ARTISAN SPIRITS
Sports Line BLACK LABEL
GX550 OVERTRAIL+/VERSION L
異なる世界観を持つ2台のGX550





新緑のなかで、ひと際異彩を放つ「GX550」は、ともにアーティシャンスピリッツが生み出したものながら、2台それぞれの世界観は似て非なるものだ。
テレーンカーキマイカメタリック×ブラックの随所にブロンズをあしらうコーディネートを持つ1台は「アーティシャンスピリッツ×HKS」のコラボレーションとして話題を呼んだGX550オーバートレイル+だ。次いで生まれたもう1台はバージョンLのコンプリートカーである。開発テーマを「タフネス・ラグジュアリー」として、バージョンLの方向性に合わせて都会派SUVとしての世界観を際立たせた。先立って完成させたオーバートレイル+とは、ほとんどのボディパーツを違えて、新規に開発したという。
バンパー下部のデザインを整え、落ち着いた印象へと導くフロントスポイラーや、電動サイドステップを見越したサイドスポイラー、片側35mmワイド化によって自然なワイド感をもたらすオーバーフェンダーなど、車種別ならぬグレード別専用設計がそこにはある。
独特の模様が魅力のコンポジットカーボンも選択可



素材にもひと工夫がある。ボディ同色を前提とするFRPでエレガントな表情を生み出してもよし、カーボンを選択すればよりスポーティな印象をもたらす。さらに今回、新たな試みとしてコンポジットカーボンが登場した。独特のランダムな模様が大理石を思わせ、高級感とエキゾチックな印象を生み出す。リヤゲート&ルーフスポイラー、そしてCピラープロテクターに設定される。
サステナブルな素材の開発にもチャレンジ


このようにアーティシャンスピリッツは、スタイリングだけでなく自らの世界観を支える素材選びにも力を注ぐ。その象徴が、オーバートレイル+で参考出品した麻由来の天然素材だった。樹脂も土に還る天然素材を利用したサステナブルなボディパーツだという。材料が固いためエッジを研ぐのが難しく、さらに塗料(クリア)との相性も悪いなど、製作には困難を極めた。ディテールの処理などを含めて、現段階ではまだ販売予定はない。それでも彼らは挑戦を止めるつもりはない。さらなる研究と試作の先に、製品化される日がくるのかもしれない。
オンでもオフでも力強く、上質に




一方で、アーティシャンスピリッツらしいラグジュアリー性を、よりアウトドア方向へと振ったものがオーバートレイル+だといえる。とはいえ、目指したのは闇雲なオフロード方向ではない。自然(アウトドア)と都会(日常)の、どちらにも映える存在であること。オンでもオフでもより力強く上質であること。「重いトレーラーハウスを引っ張っても、我慢なくハイウェイを駆けぬけることができる」仕様である。
スタイリングの狙いは「鎧をまとう、都会派SUV」だという。確かに、ボディ全周に設けられるボディパーツはGX550オーバートレイル+をよりシャープな表情へと誘う。純正スタイリングが持つ旨みを熟知し、そこに己の意志を注ぎ込みながらも引き立てるデザインだと思う。
「純正のスタイリングを、鍛えられた人間の筋肉だと捉えて、そこにオーダーメイドしたプロテクター(鎧)を与える。そんなイメージを持ってデザインしました」と、アーティシャンスピリッツの代表にして、今もなおラフスケッチからデザインする公文純次氏は述べる。その鎧は確かに、実用性(防御力)と日本古来の装飾を両立させたかのような、独特の雰囲気を持っている。
こだわりのタイヤ&ホイールセレクト

ボディパーツのみならず、タイヤ&ホイールのセレクトにしても工夫がある。純正タイヤ外径をみると、バージョンLは824mm、オーバートレイル+は800mmとそれぞれ異なる。そのため、この2台ともにCORART A7PRO(10.0J×22インチ)ホイールにPARADA Spec-Xタイヤを組み合わせながらも、バージョンLは305/45R22を使う。だからこその片側35mmフェンダーであり、オーバートレイル+は285/45R22サイズにして片側25mmフェンダーにとどめている。同じ車種といっても、メーカー純正の設計を否定せずに、理想像を突き詰めていく姿勢を感じる。
HKSのノウハウが注ぎ込まれたチューニングパーツ

