Super Formula Lights

ビジネスとレースの相乗効果

ジェントルマンドライバーのKEN ALEX氏
ジェントルマンドライバーのKEN ALEX氏

9月13日、スーパーフォーミュラ・ライツがモビリティリゾートもてぎで行われた。全18戦で争われる2026年シーズン最終戦となる。登竜門として知られるこの本格的フォーミュラレースに参戦するドライバーの間で、近年ひときわ存在感を放っているのが「ジェントルマンドライバー」たちだ。アマチュアドライバーだが、少なくない参戦費用を捻出するため、事業で成功し、ある程度年齢を重ねていることが多い。

多忙を極める経営者でありながら、なぜ彼らはモータースポーツの中でも過酷なフォーミュラカーレースに身を投じ、頂点を目指すのか? その過酷な挑戦を継続する情熱の源について、今年スーパーフォーミュラ・ライツのマスタークラスでチャンピオンを獲得したジェントルマンドライバーのKEN ALEX氏に訊いた。

「順位を決めるシビアな世界なので、勝負勘みたいなものがかなり養われます。僕は40歳からレースを始めてまだ4年しか経っていないのですが、その間に会社の年商がこの4年で3倍くらいになりました。タイミングもあったかもしれませんが、自分の中ではレースとかなり結びついていると思っています。『戦う』『挑む』『チャレンジする』という感覚に精通できたことが、会社経営にも活きていると感じています」

「40代中盤から後半になってくると、ビジネスでは、予想外のことが起きづらくなってくるんですよね。つまり、全く見当外れのことって起きづらいんです。でも、モータースポーツは本当に緻密で、セッティングが外れたら1秒遅くなるようなことも起きる。そこはすごく勉強になります」

多忙を極める中での時間管理

ジェントルマンドライバーのKEN ALEX氏
ジェントルマンドライバーのKEN ALEX氏

趣味の領域を遥かに超えた本気の挑戦。だからこそ得られる人生やビジネスへのリターンとは何だろうか。

「明確なリターンってぶっちゃけないんですが(笑)。さっき言ったように、中年になってくると挑戦することってあまりないですし、全く分からないことをゼロから勉強しなきゃいけないってことってなかなか減ってくると思うんです」

「だからこそ、常に自分をそういう立ち位置に置きながら、日々勉強、日々チャレンジをして体を鍛えていくっていうのはかなり重要ですし、人生をかけて戦っている若い子たちや、人生をかけて参加しているジェントルマンドライバーの先輩方と一緒に1年間を通して勝負をしていくっていうのは、とても有意義で、自分の人生にとってもかなり貴重な期間になっています」

フィジカル・メンタルともに過酷なトレーニングを継続するためには、徹底した自己管理が不可欠だ。プロではない彼らは、仕事の合間を縫ってどのようにトレーニング時間を捻出しているのだろう?

「ここが一番難しくて、僕らはプロではなく、むしろ仕事の時間の方が圧倒的に多いです。僕の場合はシミュレータートレーニング(シム)をかなり取り入れてます。カートトレーニングは丸1日潰れてしまうのであまりできませんが、シムを会社に置いて会議と会議の間にちょっと1時間空いていたらそこで乗って……みたいなのをかなり繰り返しました」

「レースウィークもまるまるサーキットにいるっていうのは、ほとんどないんです。昨日も一旦東京に帰って仕事して、またもてぎまで来て寝て、朝起きて……みたいな感じです。時間は無理やり開けるしかないというか、もう『気合い』です(笑)」

チャンピオン獲得の瞬間と未来へのメッセージ

KEN ALEX氏とBUZZ RACINGのメンバー
KEN ALEX氏とBUZZ RACINGのメンバー

そして、ついに迎えた最終戦。並みいるライバルを退け、KEN ALEX氏は見事に栄冠を掴み取った。

「過去にいなかった参戦初年度のチャンピオンを目標にしてたので、ひと安心です。40歳でカートも未経験の僕が44歳で日本のジェントルマンドライバーの最速カテゴリーでタイトルを取れました。もちろんビジネスをしながら」

「僕の場合にはカートとシミュレーターを活用してここまでこれました。ただ、普通は何からやっていいか分からないと思うし、参戦のやり方も練習のやり方も知らないと思います。僕らはBUZZ RACINGというチームを数年前に発足して、ジェントルマンドライバーで交流会をやったり、走行会をやったり、みんなでレースに出たりしてます。同じような環境の人たちがいっぱいいて手軽に参加できるので、ぜひご連絡お待ちしております。まだまだ僕らのチャレンジは始まったばかりなので、今後も楽しみにしててください」

多忙な経営者でありながら、仕事も趣味も本気で挑み続ける──、その姿は、同じようにビジネスや人生で挑戦を続けるすべてのビジネスパーソンにとって、強烈な刺激と希望を与えるだろう。

PHOTO/田村弥(Wataru TAMURA)、大島洋行(Hiroyuki OSHIMA)

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