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今日は何の日?■独創的なスタイリングを持つFFチェリークーペ

1971年(昭和46)年9月16日、日産自動車はチェリーシリーズに新たに3ドアクーペ「チェリークーペ」を加えて発売した。チェリーは、1970年に日産初の横置きエンジンのFFセダンとして誕生したが、それをベースにしたチェリークーペは、プレーンバックと呼ばれた曲面を使った斬新なクーペスタイルが注目を集めた。
イシゴニス式FFレイアウトを採用した日産初のFF車チェリー


日産初のFF車「チェリー」は、サニーの大型化にともなって日産のエントリーモデルの役目を担って1970年10月に誕生した。
チェリーは、トランクを持ったセミファストバックスタイルの2ドア/4ドアセダンで、アイラインウインドウと呼ばれた個性的なウエストラインからCピラーへのラインが特徴。エンジンは、サニーの最高出力58ps/最大トルク8.0kgmを発揮する1.0L 直4 OHVと80ps/9.7kgmの1.2L 直4 OHVツインキャブを横置きに変更して流用、トランスミッションは3速/4速MTが用意された。

注目された日産初のFFレイアウトは、“イシゴニス式”を採用。これは、トランスミッションとデフを一体化したトランスアクスルをエンジンの下に置く2階建てのレイアウトで、背が高くなり、コスト高になるため現在はほとんど採用されていない希少な方式である。
日産初のFF車として華々しくデビューしたチェリーだったが、販売成績は期待したほど伸びなかった。個性的すぎるスタイリングやクセの強いFFの走りなどが、エントリーユーザーには許容されなかったのだ。ただし、超軽量ボディに、4輪独立懸架を採用したチェリーの走りは、扱い難い一方で他車を圧倒する魅力があった。特にチェリーX-1は、車重655~670kgと軽量で、クセのある走りを乗りこなす楽しさがマニアからは熱い支持を受けた。
独創的なスタイリングのチェリークーペを追加


翌1971年9月のこの日、3ドアクーペ「チェリークーペ」がラインナップに加わった。全高は65mm下げ、大きな開閉式リアゲートを持つプレーンバックと呼ばれたさらに独創的なスタイリングを採用。サイドウインドウのアイラインを継承し、リアフェンダーのマッハラインなどスポーティかつ個性的なクーペとなった。

ボディ形状や重量増しに対応して、4輪独立懸架の専用セッテイングのサスペンションを採用。特にスポーティなトップグレード「1200X-1・L」には、レザートップや大型パット付木製ステアリングホイール、木製シフトレバーノブなどが標準装備された。

エンジンは、最高出力58ps/最大トルク8.0kgmの1.0L 直4 OHVエンジン、68ps/9.7kgmの1.2L 直4 OHV、最上級グレードのX-1には最高出力80ps/9.8kgmの1.2L 直4 OHVツインキャブ仕様を搭載。トランスミッションは3速/4速MTが組み合わされた。

高性能グレードX-1を中心に、チェリーは走り好きのマニアから熱狂的に支持され、日産のワークスマシンとしても数々のレースで活躍。後に“日本一速い男”の称号を得ることになる星野一義選手がまだ駆け出しの頃、他のドライバーがFF特有の挙動に苦しむなか見事にチェリーを乗りこなし、“チェリーの星野”として名を上げたのは有名な話である。



車両価格は、49.3万~59.3万円に設定された。当時の大卒初任給は4.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約241万~290万円に相当する。



2代目チェリーF-IIを最後にパルサーにバトンタッチ
1974年9月に「チェリー」は、初めてのモデルチェンジで2代目となり、その名も「チェリーF-II」となった。チェリーF-IIは、排ガス規制対応に苦しみながらも、より大きくより高性能というように上級志向に舵を切った。

先代の横置きエンジンのFFレイアウトという基本コンセプトを踏襲。先代同様セダンとクーペが用意されたが、シャシー、ボディは大型化され、エンジン構成は先代の1.0Lと1.2Lから、1.2Lと1.4Lへと高性能化された。

新設の1.4Lエンジンは、最高出力80ps/最大トルク11.5kgmを発揮する1.4L 直4 OHV 2バレルキャブ仕様で、標準的な1.2Lエンジンも同じく2バレルキャブ仕様に変更された。トランスミッションは4速MTだが、1.4Lにはオプションで5速MTが用意された。
車両価格は、57.3万~77.8万円(セダン)/66.7万~80.1万円(クーペ)に設定された。

2代目チェイサーF-IIは、排ガス規制対応や快適性の向上のために徐々に個性を失い、初代ほどのインパクトは残せなかった。そして、チェリーは1978年5月に登場した「パルサー」登場とともに、ラインナップから消えた。
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チェリークーペの個性的なスタイリングとその優れた走りは、若者や走り好きから人気を獲得した一方、エントリーモデルとしてはクセのある挙動が一般大衆に敬遠され、販売は期待したほど伸びなかった。ただし、後世にその独創性によって大きなインパクトを残したモデルであることは、間違いない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
