125cc相当の電動ニンジャ、eブーストで立ち上がりビューン! 圧倒的なマスの集中感!|カワサキ・ニンジャe-1試乗記

2023年9月、カワサキは自社初となる電動モーターサイクル「ニンジャe-1」と「Z e-1」を正式発表。この2モデルは今年1月に国内販売がスタートした。どちらも欧州A1ライセンスに対応した最高出力に設定され、日本では原付二種登録となる。今回はフルカウルのニンジャe-1に試乗した。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン(https://www.kawasaki-motors.com/)

ディテール解説

駆動モーターは400cc並みの最大トルク(40Nm)を発生する空冷式の埋込構造永久磁石同期電動機。一次減速にギヤを使用しているので、ギヤオイル(0.09ℓ)を必要とする。走行中にスロットルを戻すと運動エネルギーがバッテリーに蓄えられる回生システムを搭載。
総電圧DC37.8~57.4V以上のモーター駆動用リチウムイオンバッテリーパック。1個の重量は11.5kgで、取り扱う際は底面を持たないこと。上面には充電残量インジケーターあり。今回の30kmに満たない走行では、バッテリー残量は100%→40%に。
グレーのスイッチの上側がウォークボタン、下側がモード切り替えボタンだ。ライディングモードはロードとエコの2種類。ウォークモードは前進約5km/h、後退約3km/hとなる。
上段がモータースタート/ストップスイッチ、下段がeブーストボタンだ。サイドスタンドが降りていると駆動モーターを起動できないので注意。
4.3インチフルデジタルTFTカラー液晶メーターを採用。タコメーターのようなバーグラフはeブーストゲージ。駆動バッテリーを2個搭載しているため、メーターの左右にそれぞれの充電レベルゲージがある。左上には駆動バッテリー温度計があり、これが点滅したら安全な場所に停車してバッテリーを冷ますこと。積算計、トリップA/B、平均電費、瞬間電費、航続可能距離が切り替え表示できるほか、スマホとの接続機能も搭載する。
大胆に肉抜きされたトップブリッジやセパレートハンドルなどは、ニンジャ250/400を踏襲している模様。クラッチレバーは存在しない。
仕切りカバーの下に小物入れあり。奥にあるロックケーブルを引くとライダーシートが取り外せる。なお、撮影車両にはプラグイン充電のための「オフボード充電用ポート(1万9305円)」が装着されていた。
バッテリー充電器(3万8610円)は別売り。2個のバッテリーを同時に充電するには、この充電器が2台必要となる。バッテリーを立てた状態で充電できる充電用ドック(3万8759円)も用意。フル充電に要する時間は最大で約7.4時間(約3.7時間×2)だ。
標準装着タイヤはIRC・RX-01。前後のリム幅やタイヤサイズは奇しくもニンジャ250SLと共通だ。フロントのブレーキディスクはφ290mmで、ピンスライド片押し式2ピストンキャリパーを組み合わせる。前後にABSを標準装備。フロントフォークは非調整式のφ41mm正立タイプだ。
ボトムリンク式のリヤショックはプリロードを4段階に調整可能で、標準位置は最弱から2段目だ。リヤのブレーキディスクはφ220mmで、キャリパーはフロントと同様のピンスライド片押し式2ピストンキャリパーだ。
当然ながらシフトペダルはなし。奥に見える紫色のハーネスは電圧がDC50Vを超えるので要注意だ。シートレールの左側に単体のヘルメットロックを備えるほか、タンデムシートを外したところの左右にもヘルメットフックあり。
フロントカウルやフロントフェンダー、スクリーン、ミラーなど、外装類の多くをニンジャ250/400から流用している模様。ただし灯火類は、ニンジャ250/400とは異なり、前後のウインカーやナンバー灯までオールLEDとなる。駆動モーター用とは別に電気機器用の12Vバッテリーをライダーシートの下に搭載している。
前後のシートやシートカウルもニンジャ250/400を彷彿させる。

カワサキ ニンジャe-1 主要諸元

全長×全幅×全高 1,980mm×685mm×1,105mm
軸間距離 1,370mm
最低地上高 160mm
シート高 785mm
キャスター/トレール 24.4°/93mm
モーター種類 埋込構造永久磁石同期電動機
定格出力 0.98kW
最高出力 9.0kW(12ps)/2,600~4,000rpm
最大トルク 40Nm(4.1kgf・m)/0~1,600rpm
走行モード ROAD/ECO
電力消費率 52Wh/km (60km/h定地走行値)
一充電走行距離 55km (ROADモード、60km/h定地走行値、1名乗車時)
バッテリー リチウムイオンバッテリー×2
バッテリー総電圧/総電力量 50.4V/30Ah×2
バッテリー重量 11.5kg×2
バッテリー充電時間 3.7時間×2
トランスミッション形式 オートマチック
一次減速比/二次減速比 3.210(61/19)/3.866(58/15)
動力伝達方式 チェーン
フレーム形式 トレリス (高張力鋼)
懸架方式 (前) テレスコピック (インナーチューブ径φ41mm)
懸架方式 (後) スイングアーム (ボトムリンクユニトラック、スプリングプリロード調整可能)
ホイールトラベル (前) 120mm
ホイールトラベル (後) 133mm
ステアリングアングル(左/右) 35°/35°
タイヤサイズ (前) 100/80-17M/C 52S
タイヤサイズ (後) 130/70-17M/C 62S
ブレーキ形式 (前) シングルディスク (外径290mm)
キャリパー (前) デュアルピストン
ブレーキ形式 (後) シングルディスク (外径220mm)
キャリパー (後) デュアルピストン
車両重量 140kg(バッテリー2個含む)
乗車定員 2名
メーカー保証 2年
生産国 タイ王国

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…