700万円前後、仕様によっては1000万円を超えるクルマが、登録車ランキングの上位に顔を出している。トヨタ・アルファードは、いまやそんな存在だ。

2026年7月の販売台数は8489台で、登録車ランキング6位。8月も5753台を登録し、前年同月比101.6%で6位だった。ヤリスやライズ、カローラ、シエンタといった量販車に混じり、この価格帯のアルファードが上位にいること自体、かなり異例である。

しかも、現行アルファードはモデルチェンジや改良を重ねるたびに高級化している。
2026年6月の一部改良ではPHEVに「Z」、HEVに「G」が追加され、価格は559万9000円から。PHEVのZは700万円台後半、PHEVのExecutive Loungeは1000万円を超える。オプションや諸費用まで含めれば、700万円前後になるケースも珍しくない。
それでも売れている。
この話になると、必ず出てくるのが「残クレ」だ。
残価設定型クレジットとは、数年後の車両価値をあらかじめ残価として設定し、その金額を最終回に据え置くことで月々の支払いを抑える仕組みである。契約終了時には返却、乗り換え、残価を精算して買い取るといった選択肢がある。
アルファードは、この残クレとの相性がいい。
販売会社や金利、頭金などによって条件は異なるが、数百万円の残価を最終回へ据え置けば、600万~700万円級のクルマでも月々の支払い額を圧縮できる。
ただし、「残クレならアルファードを安く買える」という意味ではない。金利を含めた総支払額は別の話であり、最終的に自分のクルマにするなら、据え置いた残価を精算する必要がある。
では、アルファードが売れている最大の理由が残クレなのか。
話はそう単純ではない。むしろ、順番は逆と考えた方がわかりやすい。
アルファードは中古車になっても人気が高い。ファミリーカーとしてはもちろん、法人車やVIP送迎車としても使われ、海外にも中古車需要が存在する。新車だけでなく中古車にも買い手がいるため、リセールバリューが高くなりやすい。
中古車として高く売れるから、高い残価を設定しやすい。そして高い残価を設定できるから、残価設定型クレジットを利用した際の月々の支払いを抑えやすくなる。
つまり、「残クレだからアルファードが売れる」というより、「アルファードが売れるクルマだから残クレを使いやすい」という構図である。
もちろん、アルファードの強さは金融商品だけでは説明できない。
かつて700万円を出して買う国産車といえば、高級セダンが真っ先に候補に挙がった。しかしアルファードには、高級セダンにはない広大な室内とスライドドアがある。
2列目には大型のキャプテンシートを備え、家族で出かけるミニバンとして使える一方、ショーファーカーとして後席に人を乗せても成立する。この用途の広さは大きな強みだ。
現行型では内外装の質感も大幅に高まり、もはや単なる「高級ミニバン」ではなく、高級車のひとつのカテゴリーとして定着した。街中で見かければすぐアルファードとわかるほど、車名そのものにもブランド力がある。
高級セダンでは家族で使いにくい。一方、一般的なミニバンでは高級感が物足りない。その両方を1台で満たせるところに、アルファードならではの強さがある。
ただし、リセールの高さだけを当てにして購入するのは注意が必要だ。
残価設定型クレジットでは、返却時の走行距離や車両状態などに条件が設定される場合がある。条件を外れれば追加精算が発生するケースもあり、現在の中古車相場が3年後、5年後まで続く保証もない。
それでも、7月に8489台、8月にも5753台が登録されたという数字はインパクトがある。700万円級にもなるクルマが、300万円前後から購入できる量販モデルと同じランキングで6位に入っているのだ。
これを「残クレだから」のひと言で説明するのは無理がある。
アルファードは高くても欲しい人がいる。そして中古車になっても欲しい人がいる。その需要が高いリセールにつながり、結果として残価設定型クレジットも利用しやすくなる。
「残クレだから売れる」のではなく、「売れるクルマだから残クレとも相性がいい」。
700万円級になってもアルファードが売れ続ける背景には、この循環がある。








