自力で正しい走りを見つけるロガーの使い方

デジスパイスはGPSロガーの代表格。面倒な配線など必要なく設置が可能で、コンパクトながら多機能なGPSロガーのデジスパイス。これを使いこなすことで、自身でセッティングやドライビングの方向性を見出すことも可能だ。

最近では手を出しやすい価格のデータロガーが普及してきています。車両と通信してブレーキ踏力・アクセル開度・ハンドル舵角が表示されるデータロガーが理想ですが、GPSを介した速度とG変化がわかる簡易データロガーでも十分にスキルアップに有用です。 

データロガーの魅力は他人との走り方を比較ができること。また、ベストラップとの比較ができることで、最短で速い走り方を見つけられるという応用技もあります。今回はタイムアップに有用なデータロガーの使い方について説明していきます。

セクタータイムではなくコーナーごとの仮想区間に

多機能を誇り、さまざまな表示が可能なロガーも多いですが、基本の表示は、縦軸をスピード、横軸を距離に設定したグラフ(①)を比較することをオススメします。

そして、各サーキットにおける通常のセクターごとによる区間分析ではなく、『コーナーごとに分ける仮想区間』タイムを設定するとよいでしょう。

タイム短縮のためには、コーナー単体の速さだけでなく、コーナー後の車速の伸びである直線の速さも重要です。

そのため区間分けは、コーナー前のブレーキング開始時から、次のコーナーのブレーキング開始直前までとします。また、S字コーナーや複合コーナーではすべてを含めてひとつの区間とします。

ブレーキングポイントは車や天候などによって異なるので、仮想区間は適宜変更するといいでしょう。 富士スピードウェイを例にして見てみましょう(②)。

区間2は、コーナーのブレーキング開始時から、2コーナー(コカ・コーラコーナー)のブレーキング開始直前までです。区間5(ダンロップコーナー)はシケインとしてひとつの区間とします。これで仮想ベストタイムを計算できます(③)。また各区間のベストな走りを他の周とグラフ上で比較することにより、速い走りを導き出せます。この比較でのポイントを紹介しましょう。

ロガー比較のポイント

その1 ライン取りと進入 脱出の優先度の違い

ボトムスピードを落とさないようにラインは大回りしたほうが速いか、それとも距離が短くなる小回りしたほうがタイムが速いのかのチェックを行いましょう。脱出重視のほうがよいのか、突っ込み重視のほうがよいのかの比較も必要です。

その2 ブレーキが初期からしっかり踏めているか?

ブレーキ踏力が安定して出ているかをチェックするとよいでしょう。ブレーキ踏力だけではなく前後Gやスピードの落ち具合(スピードグラフの角度)でも判断できます。

踏み始めが弱くブレーキ初期に減速Gが出ておらず、ブレーキングの後半にペダルを強く踏み込んでしまうケースをよく見掛けます。

ハンドルを切り始めるタイミングでは、『止めるブレーキ』は終わらせておく必要があり、ブレーキを踏み始めるポイントだけではなく、リリースポイントの確認をするとよいでしょう。

またヒール&トーの際にブレーキが緩んでいないかもチェックポイントです。ABSの介入があるため、ブレーキ踏力を高めても制動力は上げ止まりになります。ABSが効くか効かないレベルのブレーキ踏力を確認するのもよいですね。

その3 エンジンの能力をしっかり使いきれているか?

エンジン特性やコースの勾配により、どの回転数でシフトアップするのが速いかは、データロガーから解析するとよいでしょう。

また、エンジン回転数が比較できるロガーであればよいですが、そうでなくても〇〇周は△△rpmでシフトアップして… …と比較すればよいですね。また、シフトアップの操作自体の速さの比較ができます。

写真④の上線グラフのドライバーは、下線のドライバーと比較してシフトアップで差をつけられています。このグラフではシフト操作1回で0.1秒のタイムロスをしています。仮に1周で5回シフトアップすると0.5秒のタイムロスとなります。

その4 ボトムスピードとなるポイントは奥か手前?

いずれが正解ということはないです。コーナーによって、クルマよっていずれが向いているかは異なりますので、走行後に比較するとよいでしょう。

ボトムスピードが手前にある場合は脱出重視、奥にある場合は進入重視です。また、ボトムスピードのグラフが極端にUの場合はクリッピングポイント(以下CP)で向きが変わらず、脱出に掛けてアクセルが踏めていないケースもあります。

その5 Gグラフからわかるブレーキ踏力と制動力

Gの推移が表示できるロガーでは、「止めるブレーキ」から「曲げるブレーキ」への連携も判断できる。図において、正しいGボールの動きは円周上だが、①のように一度ブレーキ踏力を戻してからハンドル操作をしたり、
②ブレーキも舵角も余らせているパターンも見受けられる。

ブレーキングからコーナリングに移行させる際に、タイヤのグリップを使いきれているかどうかチェックできます。

いわゆるGグラフで前斜め方向が使えていなく、ブレーキングGから一度センターに戻って横Gになっている場合(⑤)は改善の余地があります。

また、円を描かずに、直線的に縦から横へ移り変わっている場合も同じくです。ブレーキをパッと離して、パッとハンドルを切るとこの傾向があります。

私はサーキット走行では毎回、車載動画とセットでデータロガーを活用しています。初めて走る車両やコースの習熟に使ったり、他ドライバーとの走りを比較します。

データロガーと聞くと、難しい印象があるかもしれませんが、慣れてくれば5~10分もあれば解析が可能です。少ない走行時間で大きくスキルアップできるかもしれませんので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょう。

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講師
梅田 剛

自身のドライビングの評価に、車載映像とデータロガーを活用している梅田 剛講師。ここでは、「区間タイムではなく、コーナーごとに区切ってタイムを分析するのがスキルアップに効率的」という梅田流のデータロガー活用術を紹介する。


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