V6+CVTを捨てた4代目ムラーノ。2.0L VCターボ+9速ATへ
約12年ぶりに日本市場へ復活した日産「ムラーノ」。北米を主戦場とするプレミアムクロスオーバーとして独自のポジションを築いてきたモデルだが、本国・米国では4代目へのモデルチェンジを機に販売が大きく回復している。

しかも、その勢いは日本のトヨタ「クラウン エステート」に相当する北米向け「クラウン・シグニア」を上回るほどだ。

米国で販売される現行ムラーノは、2024年に発表された4代目。スリムなヘッドライトと「デジタルVモーショングリル」を組み合わせ、先代からフロントマスクを大幅に刷新した。
パワートレーンも大きく変わっている。従来の3.5L V型6気筒から2.0L直列4気筒VCターボへ変更し、トランスミッションには9速ATを採用。長く続いたV6+CVTという組み合わせから大きく方向転換した。
さらに2027年モデルでは、新グレード「Dark Armor(ダーク・アーマー)」を追加する。
その名の通りブラックを効果的に使った仕様で、グロスブラック仕上げの21インチホイールをはじめ、前後バンパーのブラックアクセントや専用バッジなどを装備する。
さらにパノラミックムーンルーフ、ステアリングヒーター、10スピーカーのBOSEオーディオなども採用。単なるドレスアップ仕様ではなく、装備面でも充実した上級グレードに仕立てられている。
2027年型ではグレード構成も変更され、従来のエントリーグレード「SV」を廃止。「SL」「Dark Armor」「Platinum」の3グレードとなった。
米国価格はSLが4万3990ドル、Dark Armorが4万6990ドル、Platinumが4万9790ドル。SVの廃止によって実質的なスタート価格は上昇したが、低価格で販売台数を稼ぐより、上級クロスオーバーとしての立ち位置を明確にする狙いが見えてくる。
販売は前年比121.3%増! クラウン・シグニアの約2.1倍
そして注目したいのが、ムラーノの販売が実際に大きく伸びていることだ。
日産の公式販売データによれば、2025年の米国販売台数は4万2747台。2024年の1万9316台から121.3%増と、実に2倍以上へ急増した。新型への世代交代が販売を大きく押し上げた格好である。
ここで興味深いのが、トヨタ・クラウン・シグニアとの比較だ。
クラウン・シグニアは、日本の「クラウン エステート」と基本設計を共有する北米向けモデルだ。」パワートレーンや商品コンセプトは異なるものの、2列5人乗りの上級クロスオーバーという点では、ムラーノと顧客層が重なる部分もある。
クラウン・シグニアが2.5Lハイブリッドによる燃費性能を大きな武器とする一方、ムラーノは2.0L VCターボを搭載し、デザインや快適性、装備を含めたプレミアム感を前面に押し出す。
クラウン・シグニアの2025年米国販売は2万550台。一方、ムラーノは4万2747台だから、実に約2.1倍である。しかもクラウン・シグニア自身も2025年に年間販売記録を更新している。それを上回るのだから、新型ムラーノの販売回復ぶりはかなり鮮明だ。両車は異なるアプローチで北米の上級クロスオーバー市場を狙っているが、少なくとも販売台数ではムラーノが存在感を示している。
日本にも約12年ぶりに復活。300台限定のその先は?
そして、そのムラーノを取り巻く状況は日本でも大きく動いた。
日本では2015年に2代目の販売を終了したが、2026年に約12年ぶりとなる復活を果たした。米テネシー州スマーナ工場で生産される車両を輸入し、300台限定の受注生産モデルとして導入されている。
価格は796万4000円。ボディサイズは全長4900mm、全幅1980mm、全高1725mmという堂々たるものだ。
搭載する2.0L直列4気筒VCターボは最高出力245ps、最大トルク352Nmを発揮し、9速ATと4WDを組み合わせる。北米生まれの大型クロスオーバーらしいキャラクターを色濃く残した日本仕様となっている。
もちろん、300台限定という規模だけに、現時点で日本市場の量販モデルと呼べる存在ではない。それでも、一度ラインアップから姿を消したムラーノを、日産が再び日本へ持ち込んだ意味は小さくない。
しかも本国・米国では、4代目への世代交代によって販売台数が2倍以上へ急増し、2027年型ではDark Armorを追加するなど商品展開も活発化している。
日本での限定導入がどれだけの反響を呼ぶのか。そして300台の先に、さらなる展開が用意されるのか。米国で鮮やかな復活を遂げたムラーノだけに、日本でも再び定着できるか注目したい。









