本能的で官能的なデザイン。これが新しいデザイン言語「Feline Future」
RCZビジョンのデザインは、初代RCZの特徴だったダブルバブルルーフとアーチ、走行中にだけ展開するアクティブスポイラーといった要素を引き継ぎ、新しいデザイン言語「Feline Future」のもとで組み立て直したものだ。

Feline Futureは、Freedom(自由)、Courage(勇気)、Elegance(エレガンス)、Inner force(内なる力)、Instinct(本能)の5つの原則で構成される。プジョーのデザインディレクター、マティアス・オッサン氏は次のように語る。
「RCZビジョンで、私たちのデザイン言語であるFeline Futureに新しい表現を与えました。ネコ科の動物がもつ力強さと、素材の精密さ。その間に生まれる緊張感から生まれた、本能的で官能的なデザインです。テクノロジーは、感情と運転の楽しさを高めるために用いています」

プロポーションは、獲物に飛びかかる直前のネコ科の動物のように、わずかに前傾した姿勢を意識している。前後のショルダーをはっきりと張り出させ、サイドは深く彫り込んだ。それでも面の形状は丸みを残し、硬い印象にはしていない。幅を絞り、ルーフまで透明なガラスで覆ったキャビンをワイドなボディに載せ、その対比で低く構えたスタンスを強調している。
ライオンの爪をモチーフにした3本のライトを水平に並べ、フロントには「RCZ」の文字を穿孔で描く
プジョーが続けてきた、ライオンの3本の爪をモチーフにしたライトシグネチャーは、極細のラインを水平に並べる形に変化した。フロントでは、3本のラインの上に超小型の薄型レンズLEDヘッドランプを置き、ライオンの目つきを表現している。バンパーに微細な穴で「RCZ」の文字を描く手法も目新しい。
リヤランプもフロントと同じく3本の水平なラインで構成し、テールランプやブレーキランプなどの機能はすべてこのラインに集めた。アクティブスポイラーは初代RCZと同じく、停車中はボディに格納され、走行中にだけ展開して空力性能を高める。



初代RCZのアイデンティティ、ダブルバブルルーフとアーチを継承
RCZビジョンでは、フロントウインドウからルーフ、リヤウインドウまでをひと続きのガラスで構成した。2つのふくらみをもつダブルバブルの形状は初代よりも一段と強調され、後席の頭上空間の確保にも貢献。アーチは初代より細くし、ボディから浮いているように見える処理を施した。素材には無垢のアルミニウムに代えて、再生アルミニウムを原料とする塗料を採用している。

ホイールは前21インチ、後22インチの鍛造アルミニウム製。プジョー車ではおなじみの放射状のスポークデザインで、余分な肉を削ぎ落として、軽量化を図っている。リムの周囲には小さな三角形のディテールを配し、初代RCZのホイールとのつながりを示している。

四角いステアリング「ハイパースクエア」と透明LEDディスプレイが、次世代i-Cockpitを示唆
インテリアは、将来のプジョーのフラッグシップモデルの室内を想定したものだ。
運転席まわりは、プジョーのi-Cockpitの次世代版を示している。これは四角いステアリング「Hypersquare(ハイパースクエア)」と、透明なマイクロLEDディスプレイを組み合わせた斬新なもの。ただし、ステアリングの上にディスプレイを置いて運転情報を表示するという、i-Cockpitの基本的な配置は変えていない。

縦長のセンターディスプレイはわずかにドライバー側へ向けてあり、完全に消灯できる。消灯すると透明なので、ほとんど見えなくなる。画面を増やす方向ではなく、必要なときだけ情報を出す方向を選んだというわけだ。

ハイパースクエアは、4つのリングの内側に主要な操作系を集めている。次世代のE-208に搭載される量産仕様と同じものだという。操舵系はステア・バイ・ワイヤで、車速に応じてステアリングのギヤ比を変更。ロック・トゥ・ロックは、一般的なステアリングの約3回転に対して1回転弱にとどまる。

ブレーキ・バイ・ワイヤはプジョーで初めての採用となる。ハンズオフ走行が可能なレベル2++の運転支援も備える。

ダッシュボードは、内部の機器をぎりぎりまで包み込むような形にして余分な厚みを削り、室内空間を拡大。エアベントは可動式で、使わないときはダッシュボードの中に隠れる。
前席の間のセンターコンソールには、走行モードの切り替えや空調、音量の調整に使う物理スイッチを集めた。アルミニウムを削り出したトグルスイッチとダイヤルが、すりガラスのような半透明のパネルの上に並ぶ。

シートは左右非対称の構造で、車両中央側のサポートを強化。横方向のホールド性を高めるとともに、中央に浮かぶディスプレイを保護する役割ももつ。バックレストには軽量化のための開口部を設けた。キャビンには大人2人が座れるリヤシートも備わり、バックレストを倒せば荷室を拡大することが可能だ。


内装材にはアルカンターラと再生レザーを使い、明るいライトブルーでまとめた。シートの表皮「PELINOVA(ペリノヴァ)」は、皮革製品の製造で出る、なめし前の端材を再生したレザーだ。柔らかい素材と、アルミニウムを削り出した部品の触感の違いも、デザインの要素として扱っている。
ダッシュボードの時計はフランスの時計メーカー、セリカがデザインした「Parade」で、センターディスプレイの支柱に組み込んだ。時計を取り付けると、そのデザインが画面上にもデジタルで表示される。
プラットフォームは、ステランティスの「STLA One」をベースにしたアーキテクチャーを使う。バッテリーは、ファクトリアル・エナジーと共同開発した全固体電池で、1000Vの電気アーキテクチャーと組み合わせた。厚さも110mmと薄く、RCZビジョンの低いシルエットの実現にもひと役買っている。最高出力は500hp、航続距離は最大600km。充電率10%から80%までの充電は10分で完了する見込みだ。





