次期E-208から導入するデザイン言語「フェライン・フューチャー」を初採用

E-T16コンセプトは、205 T16のWRC連覇から40周年を記念したモデルだ。デザインでは205 T16を引用する一方で、次期E-208から導入する新しいデザイン言語「フェライン・フューチャー」を初めて取り入れた。プジョーは、このクルマを「ハイパーハッチ」と呼んでいる。

プジョーのデザインディレクター、マティアス・オッサン氏はこう話す。

「E-T16コンセプトは、次期E-208のラインを再解釈し、すべてのプロポーションを極限まで押し広げたクルマです。私たちのヘリテージを称えながら、パワーとスポーティさをデザインの言葉に置き換えた、ラジカルなデザインです」

3本の爪を横向きにしたライトシグネチャー。次期E-208を予告するフロントフェイス

エクステリアでいちばん大きく変わったのは、プジョーの「3本の爪」をモチーフにしたライトシグネチャーだ。これまで縦方向に配置していた3本の爪を、前後とも横方向に配置した。細長く光る3本のバーで、プジョーのエンブレムを挟む構成になっている。横方向の線を強調することで、車体の低く踏ん張ったスタンスを際立たせる効果も狙っている。

ボディは大きく張り出したホイールアーチで構成した。ボンネットには2つの大きなエアアウトレットを設け、フロントバンパーには3つの大きな冷却用インテーク、フロントホイールの後ろにはエアエクストラクターを配置している。

リヤのアンダーボディには、角度を調整できる2枚のエアロブレードを備えたツインディフューザーを組み込み、ダウンフォースを高めた。その上に、プジョーの特徴である大型の「キャットイヤー」リヤウイングを載せている。

グレーのボディ色、ボディを一周する赤いライン、跳ね上がるリヤセクションを205 T16から継承

205 T16を思わせる要素も多い。ボディ色は「ウィンチェスター・マットグレー」で、205 T16のグレーをイメージした色だ。シルバーのマイクロブラスト仕上げのホイールには、ボディ色のインサートを組み合わせた。ボディを一周する赤いラインはバックライトで光り、205 T16の赤いピンストライプを表している。

205 T16では、リヤホイールの前のエアインテークがエンジンに空気を送っていた。E-T16コンセプトでは、この位置に充電口とドアの開閉機構を収めている。

その上のフローティング形状のCピラーも205 T16から受け継いだ。形状を最適化し、空気がリヤへスムーズに抜けるようにしている。

205 T16と同じように、リヤボディはセクションごと跳ね上げて開く。開けると、プジョー・スポールが開発した2つのリヤモーターやダンパーなどのシャシー部品が、カーボンのプラットフォームの上に並ぶ。赤いパイプ製のロールケージも、このときに見える。ヘルメット2個が入る収納スペースもある。

21インチのパノラミックディスプレイとステアバイワイヤの「ハイパースクエア」で次世代i-Cockpitを先取り

インテリアは、次期E-208のインテリアを、スポーティで特別な仕立てで先取りしたものだ。完全デジタル化した次世代の「i-Cockpit」に、新しいステアリング「ハイパースクエア」を組み合わせた。

ドライバーの視線の先には、3008や5008と同じように緩やかにカーブした、21インチの薄型パノラミックHDディスプレイをレイアウト。ヘッドアップ式のメーター表示と、センターのタッチスクリーンをひとつにまとめている。その下にハイパースクエアを配置した。

ハイパースクエアは、WECに参戦するプジョー9X8のステアリングをもとにしたもので、ステアバイワイヤ式を採用する。次期E-208に搭載するものとほぼ同じだが、E-T16コンセプトでは、通常はエアバッグが入る中央部分にディスプレイを組み込んだ。4点式ハーネスを採用したため、エアバッグが不要になったからだ。ハイパースクエアにディスプレイを組み込むのは初めてで、速度やラップタイムなど、走行状況に合わせた情報を表示できる。

またセンターコンソールには、ラリーカーと同じ縦引きの油圧式ハンドブレーキを備える。

カーボンシェルのバケットシートには、背もたれに赤いアクリルのライン

室内のレイアウトは、操作系や表示をドライバーに向けて集めながら、助手席側は開放的にするという、プジョーのインテリアの考え方に沿っている。

バケットシートは、センターコンソールとつながったカーボンシェルで成形し、腰と肩をしっかりとホールドする形状としている。表皮にはテクニカルな織物と、皮革製品の製造で出た、なめす前の端材を再利用したレザー「PELINOVA(ペリノバ)」を使っている。

シートには、座面からヘッドレストまで縦に赤いラインを通した。背もたれの部分はアクリル製のパーツで、ボディを一周する赤いラインと同じモチーフだ。アクリルのパーツは体に触れない位置にあるので、座り心地には影響しない。

赤は、プジョーのGTiモデルを象徴する色だ。ルーフライナーには、赤から黒へグラデーションで変化するテクニカルメッシュを張った。新しいE-208 GTiの赤いカーペットにちなんだものだ。

3つのモーターで816hpを発生。0-100km/h加速は2.5秒、0-300km/h加速は16秒

パワートレインは、フロントに1つ、リヤに2つのモーターを配置し、合計出力は816hp。プジョーの歴代モデルで最も高い出力で、プジョーによると、これに並ぶのは2013年のパイクスピーク・ヒルクライムで記録を出した競技車両、208 T16パイクスピークだけだという。1hpあたりの車両重量は2kgを切る。0-100km/h加速は2.5秒、0-300km/h加速は16秒だ。

バッテリーは容量85kWhで、800Vのアーキテクチャを採用。WLTP複合モードの航続距離は最大400km、10〜80%の充電は15分未満。レース由来の「サイドクーリング」でバッテリーセルを側面から冷やし、高温による出力制限を防いでいる。パフォーマンスモードでは、ニュルブルクリンク北コースを出力制限なしで3周(60km以上)走れるという。