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125と共用のフレーム(他機種よりもコンパクト)に、トルクもパワーも向上させた200ccエンジンを搭載したのがこのRR2T200である。そして200からは手軽に乗れるセルスタートとエンジンオイルは分離給油仕様となり、ビギナーライダーやエンデューロ愛好者に最適なマシンとなっている。さて上位機種よりコンパクトな車体なので、足つきも良い。手元に2023年モデルの諸元が無いので2022年モデルで見てみると、他機種と同じ930mmのシート高。でも、明らかに足付きは良く感じるので、250以上とは違うフレームによって見た目では分からないけどよりスリム、数センチの違いかもだけどシート高が低くなっているのかもしれない。この数センチの違いは平均的な日本人ライダーにとって大きな差で、ギリギリの所で足が付く付かないでは堪えられるか転倒になるかの違いになる。個人的にはこのままのサスペンション、最低地上高のままでグッと低いシート高があると最高だと思っているから。
ただこの200はナンバー登録が可能なのだが、900mmを下回るシート高だとエンデューロマシンとはならず、ABSが義務となってしまうので悩ましい。購入後にオーナーがシート高を低くするなど対策するしかない。
さてとにかく走ってみる。125は超気持ち良い高回転の伸びやシャープさがあったが、この200はそれらにトルクとパワーが想像以上に上乗せされた感じだ。どちらかと言うと250クラスに近いと感じた。
激しい登りで失速してしまっても、ちょいとクラッチを使用してやればすぐに回復して登り続けたり、急激なターンなどに繋げられる。それでいて軽くて取り回しが良いので、必死になって走らす感じがしないのだ。つまり楽に走らす感じ。
サスペンションもブレーキも文句無し。セッティングの幅も広いので、今回は試していないけど大岩のガレ場や段差などでも乱れずに走破出来ると思われる。フレーム剛性は高いので常にしっかりした手応えを感じられるので、モトクロスコースも難なく走れるだろう。有り余るトルクやパワーという事は無いけども、少し腕のあるライダーなら使いきれる楽しさがある。
さてここでちょっと気になったのは、125に比べて振動が大きいと思ったのと、ちゃんと前に進んではいるのだけど、しっかりグリップしているのかしていないのか把握しにくかったこと。エンジン特性は下から上までフラットでありながらシャープに伸びて行くので、扱いにくさは皆無。なのにスピンしている時間が長いかなと思ったのだ。いやどんどん速度は乗るし、グリップの悪い路面でもちゃんと前に前に行く。そこでただ全開にした時と、グリップを探るようにアクセルワークをした時を比べてみたら、中間域のトルクの盛り上がりが250クラス並に大きいことに気がついた。あ、これ200なんだけど250並みのトルクが出ていているんだなと。
つまりえらく戦闘力が高いマシンだったのだ。気軽に乗れるけども、舐めてかかると体置いていかれるよというエンデューロマシン。そんな感じ。まとめてみると、セル始動や分離給油、軽くコンパクトな車体。125と共通のフレームは剛性高い。サスペンションは高性能で操縦性は素直。完全なビギナーはちょっと持て余すけど、オフ経験ライダーには気軽に乗れて楽しく走れ、それでいてレースでは上位を狙えるポテンシャルを持つ。
むむ、やはり中間排気量のマシンって素晴らしいバランスの良さを持っている。こんなベータRR2T200なのであった。
足つき性チェック(ライダー身長172cm/体重85kg)
ディテール解説
ライダー紹介
村岡 力
1956年生。
70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪メインですが4輪もし時々航空関係も。モータースポーツは長年トライアル1本で元国際B級。現在は172cm85kgの重量級。業界ではジッタのアダ名で通ってます。