マツダ ロードスターの歴史において、初めて『2.0Lエンジン』と『フロントミッドシップ(NB比135mm後方配置)』を与えられた3代目、NCEC。その完成形であり、いまなお『究極の狙い目』として注目を集めるのが、2012年から2015年まで生産された最終型『NC3』だ。

軽量・コンパクト・原点回帰のND型が全盛のいまだからこそ、あえて熟成極まったNC3を選ぶべき理由を、NC1からNC2、そしてNC3へのメカニズムの変遷とともに紐解きたい。

NC型は約10年間のモデルライフの中で2度の大きなマイナーチェンジを受け、走りの性能を高めていく。2005年~2008年のNC1はNA・NBからプラットフォームを一新。初の3ナンバーボディと2.0LのLF-VE型エンジン(170ps)を採用。剛性は捩じり剛性で47%も向上し、電動ハードトップのRHTも追加された。しかし、初期の足まわりは『ひらり感』を重視したセッティングで、腰高でリアのスタビリティが低い印象を与えた。

2008年~2012年のNC2は中身を大きく変え、フルモデルチェンジに近い進化を遂げた。外観は『五角形フロントグリル』に刷新され、落ち着いたフォルムに。メカニズムでは、MT車のエンジンに鍛造クランクシャフトやフルフローティングピストンを採用。レブリミットは7000rpmから7500rpmに引き上げられ、高回転の伸びと官能的なサウンドを得る。フットワークはサスペンションメンバーの変更などが施され、フロントのロールセンター高は26mmダウン。操舵時の応答性を高め、リアのスタビリティも向上させた。

そして、2012年から2015年のNC3に移行。フロントフェイスはより低重心でアグレッシブなイメージに進化。歩行者保護基準に適合すべく、衝突時にボンネット後端を持ち上げる『アクティブボンネット』も採用された。

何よりのトピックは、目に見えない『ダイナミクス性能の超熟成』で、カタログの数値には表れない過渡特性(コントロール性)の極致が図られた。

ブレーキは倍力装置(マスターバック)のインナーパーツを見直し、しゅう動抵抗を徹底的に低減。それにより、効き側だけでなく、リリースの際のコントロール性も高めた。

エンジン本体のスペックはNC2と変わらないが、電子制御スロットルのマップを再チューニング。アクセル開度と加速Gが完全にシンクロし、アクセルの踏み込みに忠実に後輪に駆動力が伝わるようになった。

もっとも、NC1やNC2でも、チューニングによって、よりパワフルに、よりコントローラブルに仕上げていくことはできる。ベースの費用を抑えて、余力をチューニングに回す手も大いにありだろう。しかし、NC型の集大成である『NC3を味わう悦び』もまた、捨て難い誘惑である。


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