冒頭で触れたように、誰よりもこの世界観に惹かれたのは日本最大手の総合チューニングパーツメーカーであるHKSだった。GX550のような、リアルオフローダーでありながらプレミアムSUVでもあるGX550へ初めて挑むHKSは、アーティシャンスピリッツの世界観に共感し、ともに開発を進めることになった。まずはエキゾーストシステムと、マスタリーECUによるECUマップの最適化がある。結果として30PSほど最高出力が上積みされたというが、収穫は純然たる数値ではない。全域にわたってトルクアップし、まるでドライバーの感性へ自然に応えるような力強く気持ちいいフィーリングへと変わった。
パワーユニットと同様に、乗員に寄り添うサスペンションも見逃せない。純正ダンパーを流用することを前提に、HKS製スプリングと専用バンプラバーを開発した。だからこそ純正の電子制御ダンパー(AVS)、電子制御スタビライザー(E-KDSS)は活かされるなど、電子制御システムを享受できる。現在、まだセッティングの最中だというが、それでも荒れた路面をしなやかにいなす乗り味はとても好感触だ。
ユーザーが選べる個性

なお、HKS製サスペンションを使うオーバートレイル+に対して、バージョンLはアーティシャンスピリッツのローダウンスプリングで整えるなど、足まわりも違う設定となる。今後、このあたりはユーザーが選べる状態へと整える予定だ。
このように同じGX550といっても、グレードにより狙いや個性は異なる。それを見抜いて専用開発に乗り出し、“高性能”という上質なスパイスを振りかけながら“個性”を引き立ててみせたのがアーティシャンスピリッツであり、彼らの思想にHKSの技術がシンクロした。この完成度の高さを前に、異なる舞台で活躍する両者が、なぜそれぞれの世界でトップランナーだと称されるのか。その理由をあらためて実感した。この盤石のコラボによるGX550のさらなる熟成に──次なる挑戦にまで、期待に胸が膨らんだ。
LX600 のメニューも


GX550のほかに、アーティシャンスピリッツLX600のメニューも存在する。標準モデル、エグゼクティブを対象としたプログラムでは、精悍な顔つきのフロントマスクに加え、片側50mmワイドのオーバーフェンダー、そしてヒッチメンバーの機能を犠牲にしないリヤスポイラー、ボンネットフードのダクトなど。オンロードにもオフロードにも似合う柔軟性がある。さらにLX600に初設定されたFスポーツがある。オンロード志向で、機能性を犠牲にせずスポーティな雰囲気を盛り上げてくれる。片側50mmワイドのオーバーフェンダーやボンネットなど、アーティシャンスピリッツ節は健在だ。
REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/真壁敦史(Atsushi MAKABE)、ARTISAN SPIRITS
【PRICE LIST】
GX550 OVERTRAIL +
フロントプロテクター+ナンバープレートベース:16万5000円(FRP)
リヤサイドプロテクター:13万2000円(FRP)
オーバーフェンダー:23万1000円(FRP+CFRP)/21万4500円(FRP)
Cピラープロテクター:17万6000円(CFRP)/8万2500円(FRP)
リヤゲートスポイラー:12万1000円(CFRP)/7万4800円(FRP)
リヤルーフスポイラー:12万9800円(CFRP)/8万2500円(FRP)
CORART A7 PROホイール(22インチ×10.0J):32万100円~
HKSエキゾーストシステム:ask
HKS Mastery ECU:ask
HKSサスペンションシステム:ask
GX550 VERSION L
フロントスポイラー+ナンバープレートベース:17万500円(FRP)
サイドスポイラー(4P):13万2000円(FRP)
サイドスポイラー(6P):16万5000円(FRP)
リヤスポイラー:17万6000円(FRP)
オーバーフェンダー:23万1000円(FRP+CFRP)/214500円(FRP)
Cピラープロテクター:17万6000円(CFRP)/8万2500円(FRP)
リヤゲートスポイラー:12万1000円(CFRP)/7万4800円(FRP)
リヤルーフスポイラー:12万9800円(CFRP)/8万2500円(FRP)
CORART A7 PROホイール(22インチ×10.0J):32万100円~
ローダウンサスペンション:ask
【問い合わせ】
アーティシャンスピリッツ
TEL 048-711-4100
【取材協力】
HKS
https://www.hks-power.co.jp
