Mercedes-AMG GT 63 4-Door Coupe

2種類のパワートレインをラインナップ

フル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」のワールドプレミアイベント。
「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」は、発売時点で「GT 63 4ドア クーペ」と「GT 55 4ドア クーペ」をラインナップする。

2026年5月19日、メルセデス AMGは3基のアキシャルフラックスモーターを搭載したフル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」をワールドプレミアした。最上級モデルの「GT 63 4ドア クーペ」は、最高出力1169PSを発揮、F1由来の800Vバッテリーと直接冷却式円筒型セルにより、持続的なパワーデリバリーを実現した。

メルセデス AMGが独自開発したハイパフォーマンスEV専用アーキテクチャー「AMG.EA」をベースとしており、数多くの世界初技術を導入。量産EVとして初めて新開発の革新的モーター技術「アキシャルフラックスモーター」と、高性能バッテリーシステムが組み合わせられた。

搭載されるドライブユニットは、圧倒的なピークパワーだけでなく、それを繰り返し持続的に引き出すことが可能になった。メルセデス AMGは昨年、イタリアのナルドで行われた「コンセプト AMG GT XX」の記録アタックにおいて、その実力を実証。プロトタイプは7日と13時間で4万km以上を走破し、「8日間で世界一周」を文字どおり実現した。

今回、メルセデス AMG GT 4ドア クーペのために、V8エンジンを愛するドライバー向けの専用ドライビング体験を導入。「AMGFORCE S+」ドライブプログラムは、本物さながらのシフトフィールと、センターチューブデザインを採用した専用ドライバーディスプレイによって、これまでにない没入感あふれるV8体験を実現した。

特許出願中のサウンドシステムは、伝統的なAMGのV8のサウンドと電動技術を融合させた独自の音響世界を提供。サウンドのベースとなったのは「AMG GT R」のエキゾーストサウンドで、状況に応じてダイナミックに変化し、ドライバーの運転スタイルをリアルタイムで解析しながら最適化される。加速時、ギアシフト時、さらにはアクセルオフ時のバブリング(アフターファイヤー音)に至るまで、現代のハイパフォーマンスカーが持つあらゆる音響表現を体感できるという。

発売開始時には、「GT 63 4ドア クーペ」と「GT 55 4ドア クーペ」をラインナップし、価格は先代の同等モデルを基準に設定される予定。メルセデス・ベンツグループAG取締役会会長オラ・ケレニウスは、メルセデス AMG GT 4ドア クーペについて、次のようにコメントした。

「私はメルセデス AMG GT 4ドアクーペを何度も自分で運転しましたが、突出したクルマになったと実感しています。このモデルはパフォーマンスを新たな限界へ押し上げ、ファンがAMGに期待するエモーショナルな体験を、EV時代においても実現しています」

「AMG時代の経験から、私はアファルターバッハで求められる基準がどれほど高いかを知っています。この新しいAMG.EAアーキテクチャー第1弾モデルは、その期待に応えるだけでなく、新たな基準を打ち立てる存在となりました」

圧倒的なパフォーマンスと持続的パワー

フル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」の走行シーン。
アキシャル・フラックスモーターはフロントに1基、リヤアクスルに2基を搭載。コンパクトなモーターにより、より自由なレイアウトが可能になった。

「GT 55 4ドア クーペ」と「GT 63 4ドア クーペ」とは、どちらも3基のアキシャルフラックスモーターを搭載し、「GT 55 4ドア クーペ」がシステム最高出力816PS 、「GT 63 4ドア クーペ」が1169PSを発揮。新開発のバッテリーは直接冷却式円筒型セルを採用し、特殊なセル化学技術によって均一な温度分布と、連続負荷時における優れた高性能安定性を実現している。

アキシャル・フラックスモーターは、2021年7月よりメルセデス・ベンツAGの完全子会社となった英国のモータースペシャリスト「YASA」によって開発。従来型のモーターと比較して、より高い連続出力と高トルクを実現しており、高負荷の走行性能を短時間に何度も繰り返し発揮できることが特徴となる。また、コンパクトなモーター構造によりドライブトレインのレイアウト自由度も向上した。

一般的なモーターでは電磁束(磁束)が回転軸に対して垂直方向に流れるのに対し、アキシャルフラックスモーターは回転軸と平行方向に流れる。主要構成部品は薄いディスク状に設計されており、左右の2枚のローターが中央のステーターを挟み込む「サンドイッチ構造」が採用された。

