「正解」ではなく自分の感性で選ぶアルファ ロメオの魅力

今回の発表会でアルファ ロメオが打ち出したのは、単なる限定車の商品紹介だけではない。2台の「Sport Speciale」を通じて伝えようとしたのは、効率や合理性だけでは測れない、クルマを感性で選ぶことの価値だ。
その考えを象徴するキーワードとして、Stellantisジャパンのアルファ ロメオ ブランドヘッド、黒川進一氏が語ったのが「アンチ・コモディティ」である。

AIやアルゴリズムがおすすめを提示し、ランキングやレビューから「失敗しない選択」を見つけやすくなった現在。そんな時代だからこそ、自分自身が見て美しいと思うのか、ステアリングを握って心が高鳴るのか。アルファ ロメオは、人間自身の直感や感性でクルマを選ぶことに価値を置く。
そして、その考えを具現化したモデルとして披露されたのが、「JUNIOR Ibrida Sport Speciale」と「TONALE Ibrida Sport Speciale」だ。

2台の「Sport Speciale」は、専用パーツで“色気のあるスポーツ”を表現

「ジュニア イブリダ スポルト スペチアーレ」は、2026年8月6日に発売された140台の限定車で、価格は525万円。ジュニア イブリダをベースに、通常モデルとは異なる専用装備によってスポーティさと上質感を高めている。
エクステリアでは、グロスブラックにシルバーのインサートを組み合わせた専用ボディキットを採用。足元には18インチの「フォリ」アルミホイール(マイロンフィニッシュ)を装着する。

インテリアではアルカンターラとテクノレザーを組み合わせたシートを採用。アルファ ロメオがイベントで表現したのは、単にスポーティなだけではなく、ホテルや老舗の車寄せにも溶け込むような「大人のエレガンス」だ。
一方の「トナーレ イブリダ スポルト スペチアーレ」は、2026年3月に登場した新型トナーレとして初の限定車。9月24日に発売され、限定60台、価格は688万円となる。

トナーレ イブリダ ヴェローチェをベースに、シルバーアクセントを取り入れた専用エクステリアを採用。室内にはホワイトステッチを施すほか、アルファ ロメオの象徴である大蛇「ビショーネ」をモチーフとした専用アンビエントライトも備える。

2台に共通するのは、単純な性能向上を狙ったモデルではなく、素材の質感や光と影によって変化する表情まで含めて、五感に訴えるクルマに仕立てられていることだ。
斎藤工「多少の不具合も含めて個性」に惹かれる

「イタリア映画・デザイン・ライフスタイルとアルファ ロメオ」と題したトークショーには映画監督・俳優の斎藤工氏が登場。「矛盾の美学」をテーマに、イタリア映画とアルファ ロメオの共通点について語った。
斎藤氏はイタリア映画の魅力について、「人間の醜さとか欲望とかを隠さない」と表現。美しさだけでなく、人間の生々しさや本能まで作品に取り込み、矛盾を矛盾のまま描くところにイタリア独特の豊かさがあるという。

クルマについては、自身を「マニュアルで免許を取る世代」としたうえで、「多少の不具合みたいなものも含めて、個性とする」とコメント。効率性そのものを否定するわけではないが、その先にはない“はみ出した部分”に、人間が惹かれるものがあるのではないかと語った。
これは、合理的な正解ではなく、感性を重視するアルファ ロメオの考え方にも通じる。
映画『卒業』にも通じる「正解じゃないところ」の魅力とは?

トークでは、アルファ ロメオが登場する映画として1967年公開の『卒業』も取り上げられた。
斎藤氏は、社会から提示された“正解のレール”から主人公が外れていく物語として同作を捉え、劇中のアルファ ロメオ スパイダーについて「これは車が登場する映画というよりは、出演者なんじゃないかなと思います」と語った。
さらに現代は効率性や「正解」が手に入りやすい時代だとしたうえで、「正解じゃないところに実は人間の本質とコクが詰まっているんじゃないか」と指摘。「僕も正解だけを選びすぎないように、アルファロメオを意識しながら、ものを作ったり、演じたりしていきたい」と締めくくった。
合理的な正解だけを求めず、自分自身の感性で選ぶ。今回披露された2台の「Sport Speciale」と斎藤氏の言葉は、アルファ ロメオが掲げる「アンチ・コモディティ」という価値観を、クルマとカルチャーという異なる方向から浮かび上がらせるものとなった。


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