目指すはツアラー初の筑波56秒台!

トラクションを極めた最速JZX100

JZ系エンジンを搭載するツアラー系を得意としながら、現行スポーツモデルまで幅広い車種のチューニングを手掛ける実力派ショップ“ラスティー”。ストリートからドリフト、タイムアタックまで、さまざまなステージで培ってきたノウハウを持つ同店が、筑波サーキットでの速さを追求して作り上げたのが、このJZX100マークIIだ。

では、重量級のFRセダンであるJZX100をタイムアタックマシンへと仕立てる上で、速さを左右するポイントはどこにあるのだろうか。

ラスティー代表の有田さんに「JZX100のタイムアタック仕様を作る上で、最も重要なポイントは?」と聞くと、「どこか一箇所をチューニングすればいいという話ではなく、軽量化とトラクション性能を高いレベルで両立させることですね」と答えてくれた。

有田さんによれば、JZX100は単純に軽量化を進めるとフロントヘビーになり、コーナー立ち上がりでホイールスピンしやすくなってしまう。その結果、せっかくのパワーを路面へ十分に伝えられなくなってしまうという。そこでラスティーでは、トラクションを確保するために4つのアプローチを採用している。

まずは重量配分の改善だ。リヤラジエター化に加え、大容量バッテリーをリヤシートがあった部分へ移設し、安全タンクも後方に配置。重量物を可能な限りリヤへ移動させた上で、ノーマルでは1450kg前後ある車重を1090kgまで軽量化している。

トランクには大型の電動ファンを備えたリヤラジエターを搭載。フロントから重量物を取り除きながら、後軸側へ荷重を持たせることで、リヤのトラクションを確保している。

単純に車重を削るだけではなく、「どこに重量を残すか」まで考え抜かれているわけだ。

次に手が入るのがリヤサスペンション。トラクションロッドを筆頭にヤナック製アームを投入してピロボール化し、デフマウントは溶接によってリジッド化。リヤサスペンションメンバーにもカラーを入れてリジッド化することで、ブッシュなどによる余計なたわみを徹底的に排除している。

ちなみに、機械式LSDはクスコRSを採用し、カムは1.3ウェイ程度の設定とのこと。

車高調はアラゴスタをベースとしたラスティーオリジナル。スウィフト製スプリングはフロント26kg/mmに対してリヤ10kg/mmという組み合わせで、加速時にリヤをしっかり沈み込ませ、トラクションを稼ぐセッティングとしている。

フロントには延長ロワアームを装着し、約100mmワイド化したトレッドに対応。前後とも調整式アームを駆使して、タイムアタックに適したアライメントへと仕上げられている。

ブレーキはフロントにブレンボF50キャリパーとRDD製360φローターを組み合わせ、パッドにはエンドレスCC60を使用。大幅な軽量化と高いコーナリング性能を支える制動系も、抜かりなく強化済みだ。

そして3つ目が、エンジン特性だ。

2JZブロックを用いて1.5JZ化し、排気量を3.1Lまで拡大。さらに、あえて高回転型の特性とすることで中回転域のトルクを抑え、ホイールスピンを最小限に抑制している。タービンにはGCGが取り扱うギャレットG35-990を組み合わせ、最大ブースト圧1.6キロで約750psを発揮する。

ただ大トルクでクルマを蹴り出すのではなく、コーナー出口ではトラクションを掛けやすく、ストレートに入ってから一気にパワーを引き出せる特性としているのがポイント。

750psという最高出力だけを追い求めるのではなく、あくまで筑波でタイムを出すためのパワー特性に仕上げているのだ。

そのパワーを路面へ伝えるトランスミッションには、軽量かつ高強度なTTI製4速シーケンシャルを採用。ミッションマウントはラスティーでワンオフ製作されている。エンジン制御はLINKフルコンが担当する。

そして最後の4つ目が空力だ。

このマシンを象徴する、ルーフよりも高い位置にマウントされた大型3D形状GTウイングは、走行風を確実に捉えて強力なダウンフォースを発生させる。支柱はトランク内でフレームに直結するパイプへとマウントされており、発生したダウンフォースをしっかりとボディへ伝える構造だ。

さらに、リヤタイヤよりも後方のボディへダウンフォースを入力することで、テコの原理を利用してリヤタイヤを路面へ押し付け、トラクションを高める狙いもある。

重量物を後方へ移すことで静的な重量配分を改善するだけでなく、速度が上がるほど空力によってリヤを押さえつける。これもまた、JZX100のトラクションを高めるための重要なアプローチなのだ。

当然、それだけの荷重を受け止めるボディ側にも手が入り、フルスポット増しによって高剛性化。足まわりや空力パーツを確実に機能させるための土台もしっかりと作り込まれている。

コクピットもタイムアタック車らしくシンプルにまとめられ、オートメーター製ブースト計とAIM製デジタルメーターに必要な情報を集約。ペダルもチルトン製のオルガンタイプへと変更されている。

こうした4つの要素を高いレベルで組み合わせることで、トラクション不足に陥りやすいJZX100を、コーナー立ち上がりから力強く加速できるマシンへと仕上げている。

筑波サーキットで57秒712というツアラー最速タイムを記録できた理由は、750psというスペックだけではない。重量配分、リヤサスペンション、エンジン特性、そして空力。これらを緻密に組み合わせたトータルバランスこそが、このJZX100の速さを生み出しているのだ。

ちなみに、このJZX100はもともとドリフト仕様だったが、オーナードライバーである“ノブえもん”さんがタイムアタックにハマったことで、現在の仕様へと進化していったもの。ノブえもんさんはJZA80スープラでもタイムアタックを楽しんでおり、こちらでは55秒458という歴代58位(2026年9月現在)の記録を持っている。

そして、このJZX100はまだ完成形ではない。

ノブえもんさんのスキルアップに合わせて、現在は扱いやすさを重視して抑えているエンジンパワーを、今後さらに解放していく予定。次なる目標は56秒台だ。

その目標を達成した暁には、ボディも純正色からオールペンされるというから、さらなるタイム更新とともに、その姿の変化にも期待したい。

●取材協力:カーメイクラスティー 千葉県白井市冨士51-4  TEL:047-441-6226

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