新型車試乗 KTM・250EXC-F|気になったのは足つきだけ。エンジンも足まわりも大満足!

23年モデルはグラフィックを一新。90年代初期のエンデューロモデルへのオマージュ。一目でKTMと分かるカラーリングであり、実にカッコよくなった。そして走破性は旧モデルより向上しており、ハードエンデューロの世界をリードすること間違いなし。
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
KTM・250EXC-F

KTM・250EXC-F……1,373,000円(消費税10%を含む)

試乗する前に足付きやライポジの撮影をしているのだが、跨ると昨年モデルよりも足がツンツン。そう今年のモデルは2cm弱ほどシート高が上がっているのだ。これはサスペンションのストロークが伸びたからで、より走破性を向上させるため。私は身長173cm、体重はドライで86kgなので日本人ライダーとしては重い。
何とか両爪先は接地するけども、マシンが少しでも傾くと片足しかつかなくなる。これが実際のライディングにどう影響するのか興味はある。さてポジションだけども、シッティングでは至極自然な軽い前傾となってハンドルの押さえは楽に出来る。車体はスリムで視覚の感じでも乗りやすく感じる。


と、ここで気になったことが。それはリヤブレーキペダルが踏みにくいのだ。ペダルから足が横へずれてしまうというか、意識して足をクランクケースへ寄せていないと旨く踏めないのだ。ところがスタンディングポジションでは普通に踏める。あれ?なぜだ?とよくよくペダル周りを見ると、ステップがタレルのを前提にしているのか、泥などで滑って足が外れにくくしているのか、初めから少し上向きにセットされているのだ。これは他の車種も全て同じ(ハスクバーナFE350の記事に写真あり)。これは滑って足がすっぽ抜ける事も無く、しっかり踏ん張れるし、左右への踏み換えなどコントロール性は非常に高くて素晴らしいもの。しかし、シッティングでは自然と足先が外を向いてしまう原因となっているので、ブレーキペダルが踏みにくくなったということだと思われる。最初は意識して踏んでいたが、しばらく乗っていれば自然と足は内側へしていたので、まぁ慣れの問題だと思います。

セル一発で始動するエンジン。相変わらずレスポンスは良く、アクセル操作に忠実に反応してくれる。クラッチ操作は軽く、切れも繋がりもスパッと気持ち良い。だからといって半クラッチが分かりにくいとか使いにくいなんてことは無い。
今回、エンデューロマシンということでモトクロスコースは走らず、エンデューロコースのみを試乗した。ここはギャップもあるけど、ガレ場や根っこ、丸太超え、川渡りなど変化に富んでおりまさにエンデューロ。ハイスピードでは走れないけど、その分低中速域での走破性や扱い特性がはっきり出る感じだ。まず感じたのはサスペンションの動き。細かいギャップでも良く動いてはいるのだけど、全体として硬めに感じた。エンデューロといってもモトクロスコースの様な路面をハイスピードで走る場面も多いので、余り柔らかい方向にセッティング出来ないのは分かる。しかし丸太越えやガレ場、根っこがある轍などではもう少し柔らかくセッティングした方がライダーへの負担は減って乗りやすくなるのではと思う。勘違いしないで欲しいのは、ノーマルセッティングのままでも跳ねまくるとかタイヤのグリップを失うとかが起きることは無く、十分以上の走破性は持っているということ。細かいターンやガレ場でのターンなどすこぶる扱いやすく、思いのままにラインをトレースしてくれた。まー私のレベルではということだが。これがトップエンデューロレーサーでは違った感想になるかもしれない。