メルセデスAMG GT 4ドアクーペでは、フロントアクスル用ユニットの幅はわずか約90mm。リヤアクスルに搭載される2基のモーターは約80mmという極めてコンパクトなサイズに収められる。さらに高性能電動ドライブトレインは、将来的に1000kW(1360PS)超級の出力にも対応できる設計となっている。

効率向上のため、低負荷時には「ディスコネクト・ユニット(DCU)」がフロントアクスルの電動モーターをミリ秒単位で駆動系から切り離す。これにより不要なドラッグロスが低減し、航続距離の延伸が可能になった。加速時や回生ブレーキ作動時にはDCUが即座に接続され、最大限のパフォーマンスを発揮する。

F1から着想を得たパフォーマンスバッテリー

106kWh容量の「AMGハイパフォーマンス・エレクトリック・バッテリー」には、F1由来の技術が導入された。
106kWh容量の「AMGハイパフォーマンス・エレクトリック・バッテリー」には、F1由来の技術が導入された。

完全新設計された「AMGハイパフォーマンス・エレクトリック・バッテリー(AMG HP.EB)」は、メルセデス AMG ONEで培われた経験、F1のパフォーマンス哲学、そしてアファルターバッハのメルセデスAMG開発陣と、英国ブリックスワースに拠点を置く「メルセデス AMG ハイパフォーマンス・パワートレイン(HPP)」のノウハウが投入された。

新型バッテリーは高出力を実現するだけでなく、パフォーマンスを繰り返し安定して発揮できるうえ、高い充放電能力と優れた出力密度を両立。さらに将来的にWLTP基準で700kmを大きく超える航続距離の実現も視野に入れて設計されている。

その技術の中核を担うのが、独特な形状を持つ新型バッテリーセル。円筒型セルは高さ105mm、直径26mmという細長い形状を採用しており、冷却面で大きな利点をもたらすことになった。円筒型セルの直径を小さくすることで、セル中心部から表面までの距離を最小化。負荷によって発生した熱を迅速かつ効率的に放散できるため、各セルを常に最適な温度領域に維持することが可能になった。

スポーティなファストバックスタイルを採用

フル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」のエクステリア。
ファストバックスタイルを採用し、リヤセクションにはタービンをモチーフにした6基の円形テールランプが配置された。

エクステリアはダイナミックなファストバックフォルム、長く低く構えたボンネット、鋭く寝かされたフロントウインドウ、そして存在感を持ったリヤディフューザーによって圧倒的なパフォーマンスを力強くアピールする。

フロアに大容量バッテリーを搭載しながらも、先代の内燃機関(ICE)モデルから車高を40mmも低く設計することに成功した。フロントセクションには、存在感溢れるAMG専用縦ルーバーグリルにイルミネーション機能を導入。センターにはイルミネーション付きスリーポインテッドスター、スターグラフィックのデイタイムランニングライトを備えたヘッドライトが個性的な表情を形成する。

ボンネットはモータースポーツ由来の力強いパワードームが、AMG製パフォーマンスカーのDNAを明確に主張。サイドセクションは、低く構えたフロントから大きく張り出したフェンダーへと流れるアスレチックなフォルムをかたち作る。ドアミラーはドアパネルへと直接取り付けられ、フラッシュサーフェス化された格納式ドアハンドルが優れた空力性能を強調する。

キャビンは、リヤへと向かって絞り込まれており、ワイドで力強いショルダーラインを形成。リヤセクションにはタービンをモチーフにした6基の円形テールランプを配置し、その内部にはスターグラフィックが採り入れられた。さらにオプションとして、テールライト機能を備えたライトバーを追加することもできる。

大型ディスプレイで構成されたコクピット

フル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」のインテリア。
コクピットには、1枚のガラスパネルで覆われた、10.2インチ・デジタルメーターパネルと14.0インチ・マルチメディアディスプレイが配置された。

コクピットのすべての操作系は、走行に関わる機能を直感的に扱えるよう設計。インストゥルメントパネルは、横方向に広がる一体感のある大型ディスプレイによって構成。視覚的には連続した一枚のガラス面に見えるが、実際にはドライバー側エリアと助手席側エリアに分かれており、10.2インチデジタルメーターパネルと14.0インチマルチメディアディスプレイが、シームレス・ガラスデザインによってひとつのユニットに統合された。14.0インチセンターディスプレイはドライバー側へ最適な角度で傾けられ、視認性と操作性を向上。さらに、パッセンジャー向けにも14.0インチの専用ディスプレイがオプションで用意されている。

