バイクの足着きを向上させるWILD WINGの厚底ブーツは、「ライダーのために」という思いから生まれた。

ライディングブーツは数あれど、足着き性を向上できる厚底ライディングブーツの存在をご存知だろうか。WILD WINGというブランドがリリースする、ライダーのための一品だ。厚底のライディングブーツはどうやって生まれたのか、そして気になる操作性は。WILD WINGを展開する、WING GLOVE(ウィングローブ)代表取締役の藤林勝士さんに話を聞いた。

REPORT●伊藤英里(ITO Eri)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)、伊藤英里(ITO Eri)

「ライダーのために、バイクに乗りやすいライディングブーツを作ろうと考えたんです。WILD WINGのライディングブーツは、中途半端なことは一切せず、こだわり抜いて作っています」

 そう語るのはWING GLOVE(ウィングローブ)の代表取締役、藤林勝士さんだ。全日本ロードレース選手権を戦っていたレーシングライダーである藤林さんはレースを引退したあと、アパレルの靴メーカーとして2011年にWING GLOVEをスタートさせた。「バイク業界に恩返しがしたい」「バイクに乗るときの専用ブーツを作りたい」……そんな思いが高じて立ち上げたブランドがライディングブーツブランドのWILD WINGだった。バイクと密にかかわるレースの場に長く身を置いていたからこそ、ライダーのためのブーツを作りたいという思いが強い。

「コンセプトがしっかりしていて、筋が立っているのがブランドだと、僕は考えています」と藤林さんは語る。WILD WINGのコンセプト、それは言うまでもなく、「ライダーのため」を極めたライディングブーツにほかならない。

「ですから、WILD WINGのブーツは材質にもこだわっています。素材には牛革を使用していますが、それは摩擦に強く、穴が空きづらいので安全性が高いからです。ブーツは転倒時にバイクに挟まってしまうことがありますからね。革というと硬くてなじむまでに時間がかかるイメージがありますが、そういうデメリットをできるだけなくしています。また、ヒール部分の形状をステップに合わせているのも特長の一つです。ライダーがテストを行い、バイクに寄りやすいよう素材から研究して一番いいものの組み合わせで作っています」

 バイクに乗るための専用ブーツとして、WILD WINGのブーツはソールのヒール部分が斜めにカットされている。ヒールをステップに合わせると、自然とつま先が真っ直ぐになる設計だ。ヒールの大きさはサイズによって微調整され、小さいサイズであってもヒールをステップに沿わせると、最適なポジションでチェンジペダル、ブレーキペダルに合うようになっている。
 
「ソールにもかなりこだわりました。WILD WINGのためのオリジナルのソールなのですが、裏全体が天然のラバーで、摩擦にも優れていますから、雨の日も滑りません」

こだわりのソールは踏ん張りがきく。そのため、取り回しのしやすさにも貢献する

 そんなWILD WINGのブーツの中でも、気になるのが『厚底ファルコンWWM-0001ATU』などの厚底ライディングブーツである。小柄なライダーの筆者としても、足着き性向上を目的とした厚底仕様のライディングブーツとあって注目したくなるブーツなのだ。この厚底ブーツ、ライダーの声から生まれた商品だった。

『厚底ファルコンWWM-0001ATU』は1.7cmの厚底ブーツ

「はじめはすごく乗りやすさにこだわっていました。そして、自分でも納得のいくライディングブーツを作り上げたと思います。ただ、女性のライダーに聞き込みをすると、『多少乗りづらくても、自分の足を地面に着けたい』というお声があったんです。僕の見解ですが、女性のライダーは“このバイクに乗りたい”という思いがあれば、その強烈な気持ちで突き進んでいく方が多いです。ですから、僕としてもライディングブーツで足着き性の部分を助けてあげられれば、と考えました。WILD WINGの大きなコンセプトは『ライダーのために』ですから、その気持ちがすごく僕に刺さったんです」

 厚底のライディングブーツと聞くと、シフトチェンジやリヤブレーキの操作に影響はないのだろうか、という疑問が浮かぶ。特にシフトアップでは足首の動きによって爪先をチェンジペダルの下に入れ、かき上げる操作が必要だ。その操作に支障が出れば、安全性にも影響を及ぼしかねない。だが、藤林さんによれば、そうした操作性と足着き性を両立させるちょうどよいバランスで、厚底のライディングブーツは作られているという。
 
「実は、チェンジペダルの下に爪先が入るのかどうか、という点では、爪先部分の厚さはあまり重要ではないんです。大事なポイントは、ステップに引っかかる部分。チェンジペダルの下に足を入れるとき、ここを支点として足首を動かすからなんですね。ですから、厚底のライディングブーツでも、この部分を薄くしています」

「ただ、リヤブレーキの操作に関して言えば、爪先部分と支点となる部分が同じ厚みの方がベターです。爪先だけ厚くしてしまうと、リヤブレーキを操作しないときには常に足首が上がった状態をキープしなければならないからです。ですから、『リヤブレーキが少しだけ踏みづらい』『シフトチェンジの操作が少しだけしづらい』、そして厚底によって足着きが向上できるものとしての中間点を探っていったのが、厚底のライディングブーツなのです」

シフトチェンジのときの足首の動きは、ステップに引っかかる部分を支点とする。だから、この部分が薄ければ、操作に影響は出にくいのだという
筆者(身長153cm)が実際に履いた様子。普段履いているライディングブーツではほぼ着かなかった足が地面に接地した

 この厚底ライディングブーツ、最近では女性のライダーだけではなく、男性のライダーからも支持を集めているという。
 
「身長があっても、男性は女性に比べ、体格的に太ももが太いです。バイクにまたがったときに真っ直ぐ足を下ろそうとしても、その太ももの太さで足が横に開いてしまい、そのために足着きが悪くなることがあるのです。そういう意味でも、厚底のライディングブーツをお求めになる男性も増えているのだと思います」

 お話を伺っていると、藤林さんのバイクへの思い、そしてそんなバイクを愛し、楽しむライダーたちにもっとバイクを安全に楽しんでもらうために、ライディングブーツという側面から力になりたいという思いが伝わってくる。全てはライダーのために。そんな一貫した思いが結集して、厚底のライディングブーツが誕生したのだろう。

チェンジペダルが当たる部分には革が二重になっている
内部のデザインもおしゃれ。普段見えない部分のちょっとしたエッセンスに気分が上がる
靴紐を挟むためにベルクロは大きめ。紐靴の心配も解消される
さらにこんな厚底ブーツも!

 

株式会社WING GLOVE(ウィングローブ)
代表取締役 藤林勝士さん

全日本ロードレース選手権ライダーとして活躍し、引退後、2011年からWING GLOVE(ウィングローブ)をスタートさせる。2014年ごろから自社ブランドWILD WINGを立ち上げ、ライディング専用ブーツ、厚底のライディングブーツなどを製造、販売。「ライダーのためのライディングブーツ」を造り続けている。

東京都台東区千束4-11-9 三ノ輪ガーデン101
TEL:03-5603-5600
https://winglove.co.jp/

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伊藤英里