間瀬サーキット軽自動車レコードを樹立!

自宅ガレージで進むフルカーボン化計画

YouTubeチャンネル『いば技研』では、自宅ガレージで解体屋から格安で手に入れたカプチーノをベースに、レーシングカーを作り上げる企画を続けている。しかし、彼のプライベーターとしての原点は、そのずっと前に遡る。22歳のとき、初めてのマイカーとしてカプチーノを購入したことがすべての始まりだった。

スポーツカーのプラモデルを作る父親の影響もあり、仕事で使う営業車で弥彦山スカイラインを走る楽しさを覚えたことから、足グルマとして手に入れたのが最初のカプチーノだった。状態が良いと思って購入したものの、実際には修理を重ねなければまともに走れないほどボロボロ。そこで、実家のカーポートを使い、仕方なくDIYで修理するようになったという。

なかでもエンジンはオイル漏れを起こしながら走るような状態だった。みんカラや個人のホームページを参考にアストロのエンジンクレーンを購入し、エンジンの脱着からオーバーホール(O/H)まで、見よう見まねでこなした。

ちなみに当時は音楽学校を卒業し、音楽関係の仕事に就いていた。しかし、クルマいじりが自分の性に合っていることに気づき、23歳で自動車整備学校に入り直す。その後、ディーラーメカニックなどを経験し、4年前から整備工場で働くようになった。

その後、新車の86も購入したが、自ら整備し、手を加えながら乗り続けてきたカプチーノへの愛着は強く、いつしか86以上に夢中になっていた。現在では部品取り車も含め、敷地内に合計7台のカプチーノを所有するほどのマニアとなっている。

そして2020年、土地付きの中古戸建てを購入。念願だった2柱リフト付きガレージを新設したことで、活動は大きく加速した。YouTubeチャンネル『いば技研』も、ガレージでカプチーノの整備記録を残そうとしたことが開設のきっかけだったそうだ。

ガレージは、2柱リフトの設置を大前提に天井高4mを確保。積載車やトラックも入庫できるよう、間口の広いシャッターを特注した。エアコンによる空調管理をしやすくするため、断熱性にもこだわった木造構造を採用。さらに、三相200Vの動力電源まで導入している。

設備も徐々に充実させてきた。半自動溶接機は、当初100V仕様の中国製モデルを購入したものの、思うように使えず失敗。「最初からスズキッドの200Vを買えば間違いなかった」と振り返る。現在ではアルミ溶接が可能なTIG溶接機まで導入し、自宅ガレージとは思えないほどの作業環境を整えている。

YouTubeを始めるきっかけにもなった現在のレーシングカーは、解体屋から4万円で手に入れたボディがベース。ホワイトボディの状態から全スポット増しを施し、ロールケージも市販品より軽く仕上がるよう、素材やパイプ径を吟味して製作するなど、徹底した作り込みが行なわれている。

エンジンは、モンスター製の67φ鍛造ピストンを使用して700ccにボアアップしたF6A。シリンダーには鏡面加工を施し、ヘッドにはニュース製のハイカムを組み込んだうえで、ポート研磨まで自ら手掛けた。タービンには、低速トルクも十分に発揮できるサイズとしてZC33S型スイフトスポーツの純正品を選択。エキゾーストマニホールドも、輪切りにしたパイプを溶接してレイアウトを決めた自作品だ。

エンジン制御はLINK化に合わせてボッシュ製の電子スロットルへと変更し、青森のトライバルでセッティングを実施。最高出力は約150ps、最大トルクは20kgmを発揮する。

さらに、50φのマフラーは軽さにこだわったアルミ製。熱の影響でフランジが曲がり、排気漏れを起こしやすいため、走行するたびにメンテナンスが必要になるという。それでも「軽さには代えられない」と、こだわって使い続けている。

足まわりには、以前から憧れていたというアラゴスタの車高調をチョイス。調整式アームは、カプチーノ用を製作している別のプライベーターに依頼して製作してもらったものだ。

駆動系のなかでも、とくに負担が掛かるのがミッション。過去にブローを経験したことから、5速のみクロス化した純正ミッションにWPC加工を施し、ケースのボルトも大型化することで剛性を高めている。

現在、いば技研が掲げる目標は「カプチーノで日本最速の軽自動車を作る」ことだ。

その実現に向けた大きな転機となったのが、軽量化への取り組みだった。昨年、自らカーボンパーツの製作に挑戦し、最初の作品としてバスタブ構造の左右ドアを製作。市販のカーボンルーフやポリカーボネート製ウインドウと組み合わせることで、40kgもの軽量化を実現した。その効果は想像以上だったという。

そして今年3月、間瀬サーキットで1分7秒543を記録し、軽自動車レコードを樹立。これまでにない走りの違いを体感したことで、次に目指すべき方向性も明確になった。

今後はさらなる軽量化と空力性能の向上を同時に進め、最終的には車両のフルカーボン化を目指す。そのため、ガレージ内にはカーボンパーツ製作で重要となる樹脂作業を一年中安定して行なえるよう、専用の温室までDIYで設置。内部を約50℃に保つことができ、ポストキュアと呼ばれる硬化処理にも対応できる環境を整えた。

さらに、カーボンパーツ専門メーカーのCFラボを訪れて工場を見学し、ノウハウを学びながら技術を磨いている。取材時には、フロントバンパーとフェンダーをカーボン化するための型を製作している最中だった。こうした手間の掛かる作業には奥さんも協力し、二人三脚で作業を進めているという。

現在はフロントまわりの型取りに向け、車両を分解している真っ最中。自宅ガレージでのDIY整備から始まった挑戦は、エンジンのオーバーホールや溶接を経て、ついにカーボンパーツの製作にまで発展した。

次なる目標は筑波サーキット。間瀬で軽自動車レコードを樹立した700cc&150psのカプチーノが、さらなる軽量化と空力性能の向上によって、どこまで速くなるのか。『いば技研』のYouTubeチャンネルで、その進化を追い続けてほしい。

PHOTO&REPORT:Miro HASEGAWA (長谷川実路)

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