 エンジン特性は、250ccという排気量ながら低回転から十分なトルクがあり、それでいて高回転までスムーズに伸びてかなりのハイパワーを発揮してくれる。例えば2速のままでも非常に守備範囲が広いということで、こまめにチェンジ操作をしなくてもややこしい場所では走れてしまう感じ。
 半乾燥重量103kg(装備重量110kgくらい)の車体は、このエンジンのパワーとも相まって非常に軽い。なんたって同じ排気量の2サイクル車とほぼ同じ、というより400gも軽いのだ。
 この諸元にはびっくりです。なのでややこしい場所での取り回しも楽チンであるし、グラッとバランスを崩しても立て直しは簡単。ただし足が付かないような場所では、倒れ始めてしまうと相当な力は居る。そう、こういう場所では先に書いたシート高がかなり厳しいのだ。外人ライダーの様に体がでかく足も長いならいいのかもしれないが、平均的な日本人ライダーでは苦労する場面も多いでしょう。
 何とかサスペンションはこのままで、グッとシート高の低いモデルは出来ないものでしょうか?日本向けにとか。このKTM250EXC-F、とにかく全体のバランスが良くて乗りやすい。凶暴性は無いし直進性も良いのに曲がりやすい。アクセルやブレーキ、クラッチなどの操作も軽くて操作性は抜群。乗っていて楽しいマシンなのだ。
 つい国産のナンバー付きオフロード車と比べてしまうのだけど、まるで別物の走破性を持っている。ま、当然なんですけど。日本の林道程度では、こんな性能は要らないのですが、やはり限界が高いマシンは安心感にも繋がるし、優越感も味わえるものだ。
 KTMのエンデューロマシンはリンク無しの直付リヤショックとなっているが、何ら不足は無いしメンテ性も高くて素晴らしい。リヤもフロントもフルアジャスタブルなので、体重や好みにしっかり合わせられる。さらにステアーケースや岩などに亀になった時、丸太超えでもリンクが無いのは当たる物が無いということで、こういう点での安心感は絶大なものだ。総合的に完成度が一段と上がったマシンであった。私的にはシート高だけが気になった点である。

KTM・250EXC-F
こんなガレ場でも振られる事無くガンガン前に進む。軽い車体は疲れも少なく、結果レース最後まで集中して走れるでしょう。
KTM・250EXC-F
少しのテクニックがあれば、こんな沢なども簡単にクリアー可能。エンデューロマシンなのでどんな場所でも走破しなくてはならない。
KTM・250EXC-F
マディーから硬い路面、この写真の様な小石の路面でも、グリップの良いタイヤとエンジン特性によって確実に進んで行ける。

ディテール解説

KTM・250EXC-F
今やセル始動、油圧クラッチ、燃料噴射は当たり前の装備になったエンジン。4サイクルDOHC4バルブながらコンパクトにまとまっている。
KTM・250EXC-F
強力なストッピングパワーを持ちながら、コントロール性の高いフロントブレーキ。ディスクのガードは無いので、岩などへのヒットは気をつけたいところ。
KTM・250EXC-F
エキパイのガードは無く、パンツが溶けるんではないかと気になったが、転倒して触らない限り大丈夫であった。
KTM・250EXC-F
リンクレスのリヤサスペンション。シンプルで整備性は高く、そのショック吸収性も高く、底突き感も感じる事は無かった。
KTM・250EXC-F
リヤブレーキも効きは良く、ロックさせるにしても微妙に効かせるにしてもコントロール性は高い。そしてブラックリムとブラックスポークは精悍である。
KTM・250EXC-F
フルアジャスタブルなフロントサスペンション。WP製XPLORが標準装備だ。

KTM・250EXC-F 主要諸元

エンジン型式:水冷4ストロークDOHC単気筒
EMS:Keihin製 EMS
総排気量:249.91cc
始動方式:セルスターター式
変速機:6速
燃料供給方式:Keihin製 スロットルボディΦ42mm
サスペンション前:WP 製 XPLOR 48 倒立フォーク
サスペンション後:WP 製 XPLOR PDSモノショック
タイヤ 前/後:90/90-21” / 140/80-18”
車輌重量:約103kg(半乾燥)

ライダー紹介

村岡 力

1956年生。
 70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪メインですが4輪もし時々航空関係も。モータースポーツは長年トライアル1本で元国際B級。現在は172cm85kgの重量級。業界ではジッタのアダ名で通ってます。

著者プロフィール

村岡 力 近影

村岡 力

1956年生。

70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪…