
道志川を眺めつつ山間の道をのんびり走る至福
リニア中央新幹線の神奈川駅が絶賛建設中の相模原市橋本から国道413号線に入ります。交通量の多い市街をようやく抜けると、城山ダムを渡り津久井湖の脇を通りながら津久井市街を走る抜けます。三ヶ木の交差点を左折し、その先を今度は右に曲がると民家はぐっと減ります。国道413号線、通称道志みちは、三ヶ木から道志川に沿って西に向かい、富士五湖のひとつである山中湖へ至ります。
青野原を過ぎるあたりから所どころ道幅を狭めながら、次第にカーブが増えてくるとともに、回り込んだカーブもあるので気は抜けません。道はアップダウンを繰り返して続きますが、高い位置を通っているところでは眼下に小さな集落や田園風景を眺めることもあります。そんな風景がちょっと気になったので、下っていく道を探してスーパーカブを導いてみました。河原のキャンプ場へ続く道がそのまま集落への道でもありました。道志川を渡ると山の斜面に寄り添うように民家が点在しています。その風情はまさしく素朴な山村そのものです。道は集落の端で行き止まりとなっていました。
再び道志みちに戻りスーパーカブで快調に走ります。道志村に入ると道は谷筋を川沿いに進みます。そんな道沿いにポツリポツリと小さな集落が点在しています。長閑な風景の中をツーリングするのはいつも心が和みます。都内からわずか2時間程度でそんな風景に出会えるのですから、バイクに乗ってて良かったと心から思えます。もちろん車で来ることもできますが、山の空気を直に感じられるバイクのほうがやはり、旅感が強いのです。
村の中心である役場の前後には飲食店などもあるのだが、ツーリングライダーに人気の道らしく「ライダー歓迎」の看板を掲げている店も少なくない。ちょっとうれしい気持ちになります。そうこうしているうちに道の駅どうしに到着しました。
ドライバーにも人気の道の駅なのですが、ライダーの聖地といったイメージが強いのが道の駅どうしの特色じゃないでしょうか。この日も平日だったにもかかわらず、駐車場にはすでに100台近くのバイクが止められていました。しかも次から次へと出入りがあるので、延べ台数では500台以上は立ち寄っているのではないでしょうか。休日に来たことがあるのですが、バイクが入りきらない状態でした。全国各地に道の駅がありますが、ここ道の駅どうしほどバイクが集まる道の駅はほかにないんじゃないかと思います。
ライダー向けという施設はとくにありません。特産品や農産物、土産物などの売店、手づくりキッチンという名のレストラン、それに休憩所や観光案内所、トイレがある一般的な道の駅施設です。あえて特徴といえば、すぐ裏手を流れる道志川で川遊びができることぐらいでしょうか。
川遊びはしませんでしたが、かっぱ橋という名の吊り橋を渡ってみたり、土産物屋を見て回ったりした後、手づくりキッチンで名物のひとつである山菜そばで昼飯を楽しみました。

帰り道では少しばかり観光していこうと、まずは日帰り温泉の『道志の湯』へ行ってみました。入浴できるようにタオルなどを携行していったのですが、休館日という残酷な看板が出ていました。本来は休みの曜日じゃなかったんですけどね。仕方がないのでそのまま山間部へと続く道を進んでいってみることにしました。道志には何度も来ているのですが、脇道に入り込んでみることはほとんどありませんでした。道志川の支流である宝久保川を遡るように道は続いているのですが、道志の湯を過ぎると小さな宿やキャンプ場、別荘などが点在していて、さらにその先に「的様の滝」という名所がありました。滝が流れ落ちた先の岩肌に的のような模様があるところから的様の滝というそうです。せっかくなので見てみることにしました。
滝つぼへと降りていける階段があったのでたどったのですが、急斜面い丸太を敷いた簡素な階段は足を載せるとグニャリと沈むように動くシロモノ。しかも1段の落差が大きいときているので、足を滑らせないようにかなり気を遣いました。同時に、戻るときにはここを上るのかと思うと気が遠くなりそうです。3分の2ほど降りてきたところで滝を眺めました。「なんで滝つぼまで行かないんだ?」と疑問に思う人もいるでしょうが、残り3分の1は梯子がかけられているだけだったので、遭難の危険を感じてやめたという次第です。それに、道の駅にはたくさんの人がいたのに、的様の滝には人っ子一人いなかったのですから、万が一足を踏み外しでもしたら人知れず他界してしまうかもしれませんし、冬眠明けのクマに襲われちゃうかもしれないので、そそくさと退散することにしたのです。
こうして遭難することもなくスーパーカブで道志みちへと戻り、相模原方面へと走りを楽しみながら帰ったのですが、さすがにライダーに人気のルートだけにたくさんのバイクと遭遇しました。今回は見かけませんでしたが、中には無茶な走り方をするライダーもいるらしく、死亡事故も少なくないようです。なので道志みちをツーリングする際には、のんびり焦らず走ってほしいと切に願います。せっかく美しい風景の中を走れるんですから、そんな自然や風情を堪能しない手はないと思いました。

今回のゆるカブツーリングの走行距離は116㎞、使用したガソリンは1.77Lだったので、約65.5㎞/Lの燃費でした。かかった費用は食事を合わせて約1000円という結果でした。