgmを発揮する排気量360ccの空冷2ストローク2気筒エンジンと4速MTの組み合わせだが、車重が600kgと軽量だったので悪路や砂地のようなオフロードでも十分な走破性を発揮した。
当時の4WD車と言えば、オフロードを走破する特別なクルマだったが、48.2万円で発売されたジムニーは予想に反し、普通のセダンよりも多少乗り心地が悪くても、普通とは違う個性的な軽自動車を好むアウトドア派から圧倒的な支持を受けた。
RVブームに乗って登場した2代目ジムニーと初代パジェロミニ

ジムニーは、1981年5月に初のモデルチェンジで2代目(SJ30型)に進化した。2代目は、ジープ風から当時のRV感覚を取り入れたダイナミックなボクシースタイルへ変貌し、キャンバスドア/ハーフメタルドア/フルメタルドアなど豊富なバリエーションが用意された。
パワートレーンは、パワーアップした最高出力28ps/最大トルク5.4kgmの550cc 直3の 空冷2ストロークエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WD。小型ジープというイメージから、RV風のスタイリングに変わった2代目ジムニーは、アウトドア好きの若者からの人気を獲得することに成功。この2代目で現在のジムニーの原型が出来上がった。

一方の三菱自動車は、1994年12月に「パジェロ」の弟分として軽オフローダー「パジェロミニ」を発売した。パジェロミニのコンセプトは、パジェロ譲りのオフロード性能とオンロードのしなやかな走りであり、当時大人気だったパジェロをスケールダウンしたようなスタイリングが注目を集めた。
ボディは、モノコック構造をベースにラダーフレームに近い構造材を組み込んだビルトインフレーム構造で、オフロードでの強靭さを実現。スタイリングは、パジェロ譲りの横開き式リアゲートを備えた3ドアスタイルで、まさしくパジェロのミニチュア版といったところ。
パワートレーンは、最高出力52ps/最大トルク6.0kgmを発揮する660cc 直4 SOHC、64ps/9.9kgmの同DOHCインタークーラーターボの2種エンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動システムは、2WD(後輪駆動)とハイ&ローの4WDが選べるセレクティブ4WDが採用された。
軽オフローダー市場はジムニーの独壇場だったが、ジムニーよりやや都会的な雰囲気のパジェロミニの登場で人気を2分することになった。
オンロードの快適性も向上させた3代目ジムニー

1998年10月、軽自動車の規格改定に合わせて登場した3代目(JB23型)「ジムニー」は、ボディが大きくなり、ソフトな丸みを帯びたフォルムに変貌した。
従来のコンセプトを継承しつつ、優れた悪路走破性に加えてオンロードでの快適性を実現したこと。前後ともコイルスプリングを用いたサスペンションが十分な吸収能力を持ち、市街地でもスムーズな走行を可能にしたのだ。

さらにリアに横開きゲートを持つワゴンボディは、十分な室内空間と荷室空間を確保した。分割可倒式の後席を畳むとさらに広い荷室空間ができ、また前席をフルリクライニングすれば仮眠スペースが生まれるといった具合に、日常的にほとんどのシーンで不自由なく、快適に使いこなせるのも大きな魅力だ。

パワートレーンは、2代目後期から搭載された最高出力64ps/最大トルク10.8kgmを発揮する660cc 直3 DOHC インタークーラー付ターボエンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。車両価格は、99.8万~141.6万円。
ターボエンジンのみの仕様で、力強いオンロードとオフロードの走り両立させ、またスタイリッシュなデザインとなった3代目ジムニーは、ジムニー人気を加速することに成功した。
ボディを大きく、安全性や快適性を進化させた2代目パジェロミニ

「パジェロミニ」は、3代目「ジムニー」と同時期の1998年10月にモデルチェンジして2代目に進化した。ボディサイズは、規格変更に対応して拡大、衝突安全性を向上するためにRISE(衝突安全ボディ)が採用された。


2代目パジェロミニは、キープコンセプトでパジェロの縮小版のスタイリングを継承しながらも、異形ヘッドライトやツートンボディカラーなどを採用して個性をアピール。インテリアは、フルトリム化やクリーンエアフィルター付エアコン、ハイトアジャスター付ドライバーズシートおよび前倒れ機構付ヘッドレストなどの採用で、快適性と利便性が向上した。

パワートレーンは、最高出力52ps/最大トルク6.3kgmの660cc 直4 SOHC、64ps/9.0kgm と高出力の660cc 直4 DOHCインタークーラーツインスクロールターボの2種エンジンと、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はパートタイム4WDをメインに、安価なFRも用意された。
車両価格は、104.8万~134.8万円(NA車)/133.8万~149.8万円(ターボ車)。軽のオフロード車として、オフロード色の強いジムニーに対して、2代目パジェロミニも引き続き乗用車テイストのソフトなイメージとスタイルで人気を獲得した。
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ラダーフレーム構造であくまでベースは本格オフローダーを貫いた「ジムニー」、オンロードとオフロードの巧みにバランスさせた「パジェロミニ」、その後も2台のオフローダーは人気を2分した。しかし、パジェロミニは三菱の経営悪化の影響もあり、2012年に生産を終了。再び軽オフローダーの市場は、ジムニーの独壇場になった。







