M-ENGINEERING×CREF MotorSport

PORSCHE 911 GT3(Type 991 II)/PORSCHE 718 Cayman GT4 RS(Type 982)

ポルシェマイスターとMエンジニアリングがコラボ

911 GT3 RSと、718ケイマンGT4 RSを用いた富士スピードウェイ本コースでのテストは「CREF新春走行会」というユーザー参加型の走行会で催された。Mエンジニアリングを筆頭としたサードパーティの魅力を訴えるために、積極的に“体験”を提供するのがクレフ・モータースポーツらしさだ。
911 GT3 RSと、718ケイマンGT4 RSを用いた富士スピードウェイ本コースでのテストは「CREF新春走行会」というユーザー参加型の走行会で催された。

クレフ・モータースポーツは、空冷水冷問わずポルシェの潜在能力を引き出すことに定評がある。長年の経験により裏付けられたチューニングセオリーをきっちり守りつつも、常に新しい挑戦を忘れずポルシェを鍛え上げる。

そんな能動的な姿勢を如実に感じさせるテストとなった。アメリカで芽生えた新しいECUソフトウェアビルダー、Mエンジニアリングをいち早く日本へと持ち込んで、タイムアタックの聖地である富士スピードウェイ本コースでその潜在能力を確かめた。Mエンジニアリングは新興ブランドとはいえ、クレフ・モータースポーツとの関係は深い。彼らが長きにわたり活用するCOBB(コブ)チューニングのエンジニアたち、ミッチ・マッキー氏とジョナサン・ヘベルン氏とが独立して生まれたブランドだからだ。彼らはかねてよりクレフ・モータースポーツの代表を務める水島文恭氏に全幅の信頼を置く。だからこそ、いち早く日本でのテストが可能となった。

WiFi経由でECUマップを書き換える

Mエンジニアリングはリバースエンジニアリング(仕様解析)からソフトウェア開発、キャリブレーション(調整・補正)までを自社で手がける。そんな彼らとユーザーをつなぐのが「M-Tuner」だ。OBD2に差し込む小さな筐体が、WiFi経由でクルマ側の頭脳(ECU)とMエンジニアリングを結びつける。エンジニアは個々のECUマップへとアクセスし、年式や仕向地、バージョンなど純正データを解析しながら、キャリブレーションを通して最適なマップへと書き換えていく。

そのうえでMエンジニアリングが開発したECUキャリブレーションを実装するのが「M-Flash」だ。主に変更するのは、燃料噴射量およびそのタイミング(空燃比)、点火時期、レブリミットの引き上げ、スピードリミッターの解除など。純正データを無視して、闇雲に最高出力を底上げするのではない。純正ECUが持つ高度な制御ロジックを理解したうえで、エンジンの有する能力をさらに引き出す。特に日本では燃料の品質がよく、安定しているため、信頼耐久性を損なわずに出力性能を引き出しやすい環境にあるという。

エンジンの能力をさらに引き出すセッティング

この日、俎板に上がったのは992型911 GT3 RSと、982型718ケイマンGT4 RSだ。ともに究極的なホットモデルながら自然吸気を貫くモデルでもある。出力性能アップをターボの過給圧に頼れない以上、針の穴を通すような綿密なリ・セッティングが必要となるはずだ。Mエンジニアリングがアメリカで用意したECUマップと純正マップとで、本コースを乗り比べた。テスターはレーシングドライバーにしてポルシェ・カレラカップにも参戦する山田 遼選手である。

「最高出力云々というよりも、低・中回転域のトルクが明らかに向上しました。だからこそとても乗りやすく、体感としては難なく1、2秒は速くなった感覚。富士は第3セクターがずっと上りなので、ミスしてもリカバリーしやすいところも、乗りやすさにつながっていると思います」

と、山田選手は印象を述べる。最初のテストののち、Mエンジニアリングによって911 GT3 RSの最高出力発生回転数を200rpmほど引き上げた(8500→8700rpm)。ストレートの長い富士を意識しての措置で、こうした微細なセッティングまで受け止めてくれるのが嬉しい。

ステージに合わせた設定や走行中のマップ切り替えも

このように走るステージや好みを反映させた個別のマップ、あるいは吸排気などをモディファイしたクルマに最適化したマップも、これから日本で展開していく。それもまた遠隔でECUへのアクセス&リ・マッピングができるシステムがあるからこそ。走行中にマップを切り替えることができるライブ・マップ・スイッチングも、GT3 RSを筆頭とするポルシェ勢には用意される。

この「M-Tuner」を窓口とすれば、今後長きにわたり、Mエンジニアリングと一緒になってポルシェを育てていくことができる。もちろん、クレフ・モータースポーツのサポート体制にも抜かりはない。彼らの技術を導入するということ──それは単に馬力を買うという意味ではない。ポルシェが提供するECUソフトウェアを真の意味で理解し、ユーザーごとに要望が異なるポルシェの走りを再定義することである。そのキックオフとなった今回のテストデイ。富士山麓の隅々にまで響き渡りそうな4.0リッター水平対向6気筒の猛々しい音色が、これからの華々しい未来を予感させた。

Mエンジニアリングの代表(創業者兼CEO)であるミッチ・マッキー氏(写真中)と、共同経営者を務めるジョナサン・ヘベルン氏(写真右)。クレフ・モータースポーツの代表を務める水島文恭氏(写真左)とは旧知の仲。彼らを最大の敬意を込めて「最高のカーガイたちであり、ECUオタクだ」と括る。
Mエンジニアリングの代表(創業者兼CEO)であるミッチ・マッキー氏(写真中)と、共同経営者を務めるジョナサン・ヘベルン氏(写真右)。クレフ・モータースポーツの代表を務める水島文恭氏(写真左)とは旧知の仲。彼らを最大の敬意を込めて「最高のカーガイたちであり、ECUオタクだ」と括る。

REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/望月勇輝(Yuki MOCHIZUKI)
MAGAZINE/GENROQ 2026年10月号

【問い合わせ】
クレフモータースポーツ
TEL 045-938-6809
https://cref-ms.jp