ある日突然、モトラが陸送で届く!?  新築祝いから始まったモトラとの付き合い

モトラらしい太足感はそのままに、前後方向へ伸びたシルエットへ。ひと目でモトラと分かるのに、ノーマルとは明らかに違う。MACHINE:HONDA MOTRA OWNER:PAN SUMI

ベースとなったホンダ・モトラは1982年に登場。前後の大型キャリア、5.40-10のワイドなブロックタイヤ、通常の3速に低速3速を加えたサブミッションなどを備えた50ccレジャーバイクで、積載性やアウトドアでの使い勝手を強く意識した個性的なモデルだった。49cc空冷4ストローク単気筒エンジンは4.5psを発揮する。

そんなモトラのオーナーが、横浜・本牧のMOONEYES(ムーンアイズ)で働くPAN SUMIこと角さんだ。モトラと言えば、40年以上前のビンテージバイク。SUMIさんはこの手のレジャーモデル(スズキ・バンバン等)が大好物。さかのぼること15年以上前、九州の知人宅に状態の良いモトラがあると聞いて「欲しい、欲しい」と話していたものの、そのときは手元に来ることはなかった。ところが自宅を建てたタイミングで、そのオーナーが新築祝いとして突然モトラを陸送してくれたという。まさか家を建てたら、玄関先にモトラが届くとは!

ただし、届いてすぐ現在の姿になったわけではない。当時は車両を起こすだけの余裕がなく、そのままガレージで保管。実際に走れる状態へ手を入れ始めたのは、それから約10年後だった。最初は「とりあえず動けば良い」というところから始まり、何度も手を加えながら現在のスタイルへ。派手なことを詰め込むのではなく「とにかくバランス」を優先して仕上げられている。

カスタムを手掛けたのは東京・羽田にあるハーレーを得意とする「RE:RIDE(リライド)」。PAN SUMIさんとは以前から付き合いがあり、このモトラも一度で完成させたのではなく、何度も手を加えながら現在の形へと仕上げてきた。

もともとPAN SUMIさんはバンバン50やR&P50に乗っており、太いタイヤを履いた小さなレジャーバイクが昔から好きだった。そう聞けば、モトラにたどり着いたのも納得だ。

4インチロングで“間”を作る! 派手さより大事なのは全体のバランス

スイングアームは4インチロング。310mm長のリヤショックと組み合わせ、モトラ独特の太足スタイルを前後方向へ伸ばしている。

このモトラ改のキモは、特定の高価なパーツではなく車体全体のプロポーションだ。スイングアームは4インチロング。約10cm後方へ伸ばすことで、太い前後タイヤを活かしながら、ノーマルよりもゆったりとしたシルエットを作っている。リヤショックは310mm長を組み合わせた。

ブラック主体の足周りに、ゴールドのハブをアクセントとして投入。色を足しすぎないところも全体のまとまりにつながっている。

高く立ち上がったハンドルも存在感は十分だが、細身でシンプルな形状なので重たく見えない。シートも薄くまとめられ、太いタイヤと長くなったホイールベースを強調。部品ひとつひとつは個性的なのに、悪目立ちし過ぎないバランス感はお見事だ。

高く伸びるハンドルに対して周辺はシンプル。太く低い車体とのコントラストが効いている。

薄くフラットにまとめられたシート。パーツ単体の派手さではなく、横から見たときのライン作りを優先しているのが分かる。

細部にはMOONEYESスタッフならではの遊び心も。ジョッキーシフトの持ち手に使われているのは、約3年前に発売されていた【CHALLENGER × MOONEYES】のコラボ「シフトノブ」。こうしたパーツをうまく流用するあたりはPAN SUMIさんの得意とするところである。

ジョッキーシフトにはCHALLENGER × MOONEYESのコラボ「シフトノブ」を使用。

シフト周りを含めたエンジン左側。新品部品で埋め尽くさず、モトラが過ごしてきた時間を感じさせる質感も残している。

JEEP用6インチフォグが “目玉” に!

真正面から見たときに強烈なのがヘッドライト周りだ。ベースに使ったのはJeep用の6インチフォグランプ。そこへKC製の黄色い格子状ガードを組み、その上からMOONEYES製のアイボールカバーを装着している。ライトそのものを交換しただけではなく、アイテムを重ねることで、このモトラだけの顔を作っている。

ヘッドライトは、Jeep用6インチフォグランプ。そこへKC製の黄色い格子状ガードを組み合わせる。

さらにMOONEYES製カバーを装着。大きなアイボールが、このモトラの顔を決定づける。

メーターやスイッチ類もゴチャつかせずシンプルにレイアウト。

マフラーも車体の雰囲気を崩さないコンパクトな仕立て。クロームの質感がブラック主体の車体に映える。

吸気側もスッキリとまとめる。メカニカルなモトラのエンジン周りを隠しすぎないのもポイントだ。

もちろんショーバイクとして置いて眺めるだけではなく、エンジンは掛かり、実際に走る。最初に復活させた段階では「動くけど、遅いし止まらないし怖い」と感じ、エンジンにも手を入れていったという。

モトラに乗るオーナーのPAN SUMIさん。※私有地で走行しています

このモトラを見ていると、カスタムは「何を付けたか」だけでは決まらないことがよく分かる。4インチ伸びたスイングアーム、大きな6インチライト、高く立ち上がるハンドル、アイボール……文字にするとかなり濃い。それでも完成した姿はやりすぎに見えない。オーナーのPAN SUMIさんが大切にした“バランス”とは、まさにそこなのだろう。

横浜・本牧のMOONEYES

横浜・本牧のMOONEYES Area-1。クルマやバイク好きなら、建物へ入る前から気になるものが次々と目に入ってくる。

今回のモトラのオーナー・PAN SUMIさんが働くのが、横浜・本牧のMOONEYES Area-1。オートパーツからウェア、ノベルティーまでさまざまなアイテムが並び、ガレージにはMOONEYESがプロデュースしたクルマなども展示されている。クルマ、バイク、自転車とジャンルを区切らず、“乗り物を楽しむ”空気そのものが感じられる場所だ。

MOONEYES Area-1にはMOON Cafeも併設。ショップを見たあとに食事まで楽しめるので、バイクで立ち寄る目的地にもピッタリ(敷地内に二輪/四輪の駐車場アリ)。

【モトチャンプ編集部】