両社が目指すのは、車両の電子制御を機能ごとの分散ECUから「ゾーンコントローラー(Zonal Controller)」へと統合するゾーンE/Eアーキテクチャ。S32K5 MCUが各ゾーンコントローラーの中核を担い、特定エリアのセンサーやアクチュエーターを接続し、照明、ボディ、快適性、シャシー、安全システムなどの機能を統合管理する。自動運転やインフォテインメントなどのAI対応機能に必要な高度な意思決定は、別途備える中央ハイパフォーマンスプロセッサが担当し、S32K5は安全なリアルタイム演算とセキュアなOTAアップデート、エッジでのデータ処理を担う構造。

デジタル機能の増加に伴い、従来のモデルでは個別のECUが乱立して開発や部品管理の複雑化を招いている。S32K5を標準MCUとして採用することで、従来別々のチップやECUを必要としていた機能をゾーン単位で物理的に集約し、ハードウェアの複雑性を削減しながら、グループ内の全ブランドおよび全セグメントに水平展開できる拡張性を確保する見込み。

フォルクスワーゲン・グループ拡大執行委員会のメンバーで、グループの研究開発を担当するヴェルナー・ティーツ氏は次のように述べている。「RV Techが開発し、NXPなどの戦略的テクノロジーパートナーの支援を受けた当社の将来のゾーンアーキテクチャは、複数のグループブランドと車両セグメントに対応する拡張性の高い技術基盤を構築します。グループ全体で主要技術を調和させることで、複雑さを軽減し、規模のメリットを最大限に活用し、イノベーションを加速させると同時に、高度なデジタル機能を実現します。これにより、デジタルイノベーションをより迅速にお客様にお届けし、車両のライフサイクル全体を通して継続的に性能を向上させることが可能になります」

NXPセミコンダクターズのエグゼクティブバイスプレジデント兼CTOであるラース・レガー氏は次のように述べている。「ソフトウェア定義による差別化は自動車業界の新たなベンチマークであり、NXPはS32K5ファミリーのMCUがRV Techの革新的な新しいゾーンアーキテクチャに採用されたことを大変嬉しく思っています。これは、今日の自動車業界において、効率的な開発と差別化機能を実現するための最も洗練されたアプローチの一つです。車両のゾーンコントローラの中核プロセッサとして、S32K5は安全なリアルタイム演算、高速かつ安全なOTAアップデート、そして柔軟で継続的にアップデート可能な車両の基盤となる機能の統合を実現するように設計されています」

本アーキテクチャは、フォルクスワーゲングループとRivianの合弁会社である「RV Tech(Rivian and Volkswagen Group Technologies, LLC)」によって共同開発されており、両社の車両に共通して採用されるとともに、ブランド固有の機能・体験を可能にする。同アーキテクチャを採用した最初の車両は2027年の登場が計画されている。