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自衛隊新戦力図鑑

「自爆型無人機」と「ミサイル」の違い

今月1日、読売新聞は「長距離攻撃が可能な無人機(無人航空機)」の導入を政府が検討していると報じた。記事によれば射程1000km以上の自爆型であり、類似の無人機としてイランやロシアが使用する「シャヘド136」が挙げられている。

シャヘド136の平面図。全長3.5mの巨大な三角形型。ロシアは同機を国産化し「ゲラン2」と名付けている(写真/アメリカ国防情報局)

さて、シャヘド136のように長距離を飛行し、目標に体当たりする無人機は「一方通行型攻撃ドローン」とも呼ばれるが……これは既存の「ミサイル(巡航ミサイル)」と何が違うのだろうか? そもそもミサイル自体が、「飛行機を無人化し、体当たり攻撃をする兵器」と言える。

一般に無人機は「ミサイルより安価で、低性能、そして構成部品が簡易で大量生産しやすい」ものと考えられている。要するに「安かろう、悪かろう」だ。たとえば、前述のシャヘド136とロシア軍の長射程巡航ミサイル「カリブル」を比較すると以下の通りだ。

巡航ミサイル「カリブル」とシャヘド136の比較。価格は圧倒的に安いが、低速なので容易に撃墜されてしまう。このほかにも命中精度や飛行性能なども劣る(公開情報をもとに筆者作成)

性能が低く、撃ち落とされやすい無人機だが、「大量生産しやすい」ことが最大のメリットだ。防衛側の迎撃システム(地対空ミサイルや機関砲)は、台数・弾数とも限りがあり、複数の方位・進路から大量の無人機に同時攻撃されたら、対処能力を超えてしまう。さらに、大量の無人機と少数の高性能巡航ミサイルを組み合わせることで、“本命”である巡航ミサイルの攻撃成功率を高めることができる。ロシアはたびたびウクライナ都市部への長距離攻撃を実行しているが、この混成方式を採用している。

ウクライナ軍も使用する防空ミサイル「NASAMS」。基本的に防空ミサイルは高性能だが高価で数も限られている。大量の無人機の相手をするには数的にも、費用対効果の面でも分が悪い。無人機の普及に対抗するため、最近では低価格・大量生産型の防空ミサイルも開発されている(写真/アメリカ海軍)

西太平洋の「地獄絵図」構想

さて、日本は長距離攻撃ドローンをどのように使うのだろうか? 前述の記事によれば、やはり高性能ミサイルとの混成方式による敵基地攻撃が挙げられている。一方で、陸続きに隣接したロシア-ウクライナと違い、海に囲まれた日本の場合、対艦攻撃への活用が考えられるだろう。

例として挙げたいのが、アメリカ海軍で提唱されている「ヘルスケープ(地獄絵図)構想」だ。これは2023年にインド太平洋軍司令官アキリーノ大将(当時)が提唱したもので、中国が西太平洋で軍事行動を開始した場合に、無人航空機・無人水上艇・無人潜水艇など膨大な数の無人システムを連携した波状的攻撃により侵攻部隊を足止めし、アメリカ軍が反撃態勢を整えるまでの時間を稼ぐというものだ。この構想は日本の防衛にも参考になるものだろう。

アメリカ軍がシャヘド136をコピーした「LUCAS」。イラン攻撃では巡航ミサイル「トマホーク」と混成で使用されている。これまで高価・高性能兵器を追求してきたアメリカ軍だったが、近年は安価・低性能兵器を含めた「ハイ・ロー混成型」を志向している(写真/アメリカ海軍)

ウクライナ戦争は「ミサイル・弾薬の消耗戦」の様相を見せており、高性能だが大量生産が容易ではないハイエンド兵器の問題点が指摘されるようになっている。安価・大量生産可能な無人機を、どのように既存の高価・高性能兵器と組み合わせるのか――こうした議論は今後、さらに重要性を増していくだろう。

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