有料化2年目。実は昨年より参加しやすくなっていた

「チケット!? えっ、金かかるのかよ……」

入退場口の前で、若いライダー3人が戸惑っていた。どうやら、有料になったことをここで初めて知ったらしい。

参加受付に掲示されていたQRコード。山間部で通信環境が不安定になることもあり、場内には9か所のWi-Fiスポットが設けられていた。

BMWモトラッドデイズは、2011年まで「BMWモトラッドバイカーミーティング」と名乗っていた、歴史あるイベントだ。長らく入場無料だったが、昨年から有料化。今年新設された土曜1日券は、当日1800円となっている。

北アルプス周辺をツーリングしながら、「ちょっと寄ってみようか」と気楽にやってきたライダーにとっては、入り口でひと呼吸置く金額かもしれない。ただし、今年は22歳以下なら入場無料。この点は、先に知っておくと話が早い。

イベントスケジュールはこのとおり。さらに出展社ブースも並ぶので、気になるものを拾っていくだけでもなかなかに忙しい。

有料化の前後で何が変わったのか。まずは公表されている来場者数を見てみよう。

過去最多だったのは、入場無料最終年の2024年で6457人。翌2025年は5035人(速報値)となり、約22%減少した。今年は4347人で、さらに約14%減っている。

ただし、この数字をそのまま「有料化の成績表」とするのは早計だ。今年は開催直前まで雨予報が続いていた。結果的に白馬の会場は両日とも好コンディションに恵まれたが、遠方からバイクで向かうとなれば、出発地や道中の天気も気になるところだ。

小学6年生以下を対象としたトレジャーハント。バイクに乗らない家族にも、お楽しみが用意されている。

しかも、今年はチケットが値下げされている。2DAYチケットは前売り2200円から1800円、当日2700円から2300円へ。無料対象も高校生以下(18歳以下)から22歳以下へと広がった。つまり、昨年よりも参加のハードルは下がっていた。それでも来場者数が減ったのだから、料金だけで答えを出すのは難しい。

駐輪場には余裕、場内は快適。人数だけでは分からないこと

筆者が前回訪れたのは2024年。入場無料の最終年であり、過去最多の来場者を記録した年でもある。

土曜の会場オープンに合わせ、10時ジャストに到着したのだが、Hakuba47の駐輪場はすでに満車。案内されたのは、離れた場所にあるエイブル白馬五竜だった。そこにバイクを駐め、シャトルバスで会場へ向かうことになった。

早朝に出発した身としては、少々残念ではあった。ただ、駐輪場への誘導からバスへの乗り継ぎまで、実にスムーズ。20年以上続くイベントだけに、このあたりのオペレーションには年季を感じた。

2024年、10時に到着した筆者が案内されたのは、Hakuba47から約2.6km離れたエイブル白馬五竜の駐輪場。手前に見えるイエローのVストローム250SXが筆者の愛車だ。BMW以外でも、もちろん参加できる。

今年は様子が違った。土曜10時を過ぎても、Hakuba47の駐輪場にはかなり余裕があり、出足の違いはひと目で分かった。実際、この日の首都圏では未明から早朝にかけて雨が降り続いていた。前売り券を買っていても、出発をためらった人はいたはず。たとえ白馬が晴れていても、そこに至る数百kmまで路面をドライにしてくれるわけではない。

土曜10時半ごろ、ゴンドラから撮影。赤く囲ったスペースには、まだバイクが駐まっていなかった。ちなみにゴンドラの利用は通常2200円(大人)だが、イベント期間中は無料開放されている。

人数の違いは、場内でも感じられた。歩きやすく、出展ブースも見やすい。気になるアイテムの前で立ち止まり、スタッフに話を聞く余裕もある。

来場者数の減少を、主催者がどう評価しているかは分からない。ただ、一般来場者の目線で考えると、このぐらいの規模感はなかなかに快適だ。「何人集まったか」と「どれだけ楽しめたか」は、似ているようで、同じではない。

今年の主役「F 450 GS」は、会場のあちこちで大忙し

近年のBMWモトラッドデイズでは、ニューモデルのお披露目も恒例となっている。今年の主役は、420ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載する「F 450 GS」だ。

メインステージでのプレゼンテーションに始まり、松井 勉さんと鈴木大五郎さんによるゲレンデでのデモンストレーション。さらにはエンジン解体ショーや、事前受付制の特別試乗会まで組まれていた。見る、知る、乗る。気になっていた人にとっては、実に有意義な一日となったはずだ。

