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スタンダードの良さが凝縮したシンプルでクラシカルなスタイルは見飽きない
シンプルなデザインのクラシカルなスタイルのバイクには普遍性があります。時流にとらわれない定番として多くのライダーから支持を集めています。ホンダGB350が高い人気を誇っていることからも、そうした普遍的なクラシックスタイルバイクには需要があることが理解できます。
ロイヤルエンフィールドが送り出すバイクの多くは、どこかレトロな雰囲気があります。中でももっともクラシカルなムードを漂わせているのが、新型となって登場したクラシック350です。ホンダもGB350にクラシックスタイルのGB350Cを新たにラインナップしましたが、競合モデルがあることはユーザーからすると選択の幅が広がって良いことだと思います。
ここで改めてクラシック350を眺めてみます。鋼管製ダブルクレードルフレームに直立型空冷4ストローク単気筒の組み合わせは、それだけで60年代のバイクを彷彿させます。さらにタンクパッド装備のティアドロップタンク、ディープフェンダー、カバードタイプのフロントフォークなどがクラシックムードを高めています。車体を構成するパーツ一つひとつが美しく仕上げられ、個性を主張していて、結果的にそれらがまとまって存在感を高めているように思えます。
低中速型のフラットなエンジン特性は下道をとことこ走るのにちょうどいい

空冷単気筒のシンプルなエンジンは最高出力14.9kW(20.2PS)/6,100rpm、最大トルク27Nm/4,000rpmという性能。ライバルであるGB350Cは最高出力15.0kW(20ps)/5,500rpm、最大トルク29Nm/3,000rpmなので性能面では大差はありません。低中速型であるのも同じです。ただクラシック350のパワーフィーリングには単気筒エンジンらしい鼓動感が強く出ていて、キャブトンタイプのマフラーから吐き出されるサウンドも大きくて歯切れが良いのが特徴的です。アクセルを開けたときにタタタッと鼓動とともに反応するので、走らせているという実感が得られます。実際のスピードは決して速くないのですが、自分のコントロール下において操作している喜びのほうが勝ります。
パワフルじゃないとはいっても350㏄の排気量があるので、一般道での走行性能に不足はありません。発進加速で車に負けることはありませんし、高速道路での100㎞/hクルージングも十分にこなしてくれます。つまり実用上はまったく問題ないということです。むしろ下道で多用する50~70km/hのスピードで走行するのが心地よく思えるほどです。
見た目とは裏腹に軽快でスポーツ性に富んだハンドリングに驚喜する
シート高が805㎜で車重も195㎏あるので取り回し性はイマイチかな?と思って跨りました。ところが車体を起こすのにそれほど重さは感じなかったし、足つき性も良かったので逆に驚いてしまいました。前後サスペンション、とくにリアサスはそれほど初期作動が良いようには感じませんでしたが、足を下ろす部分がスリムなので足つきが良かったのだと思います。そしてもうひとつ、サドルタイプのシートは、座面が広くクッション性もまずまずだったので、快適で安心できる座り心地を与えてくれたことも付け加えておきたいと思います。
走り出してまず実感するのが、太い低中速トルクで車重を感じさせず加速していける点です。これはエンジン特性もありますが、車体バランスが良くてしっかりとした直進安定性を備えていることも大きな要因です。フロント19インチ、リア18インチというホイールサイズも高い安定性に寄与しているでしょう。一方でこうした車体構成はどちらかというと鈍重なハンドリングになりがちです。まあクラシックスタイルのこのバイクにはそのようなハンドリングが合っているような気もしますが、実際には軽快でニュートラルなハンドリング特性となっていて、旋回性も高いことに驚かされました。スポーティな走りが市街地やツーリングで楽しめるのです。
一般的にスポーティというと、深いバンクで高いコーナリングスピードを実現し、なおかつ軽やかに身をひるがえすようなハンドリングを連想します。それはもちろん正解ですが、大切なのはライダーが自らの意思で操作し、それに応える走りを実現してくれるハンドリングがスポーティだと感じられるのだと思います。つまりスピードはイコールではないのです。むしろ日常域で自在な操作を可能にしてくれるクラシック350のハンドリングのほうが、ライダーに喜びと満足感を提供してくれるともいえます。
足つき性(ライダー身長178cm)
ABS装備の前後ディスクブレーキや液晶ディスプレイ内蔵のメーター、LEDヘッドライトなど現代のバイクでは一般化した装備はクラシック350にも採用されています。しかしバイクとしての基本性能(走る、曲がる、止まる)はしっかりと実現したうえで、ライダーに走る喜び、所有する満足感を加味しているのが大きな魅力だと感じます。そして、普通二輪免許(中免)で乗ることができるというのも、身近な存在にしてくれる要素です。クラシカルなデザインに目が行きがちですが、バイクとしての魅力を高い次元で実現しているのです。
ディテール解説
主要諸元
全長 | 2,145mm |
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全幅 | 785mm |
全高 | 1,090mm |
シート高 | 805mm |
乗車定員 | 2人 |
排気量 | 349cc |
重量 | 195kg |
エンジン | 単気筒空冷4ストローク |
最大出力 | 14.9kW(20.2PS)/6,100rpm |
最大トルク | 27Nm/4,000rpm |
トランスミッション | 5速マニュアル |
フューエルタンク | 13L |
ブレーキ | Front=φ300mmディスク Rear=φ270mmディスク |
タイヤ | Front=100/90-19 Rear=120/80-18 |
製造国 | インド |