新型三菱パジェロ発表会に“レジェンド”増岡 浩氏が登壇

新型パジェロ

すでに発表および生産国であるタイでは発売済みの新型パジェロではあったが、この日、改めて日本仕様の価格と発売日(2026年12月17日予定)が発表された。発表会の場には岸浦惠介代表執行役社長兼COOが臨席し、新型パジェロの現状や展望、期待、そして自身のパジェロとのエピソードなども語られた。

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新型パジェロ日本仕様発表会

そして、当初発表会予定表に記載のなかった、チーム三菱ラリーアート総監督・増岡 浩氏が岸浦惠介代表執行役社長兼COOと共に登壇。新型パジェロをテストドライブした感触などを語った。

新型パジェロ発表会での岸浦惠介代表執行役社長兼COO(右)と増岡 浩・チーム三菱ラリーアート総監督。

増岡氏は3代目までのパジェロのテストドライバーを務めたほか、ご存知のとおり2002年・2003年にパジェロおよびパジェロエボリューションを駆り、日本人初の『パリ・ダカールラリー』連覇を成し遂げた“レジェンド”だ。

パジェロの『パリ・ダカールラリー2002』優勝車と優勝ドライバーである増岡 浩氏(現・チーム三菱ラリーアート総監督)。2022年、AXCR2022参戦発表会にて撮影。

増岡氏は自身もテストドライブした新型パジェロについて、三菱車らしい走破性と、どんな場所でも無事に行って帰って来られるタフさと安心感を継承しつつ、三菱のフラッグシップに相応しい乗り心地とプレミアム感を両立していると評している。

新型パジェロ

『アジアクロスカントリーラリー』に参戦するチーム三菱ラリーアート

現在は2022年に復活した三菱のモータースポーツブランド「ラリーアート」の看板を背負い、『アジアクロスカントリーラリー』(以下、AXCR)に参戦している。復活初年度は先代トライトンでデビューウィンを飾り、ラリーアートの復活に華を添えた。

『AXCR2022』で総合優勝したチーム三菱ラリーアートのトライトン(先代モデル)。

2023年・2024年こそ投入した新型トライトンの熟成不足から惜敗を喫したが、2025年・2026年は熟成が進んだトライトンで連覇を達成。2026年は参戦4年目にして田口勝彦選手/保井隆宏選手による日本人ペアでの優勝を達成している。

『AXCR2025』で投入3年目にして総合優勝を遂げた新型トライトン。

チーム三菱ラリーアートは次なるステージへ

トライトンでのAXCRへの挑戦は、先代モデルでのデビューウィン、新型での連覇、さらに地元スペシャリストから日本人ペアでの優勝と確実にステップアップをしてきており、ひと区切りついた感もある。

2025年に続きトライトンで連覇を達成した『AXCR2026』。

そこで新型パジェロのデビューともなれば、パジェロのラリーフィールドへの復帰が期待されるのも当然だろう。それは発表会に増岡氏が登壇したことでより現実味が増した。実際、現場記者による社長への「パジェロによるラリー参戦はあるのか?」との質問に、社長自ら「2027年のAXCRに投入し三連覇を目指す」との言葉があった。つまり「パジェロによるラリー参戦」は三菱としての既定路線ということだ。

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2026年9月2日の発表会会場に展示された新型パジェロのラリーコンセプト。この時点では新型パジェロのラリー投入は検討段階だった。

さらに増岡氏への個別質問では、2027年初頭から実際にラリーマシンの開発を進めていくとの言葉もあった。しかし、実績のあるトライトンから新型パジェロへマシン変更は三連覇へのハードルが上がるのではないかとも考えられる。とはいえ、新型パジェロはトライトンのラダーフレームを踏襲しており、トライトンの開発実績を活かすことができる。さらに、トライトンよりも短くなるホイールベースはトライトンが他社マシンより優れるハンドリング性能がさらに高まると予想される。

トライトンのボディサイズは全長5360mm×全幅1930mm×全高1815mm、ホイールベース3130mm(GSR)。
新型パジェロのボディサイズは全長4920mm×全幅1925mm×全高1900mm、ホイールベース 2870mm(GSR)。(PHOTO:神村 聖)

未発表ではあるが、チーム体制は2026年から継続する予定とのこと。2022年と2025年のウィナーである地元スペシャリスト、チャヤポン・ヨーター選手と2026年の日本人ウィナー、田口勝彦選手がステアリング握ると思われ、実現すればその布陣は強力だ。

2023年から継続されるチーム三菱ラリーアートのAXCR参戦体制(写真は2026年)。地元スペシャリストのチャヤポン・ヨーター選手/ピーラポン・ソムバットウォン選手と田口勝彦選手/保井隆宏選手に社員ドライバーである小出一登選手がサポートとして加わる強力な布陣。

まだ開発もスタートしていない段階ではなんとも言えない部分もあるが、市販モデルをドライブした増岡氏は新型パジェロに三連覇を実現できるポテンシャルを感じているのは間違いない。それに経験を積んだチーム三菱ラリーアートの体制が加われば、より現実的なものになるだろう。

発表会で新型パジェロとパジェロによるラリー参戦について語る増岡氏。

「小さく産んで大きく育てる」

増岡氏はラリーアートの復活、AXCR2022参戦の際にラリーアートを「小さく産んで大きく育てる」と語っている。その後、先代トライトンでのデビューウィン、2025年の新型トライトンでの勝利、2026年の日本人ペアによる総合優勝と、その実績は大きく育ってきている。そこに復活した新型パジェロのラリー参戦は次のステップとして相応しいと言えるだろう。

2022年10月、AXCR2022参戦発表会にてラリーアート復活とその展望について語る増岡氏。

発表会の場で増岡氏は新型パジェロでのAXCR三連覇を掲げただけでなく、「夢はパジェロでナンバーワンに」と語っている。パジェロでナンバーワン……となれば、AXCR三連覇を達成した後はいよいよ『ダカールラリー』への参戦もあるかもしれない。

新型パジェロ日本仕様発表会の日に三菱本社ショールームに展示されていたパジェロ・エボリューションの1998年『パリ・グラナダ・ダカール』ラリーの優勝車(ジャン-ピエール・フォントネ/ジル・ピカール)。この年、パジェロ・エボリューションが1-2-3位を独占、4位に増岡選手が駆るチャレンジャー(海外ではパジェロスポーツ)が入り三菱の完全勝利となった。

奇しくも中東情勢の悪化により『ダカールラリー2027』の開催地が西アフリカ(とイベリア半島)に帰ってきた。その後の開催地がどうなるかは未知数だが、パジェロのラリーカーがアフリカの大地で凱歌をあげる……そんな夢を抱きたくなる。

2003年に日本人初の連覇を実現した『パリ・グラナダ・ダカール2003』の増岡選手とパジェロエボリューション。この年、三菱は増岡選手をトップに1-2-3-4フィニッシュを達成し、圧倒的強さで同ラリーを制覇した。

ラリーアートの復活から三菱は会社としてもモータースポーツ活動にもヘリテージ分野にも積極的だ。ラリーアートが、そして新型パジェロがさらに大きく育っていくことを期待したい。

1085年『パリ・ダカール・ラリー』で日本車初の総合優勝を遂げたパジェロがレストアされ、『ジャパンモビリティショー2025』に展示された。同車は動態保存され、さまざまなイベントでデモランを披露している。