S53/ S63 (W221)
デジタル化の先駆けというべき先進装備

W140型での反省からダウンサイジングして1998年に登場したW220型「Sクラス」だったが、自社ブランドであるマイバッハの登場など高級サルーン市場の変化をうけ、2005年に登場したW221型では再び大型化、高級化することとなった。
スタンダードで全長5076mm、全幅1871mm、全高1473mm、ホイールベース3035mmとなったボディは、マイバッハ57/62の影響を感じさせる威風堂々としたもので、前後の大きなオーバーフェンダー、吊り上がったバイキセノンHIDヘッドライト、再びサッシュ式となったドアなどが外観上のポイントとなっている。
居住空間が大幅に拡大された室内は、樹脂パーツの多かったW220とは異なり、メタル、ウッド、レザーが多用される高級な仕立てに変貌している。加えてATシフトレバーがステアリングコラム右横のセレクターレバーとなったほか、8インチディスプレイのメーターパネル、さらにセンターコンソールに様々なインフォメーションの操作を集約したCOMANDシステムを標準装備するなど、デジタル化の先駆けというべき先進装備を投入しているのも特徴といえた。
そのほかESP、ABS、ASR(トラクションコンロール)に加えて、ブレーキアシスト、ディストロニック・プラス(レーダー制御クルーズコントロール)、ナイトビューアシストといった操安性、安全性の向上に寄与する電子デバイスも用意(一部オプション)している。
S65 AMGにはV12ツインターボを搭載

フロント4リンク、リヤマルチリンクのサスペンションにはエアマティックと呼ぶ圧縮空気を使ったエアサスペンションシステムを採用している。そのほかにも様々な先進装備、快適装備が組み込まれたW221型Sクラスだが、2006年にはそのハイパフォーマンスバージョンとして「S63 AMG」「S65 AMG」が登場する。
まずS63 AMGのエンジンはE63 AMGと同じ6.2リッターV8 DOHC M156自然吸気ユニットを搭載。2tオーバーの車重にあわせ、最大トルクの630Nmこそ同じものの、最高出力は525PSへと若干パワーアップされている。またそこに組み合わされるトランスミッションは7Gトロニックで、0-100km/h加速4.6秒、最高速度250km/h(リミッター)というパフォーマンスを発揮する。
一方、フラッグシップであるS65 AMGはマイバッハにも使用されたオールアルミ製6.0リッターV12 DOHCツインターボをベースにブースト圧を1.52barへと高め612PS、1000Nmを発生するM275AMGユニットを搭載。トランスミッションは大トルクに対応するためスピードシフト5速トルコンATとなり、その0-100km/h加速は4.4秒を記録する。またS63とともにあらゆる状況下でもボディを水平に保つハイドロニューマチックボディコントロール(ABC)が装備され、ハンドリング性能が向上したのも特徴である。
環境対策を迫られるもパフォーマンス向上

2009年、W221型Sクラスはマイナーチェンジを受け、アダプティブハイビームアシスト、ブラインドスポットアシスト、スピードリミットアシストなど様々な運転支援システム、安全装備を充実させた後期型へと進化する。それに合わせてAMGバージョンも2010年からS63 AMG、S65 AMGともに後期型へと進化している。
まずS63 AMGはエンジンを変更。6.2リッターのM156型から、5.5リッターV8 DOHCツインターボのM157型となった。これはM156型がクランクケースブリーザーバルブなどトラブルが多発したこと、またCO2排出量の削減など環境対策の必要に迫られたもので、排気量はダウンしたものの最高出力は544PSへ、最大トルクは800Nmへと大幅にアップ。ターボブーストを1.0barから1.3barへアップするハイパフォーマンスパッケージ装着車では最高出力571PS、最大トルク900Nmを発生するに至った。そのハイパワーに対応するためにトランスミッションもトルクコンバーターに代わって湿式多板クラッチを用いることで大トルクに対応可能なスピードシフトMCT 7速セミATに置き換えられている。
一方S65 AMGは、最高出力が630PSにアップされた6.0リッターV12 DOHCツインターボ M275AMGユニットを搭載。トランスミッションも引き続きスピードシフト5速ATが搭載された。

