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ベータRR2T250……1,287,000円(消費税10%を含む)
オールレッドに変更されたカラーリングは、ベータ社のイメージにピッタリ。見た目にも非常にカッコ良く所有意欲を刺激してくれる。またラジエターシェラウドのデザインも変更され、空気の流れがスムーズで冷却効果の向上と、ライダーの足にピッタリとフィットする。ニーグリップのしやすさはコントロール性の向上にも一役買っている。250のフレームは300と共通で、125と200の物とは別物。僅かな差であるがホイールベースは1482mmと5mmほど長い。車重はドライで103.5kgとなり、250クラスのオフ車として非常に軽量だ。さすがに125の94kgというわけにはいかないが、国産250クラスのトレール車が140kg前後なので超軽量と言っていいだろう。
エンジンのボア・ストロークは66.4mm×72mmとロングストロークとなっている。圧縮比は13.2:1と2サイクルとしては高圧縮比。このロングストロークと高圧縮比は何を意味するのか。
では試乗してみる。もう走り始めてすぐに分かるトルクの太さ。アクセルの開け初めからグイグイ加速し、簡単にフロントが浮いて来る。おお、何とパワフルなエンジンなんだろうか。かなりの低回転から超トルクフルであり、そのままフラットな特性のまま高回転まで伸びていく。気持ち振動は大きいけれど、とにかく路面をかっぽじりながら素晴らしい加速。グリップ感も高く、実際滑りやすい黒土のマディでも車体は乱れる事なく前に進む。なんか凄くいい感じ!低回転での粘りも十分なので、ロックのガレ場などクラッチを使いながら進ませる時も非常に安定して進めると思われる。全開で高回転になると凄いパワー出ているので、並みのライダーでは抑えが効かない。ただサスペンションの動きはスムーズでしっかりショックは吸収してくれるので、極端なギャップが無ければ気持ちよく飛ばせる。
モトクロスコースでも相当な速さを発揮出来るし、ジャンプもお手の物だろう。こうして試乗すると、キャブレターながら何ら気になる事はなくどんな回転でも安定して回っている。インジェクションは素晴らしいけど、いざ電気的にトラブルとその場で直せないので、機械式のキャブレターはトラブったとしても何とかなるという安心感はある。最も完成度が高いのでトラブル事はほぼ無いであろう。
今回は限られた路面での試乗であったが、この250は車体やエンジン、操縦性など全てのバランスが高次元でまとまっていると感じた。ナンバーをとって山へ遊びに行くくらいでは持て余すほどの走破性。エンデューロレースに出場しても十分勝てる実力。
ハードエンデューロのトップライダーは300を選ぶのだろうが、そこまでのハードさを追求しないのなら250の方がまとまりが良いのではないか。
125のシャープな吹け上がりとまでは行かないものの、高トルクでアクセルワークに忠実に反応するこの250エンジンは、ファンライドのオフライダーにもお薦めできるものであった。日本の林道程度ではここまでの性能は要らないけども、余裕があるということはいざって時のライディングに安心感をもたらしてくれる。ただ、やっぱりシート高は高いので足付きは良いとは言えず、立ちゴケなどには注意が必要かもしれない。
いずれにしてもこの250エンジンは大変気に入りました。国産250クラスのトレール車には絶対不可能な性能ですしね。
足つき性チェック(ライダー身長172cm/体重85kg)
ベータRR2T250/ディテール解説
ライダー紹介
村岡 力
1956年生。
70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪メインですが4輪もし時々航空関係も。モータースポーツは長年トライアル1本で元国際B級。現在は172cm85kgの重量級。業界ではジッタのアダ名で通ってます。