コースにある白線に沿ったブレーキングで切り遅れる
R会での車載映像をチェックしていると、サーキット走行経験の少ない初心者から、タイムアタックの経験豊富な上級者まで「切り遅れ」をよく見掛けます。
そう、スポーツドライビングを行う多くのドライバーが陥るポイントが「切り遅れ」なのです。そして大きな問題は「切り遅れ」を自覚していないこと。
今回は「切り遅れ」がなぜいけないのか? 切り遅れの実態と対策をテーマにお話しします。
1.「切り遅れ」はなぜいけない?

「切り遅れ」ると辻褄を合わせるために急ハンドルになります。急ハンドルだと一挙にアウト側のタイヤに荷重が掛かるために、スライドを誘発してしまいます。つまり、タイヤの限界を「切り遅れ」で自ら下げてしまいます。
ここで、上級者はスライドしないように無意識に進入速度を落としている傾向があります。そのため、プロの同乗走行をすると「進入速度が速いのに操作がゆっくりだった」というコメントにつながります。
コーナリング速度を高めるためには、操作をゆっくり行う、つまりコーナー手前の早くから少しずつハンドルを切る必要があります。
車両にはタイヤの捩れやブッシュ、サスペンションなどの遊びがあり、それらの遊びが取り除かれてからクルマは本格的に曲がり始めます。どんな車両でも、その曲がり始めるまでのタイムラグが必ずあります。
各部の遊びがなくなる時間は車両によって異なり、レーシングカーやサーキット走行に特化した車両は短く、ストリート仕様に近いほど時間は掛かります。車両のタイムラグに合わせて、早目からアクションを起こす必要があります。
2.切り遅れの実態は?
初心者でよくある間違いは、コーナーに差し掛かってから初めてハンドルを切るパターンです。

遊びをなくしてタイムラグを考慮すると、コーナーに入る手前の直線のうちからハンドルを切っていく必要があります。わかりやすい場所は富士スピードウェイのヘアピンです。正しい切り始めポイントは50m看板を少し超えた(クルマによってポイントは異なります)上方にある看板を越えたくらいからです。
多くの初心者がコーナー外側の白線に沿って走ってから切り始めるため、クリッピングポイント(以下CP)につけません。上級者になると「切り遅れ」が少ないためCPにつけないことはないですが、やはり急ハンドルになっており、アンダーステアやオーバーステアの原因となっているでしょう。
ハンドルを切り始めたときに、ドンとロールを感じられるようだと急ハンドル、つまり「切り遅れ」です。理想はいつロールしたかわからないように「ジワっとハンドルを切る」ことです。そのために早めのポイントから少しずつ切り始めることが肝になります。
とくに高速コーナーではRが大きくなるため、より早めから切り始める必要があります。コカ・コーラコーナーや鈴鹿の130Rでは看板からは切り始めていないと「切り遅れ」になります。
3.対策はどうしたらいい?

初心者は目線に問題があることが多いです。コーナー外側の白線を見続けずに、先を見るように心掛けましょう。ブレーキングの時点からCPを見るようにすると「切り遅れ」が減ります。
目線問題をクリアしている上級者は、車両との対話を増やし、急ハンドルによって姿勢を乱さないように意識することが大切です。意外に「切り遅れ」の原因となるのがシフトダウンの同時操作です。
ギア比にもよりますが、多くの市販車の場合、シフトダウンとハンドルの切り始めのポイントが被ることが多いです。ヒール&トーがスムーズにできていなかったり、操作に気を取られるようではスムーズな同時進行ができません。
ヒール&トーをしながらハンドルを切っていく操作ができるように、街乗りから意識してドライビングすることが上達のコツとなるでしょう。サーキットで「切り遅れ」る場合、一般道の運転からも「切り遅れ」ているものです。
コーナーや交差点を曲がる時、極端にいえば車線変更であったとしても「切り遅れ」からの急ハンドルが見られます。車線変更は極力ロールやピッチングを起こさないのが同乗者にも優しいドライビングになります。同乗者にいつ車線変更したか、わからないようにスムーズにハンドル操作が行えるように日頃から意識しましょう。

講師
梅田 剛
R会の人気講師である梅田先生は医師。過去にレブスピードのドラテク企画でも何度か登場。ワンメイクレースでシリーズチャンピオンにも輝いており、R 会の添削内容も受講者にわかりやすいと好評だ