左右にはチェーンリンクをモチーフとした大型円形エアベントを配置。ガラス面に美しく溶け込むようデザインされており、夜間にはアンビエントライトと連動して好みのカラーで発光する。亜鉛メッキ仕上げの吹き出し口は、金属ならではの重厚感と先進的なハイテク感を両立し、アナログとデジタルを自然に融合させた。

センターには3基の触覚フィードバック付きロータリーコントローラー「AMGレース・エンジニア・コントロール・ユニット」を配置。アクセルレスポンスやトラクション/スリップ特性、コーナリング特性などをダイヤル操作ひとつで直感的に調整することができる。3基のコントローラーはドライバー側へ向けて配置され、優れた操作性と確かなクリック感を実現した。

フラットボトム形状の「AMGパフォーマンス・ステアリングホイール」は、理想的なグリップ形状に加え、ローラー式コントローラーとパドルスイッチを装備。素材は上質なレザーから軽量なカーボン仕様、優れたグリップ力を持つマイクロファイバー仕上げまで幅広くラインナップする。

ステアリング背面のパドル操作によって回生ブレーキ量を細かく調整可能。ステアリングスポークには、2基の円形コントロールボタンを配置し、ここには鮮明なカラーOLEDディスプレイとアイコン表示を備え、各種ドライビングモードや主要機能を瞬時に切り替えることができる。

十分なスペースが確保されたリヤシート

フル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」のインテリア。
フロント、リヤともに専用設計されたシートを配置。リヤシートにも十分なレッグスペースとヘッドスペースが確保された。

新開発のフロントシートは、スポーティかつ力強いデザインを採用し、ダイナミックなコーナリング時にも優れたサイドサポート性能を発揮。ヘッドレスト一体型のAMGパフォーマンスシートもオプション用意されており、どちらのシートもモータースポーツ由来の軽量感を表現したバックレスト形状が採用された。パフォーマンスシートには、背もたれ部分に2基の開口部を設け、その周囲に亜鉛メッキ仕上げのトリムを配置。高性能モデルとしてのキャラクターと軽量構造を視覚的にアピールする。

リヤシートは長距離移動での快適性を重視した設計となっており、ゆったりとした着座姿勢によって優れた乗り心地を実現。フロア内には「フットガレージ」とネーミングされたふたつの専用スペースが採用された。これによりリヤのパッセンジャーに十分な足元空間を確保し、自然で無理のない膝の角度を保つことが可能になった。

標準仕様のリヤシートは2名分の独立したコンフォートシートを採用。身体をしっかり支える立体的な形状と十分なヘッドクリアランスによって、あらゆる場面で上質な移動時間を提供する。実用性を重視するユーザーは3人掛けのベンチシートもオプションで選ぶことができる。どちらの仕様もリヤシートが分割可倒式となっており、用途に応じてラゲッジスペースを拡張することが可能だ。

SPECIFICATIONS

メルセデス AMG GT 63 4ドア クーペ

ボディサイズ=全長5094mm×全幅1959mm×全高1411mm
ホイールベース=3040mm
車両重量=2460kg
パワーユニット=3モーター+リチウムイオンバッテリー
最高システム出力=860kW(1169PS)
最大トルク=2000Nm
駆動方式=AWD
最大航続距離=596〜696km(WLTCモード)
最高速度=300km/h
0-100km/h加速=2.1秒
0-200km/h=6.4秒

「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」を動画でチェック!

「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」量産仕様をテストした、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEOとドリアーヌ・ピン。

「メルセデスAMG GT 4ドアクーペ」明日のワールドプレミアを前にF1開発ドライバーがテスト【動画】

2026年5月19日のワールドプレミアを前に、新型フル電動グランツーリスモ「メルセデス AMG GT 4ドア クーペ」が重要なテストに臨んだ。メルセデス AMGの公式YouTubeチャンネルに公開された『High Ambition | AMG.EA: Behind closed doors』において、育成ドライバーのドリアーヌ・ピンが、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウスCEOと共に、量産仕様のパフォーマンスを徹底的にチェックしている。