イベント前日には、プレス向け試乗会も開催された。欧州のA2ライセンスに対応するF 450 GSは、エントリーユーザーはもちろん、R-GSオーナーのセカンドバイクとしても気になる存在。筆者の試乗インプレッションはこちら。

その後、同じF 450シリーズにロードスターの「F 450 R」、スーパースポーツの「F 450 RR」も発表された。執筆時点の10月中旬では国内導入の正式発表はないが、F 450 GSの販売は好調と聞いている。このクラスの選択肢が増えるのを楽しみに待ちたい。

定番も寄り道も楽しい。筆者が足を止めたのはこちら

例年、朝から長い待機列ができるオリジナルTシャツ&グッズ販売ブース。今年のTシャツは綿素材になっていた。
本媒体でもおなじみのケニー佐川さんが先導する「HAKUBA RIDE 絶景を巡るショートツーリング」。参加費は3000円、定員は各回45人。せっかく白馬まで来たのだから、会場の外も走りたいという人にぴったりだ。
最新モデルで約10分間、場外のコースを走れるオンロード試乗会も人気。展示車にまたがるだけでは分からないことを、白馬の道で確かめられる。
最大斜度28°(!)のゲレンデコースをバイクで駆け上がるヒルクライム・コンテスト。このイベントにおける大人気コンテンツであり、途中で転倒しても大歓声が上がる。
またがりOKバイク展示は会場内に3か所。熱気球体験は大人2000円/小人1000円。そのほか、バンジートランポリンやクライミングウォールなど、飽きさせないアトラクションが随所に。
純正ギアやガーメントを特別価格で販売するアウトレットストア。今年、最も混雑していたブースだ。
出展社ブースでは、R 1300 GSや同アドベンチャーのデモ車が目立った。実車でパーツの装着状態を確認できる上、気になったことをその場で聞けるのもイベントならでは。
恒例の「はくば豚の丸焼き」。無料で振る舞われるとあって、こちらも長蛇の列に。
SDGブースでは、今年の鈴鹿8耐に出場したライダーたちによるトークショーを開催。レースを走った本人の話を、この距離で聞けるのはうれしい。
RSタイチがHJCを取り扱い始めて、およそ20年。担当者によると、従来の内装パッドによる調整に加え、近年はライナーの形状からアジアンフィットを実現したという。試着してみると、その快適さに驚いた。こういう発見があるから、ブース巡りは有意義なのだ。
イベント翌週からルーマニアで開催された「インターナショナルGSトロフィー2026」を前に、日本代表が意気込みを語った。大会では、日本チームは男子部門8チーム中5位という成績を収めている。
イベント名に「BMW」と付いているものの、モーターサイクルを愛する人であれば誰でも参加OK。ただ、有料化によってさらにBMW率が上がったような印象を受けた。

会場の外にも楽しみあり。白馬の夜は、なかなかに国際的だ

筆者は金曜のF 450 GSプレス試乗会に参加し、翌日の取材に備えて、近くの小洒落たペンションに急遽一泊することに。

筆者が宿泊したペンション。

宿に到着し、フロントを見回して少々戸惑った。日本語の案内がほとんどないのだ。スタッフに聞くと、スキーシーズンの宿泊客は「100%外国の方」だという。白馬の国際化は何となく知っていたが、まさかチェックインで実感するとは思わなかった。

急な予約なので、もちろん素泊まり。ただ、夕食には困らなかった。ペンション街には、看板が控えめなだけで飲食店が点在している。結局2軒をハシゴしたが、どちらのメニューにも英語が併記されていた。

2軒目に入った居酒屋のメニュー。ちなみに1軒目の食堂はやや“白馬プライス”だったものの、味もボリュームも大満足。

2軒目の店主によれば、冬の客はほぼ外国人オンリーで、早い時間から満席になるそうだ。一方、アパートの家賃も都内と大差ないというから、にぎわいゆえの弊害もある。

そして夏は、冬ほど客が集まらない。どうやって観光客に足を運んでもらうかが、このエリアの課題なのだという。そんな話を聞くと、毎年数千人のライダーが白馬を目指すBMWモトラッドデイズの見え方も、少し変わってくる。

おなじみのイベントを楽しみ、気になるバイクを試し、ブースで思わぬ発見をする。そこに白馬の道や食事、地元の人との会話まで加えれば、遊び方はまだまだ広がる。

「今年も白馬へ」という人も、「一度は行ってみたい」という人も。プログラムをひとつ残らず回るより、自分なりの楽しみを見つける。そのくらいの余裕を持って訪れると、このイベントはさらに面白くなるだろう。