後席&荷室の広さはライバルらしく同等だが…

マツダは小排気量ディーゼルモデルの廃止を進めており、その代替としてマツダ3には2.5L ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドシステムを備えた“e-SKYACTIV G 2.5”モデルが追加された。

同時にファストバックモデルからは通常の2.0L エンジンモデルが消滅している。これには同じ排気量2.0L となる“SKYACTIV X”モデルとの共食いを避ける狙いもあるのだろう。その結果、通常の2.0L エンジンはセダンモデルのみの設定となっている。

一方、マイルドハイブリッドシステム“e-BOXER”の廃止を進めているスバルは、インプレッサのエンジンを、非マイルドハイブリッドの2.0Lガソリンエンジンへと1本化し、グレードラインナップも“スマートエディション”の1グレード展開に絞られた。

これは、おそらくストロングハイブリッド“S:HEV”との差別化が目的だろう。クロストレックがストロングハイブリッド“S:HEV”のみのラインナップに変わり、それに併せてインプレッサはエントリーモデルとしての立場が強められたことになる。

その代わり、改良型インプレッサは“イグニッションレッド”の新ボディカラーを設定するとともに、ナビゲーションシステムが標準装備となり商品力が高められた。上級装備はセットオプションで追加する形だ。

マツダ3、インプレッサの両ライバル車は、時期をほぼ同じくして全体の販売を見越したシンプルなグレード展開に改められることになった。

両車のボディサイズはほぼ同じであり、室内空間や居住性に大きな差はない。後席の頭上空間はほぼ同等で、膝まわりはインプレッサの方が拳ひとつ分ほど広く確保されている程度の差だ。

そのぶん荷室長が多く確保されているのはマツダ3の方となる。両車の荷室寸法は、マツダ3が長さ840mm×幅1010mm×高さ710mm、インプレッサは814mm×1090mm×706mmだ。ただし、マツダ3はリヤハッチ開口面積がやや小さいため、大きな荷物を積む機会が多いならインプレッサの方が使いやすく感じられるだろう。

目を引く流麗なスタイルが特徴のマツダ3に対し、インプレッサは視界確保や乗降性を重視した実直なハッチバックだ。細部の違いはあるものの、両車の使い勝手はおおむね同等と言っていいほどに近い。それだけに搭載エンジンの違いが、それぞれのキャラクターに大きく影響してくる。

マツダ 3 25S
ボディサイズ=全長4460mm×全幅1795mm×全高1440mm
ホイールベース=2725mm
車両重量=1420kg
タイヤサイズ=215/45R18(前後)

スバル インプレッサ Smart Edition
ボディサイズ=全長4475mm×全幅1780mm×全高1480mm
ホイールベース=2670mm
車両重量=1390kg
タイヤサイズ=205/50R17(前後)

ディーゼルエンジンの穴を埋める2.5L ガソリンMHEV

マツダ3に新しく搭載された“e-SKYACTIV G 2.5”は、排気量2.5L の直列4気筒エンジンに最高出力6.5ps/最大トルク60.5Nmのアシストモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドエンジンだ。

パワートレインはスペック値まで含めて新型CX-5と共通であり、約300kgも軽量なマツダ3に大排気量エンジン+マイルドハイブリッドシステムを載せることで、1.8L ディーゼルエンジンの空いた穴を埋める算段だろう。加えて、e-SKYACTIV G 2.5のFFモデルには6速MTも用意される。

対するインプレッサの方は、最高出力13.6ps/最大トルク65Nmのモーターを搭載していたマイルドハイブリッドシステムの“e-BOXER”モデルが廃止となったことで、2.0L 水平対向エンジン単体の性能で戦う必要に迫られる。

両車のWLTCモード燃費はマツダ3が15.6km/L(25S 6速AT)、インプレッサが14.0km/L(スマートエディション)だ。モーターアシストの恩恵を受けやすい市街地燃費は11.6km/Lと9.3km/Lで排気量が大きいマツダ3が優れる。

さらにマツダ3には気筒休止機能も備わっており、高速燃費も17.0km/Lと17.1km/Lで排気量2.0L のインプレッサとほぼ変わらない数値となっている。

もちろん、動力性能は比べるまでもなくマツダ3の方が高く、ガソリンエンジンであるためディーゼルエンジンのウィークポイントであるノック音や特有の扱いにくさも皆無だ。

マツダはときどき羽目を外したモデルを出す。例えば、2.3L ターボエンジンを搭載した”マツダスピード アクセラ”がよい例だ。e-SKYACTIV G 2.5を搭載したマツダ3はスポーティなモデルではないが、車格に対する余力に着目すれば現在販売されている国産車全体を見渡しても稀有なモデルと言えるだろう。

マツダ 3 25S
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2488cc
最高出力=179ps/6000rpm
最大トルク=238Nm/3750〜4000rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=2WD(FF)

スバル インプレッサ Smart Edition
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンエンジン
排気量=1995cc
最高出力=154ps/6000rpm
最大トルク=193Nm/4000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

マツダ3のe-SKYACTIV G 2.5モデルはハイコスパな快速ツアラー

“マツダ3 25S”の新車価格は305万8000円だ。ヘッドライトや内装装飾などが豪華になる上位グレードの“25L”は319万円からとなる。なお、6速MTの価格もATと同額の設定だ。

廃止されたディーゼルモデルの価格は288万7500円から350万2400円だったため、300万円台前半としたe-SKYACTIV G 2.5モデルの価格は妥当な水準と言えるだろう。

対する“インプレッサ スマートエディション”の新車価格は286万5500円だ。ベーシックグレードであった旧“ST”からの値上げは12万円ほどとなるが、ナビが標準装備となったため実質的な値上げ幅はそれほど大きくない。

ただしインプレッサのFFモデルは、引き続きステアリングヒーターとシートヒーターがオプションとなる。それに対してマツダ3はステアリングヒーターとシートヒーターが標準装備だ。その一方で、マツダ3にナビ機能を追加するには、8万8000円のディーラーオプションを注文する必要があるため、同等の装備でオーダーするのであれば両車の価格差は10万円〜20万円の範囲に収まるだろう。

特徴的な外観を持つクルマは、パワートレインも特別であってほしいと誰もが思うはずだ。マツダ3のe-SKYACTIV G 2.5モデルは、ユーザーの期待に現実的な範囲で最大限応えたモデルと言えよう。反対に、ライバルのインプレッサは堅実な道を歩む。

水平対向エンジンの滑らかな回転上昇やシャシーの躾、優れた運転視界や安全装備など、インプレッサはあらゆる点が高いレベルでバランスされており、乗れば誰もが良いクルマだとわかるはずだ。

その代わり車両価格は高い。なにより、わかりやすい訴求ポイントがない点がインプレッサの大きな弱みだ。今回の改良のように、装備と価格の調整で買い得感を強調する手段は販売促進のための正攻法と言えるだろう。

その点、マツダ3はわかりやすく魅力的な要素を多数備えている。とりわけ、エンジンに余力があるツアラーが欲しいなら、マツダ3のe-SKYACTIV G 2.5モデルが現状もっともハイコスパなクルマとなるはずだ。

車両本体価格

マツダ 3 25S:305万8000円

スバル インプレッサ Smart Edition:286万5500円