モデルチェンジのホンダ・モンキー125、排気量1ccダウンでも、排気量アップしたような感覚!?

モンキーが大きくなって125ccエンジンを搭載し、待望のリバイバルブランドとして発表されたのは2018年4月の事。“アソビの達人”をコンセプトに開発されて同年7月に新発売。その後2度の新色追加等を経て、2021年9月に5速ミッションを搭載する新エンジンへの換装やフロントABSの装備で大きく熟成された。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

ホンダ・モンキー125…….440,000円

ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125

パールネビュラレッド

ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125
パールグリッターリングブルー
ホンダ・モンキー125
パールシャイニングブラック

古きモンキー50は小さくて可愛らしいバイクだった

前後リジッドサスペンションには5インチホイールを履く。当時63,000円で発売された初代の1967年型モンキーZ50M。
MY BEST SMALLと謳われて30年振りにモデルチェンジされた2009年型モンキー。ホイールサイズは8インチ。多くのユーザーにとって、これがモンキーの標準形だった。

 今回掲載した最新モンキー125は、新型エンジンへの換装が主な変更点。同時にトランスミッションの5速化も果たしている。
 既にお気付きだろうが、3月に先行デビューしたグロムの変更内容と基本的に共通である。 解説が重複しない様に詳細説明は割愛するが、簡単に振り返っておくと最新の排出ガス規制に適合すべく、よりロングストローク化された新開発エンジンが搭載された。
 元よりロングストロークエンジンだったがストロークをさらに5.2mmも延長。ボア・ストロークは50×63.1mmになり、124ccだった総排気量は123ccとした。
 当然クランクケースからシリンダーヘッドまで、つまりエンジンの全てを一新。燃焼室の圧縮比は9.3:1から10.0:1へ高められ、吸排気系もそれらに合わせて熟成。低フリクション化も徹底されている。同時にトランスミッションも4速から全体のレシオがワイド化された5速へ変更。
 
 基本的に共通ユニットのグロムと諸元比較すると最高出力がやや控えめで、10psのグロムに対してモンキーは9.4ps。発生回転数も500rpm低い6,750rpmになっているが、最大トルクは共通。
 エキゾーストパイプがほぼストレートにマフラーへと導かれるグロムに対して、モンキーはやや細めのパイプをエンジン下でUターンさせて管長を稼いでアップマフラーへと続くデザイン。
 吸排気及びECUのセッティングが異なっている。結果的にモンキーのモード燃費率はグロムの68.5km/Lを凌ぐ70km/Lをマーク。
 1次減速比と5速ミッションのギヤレシオは両車共通だが、2次減速は前後スプロケットが1丁落ちの前14/後37丁が採用され、若干だが低めになっている。ただ、グロムは70偏平タイヤを装着しているのに対して、モンキーは同サイズながら80偏平を履いている関係で、外周長は少し大きいと思われ、トータルでの減速比はほぼ共通と考えて良いだろう。
 つまりモード燃費率の向上は出力特性の違いによるところが大きいと思われる。

スッキリとシンプルなデザインが印象的なモンキー125のバックボーンフレーム。

1グレードアップした快適性。穏やかな乗り味が心地よい。

 試乗車を目の当たりにすると、このスタイリングはどう見ても“モンキー”そのもの。一方で「いやいやかつてのモンキーとは別物だ」という思いが交錯する。
 改めてなお話だが、そもそもモンキーは小さくて可愛らしいバイクだった。特に初代は小さすぎるぐらい。8インチタイヤになって固定シートが採用されてからもハンドルが折り畳め、ガソリンが漏れない様にできる等、クルマに積む事も考慮された、レジャーバイクのパイオニア的存在だった。
 しかしモンキー125は、大胆なまでのサイズアップを敢行。タイヤは12インチサイズを履く。それでいて誰の目にも可愛らしいモンキーを彷彿とさせる外観デザインは実に巧みである。
 早速跨がると同グラスのグロムよりも大きな感じ。全長とホイールベースは5cm程短いが全体にワイド。特にシート幅が広くボリュームたっぷり。ライディングポジションもどちらかと言うとタイトに決まるグロムより大柄。ベッタリと地面を捉えられる足付き性も感覚的に余裕は少ない感じになる。
 筆者にはどうしても“モンキー”イコール小さなバイクという先入観が染み込んでいるだけに、普通のバイク感覚で乗れる、サイズ的に余裕のあるフィーリングには改めて驚かされた。
                    
 エンジンを始動して走りだすと、そのゆとりに関わる印象がさらに強調される。今回の熟成度合いを言葉で表現するのは難しいが、端的に言うと乗り味が逞しく、とても柔軟。新旧エンジンの最高出力に大きな差は無いが、トランスミッションの5速化による恩恵も相まって、ワイドレンジで太いトルクを発生する出力特性の向上が体感できる事は間違いないのである。
 実際、クラッチをミートした瞬間から以前よりパワフルなスタートダッシュができる。しかも優れているのは、感覚的(気持ち)に急かされるイメージが薄く、高トルクが余裕で発揮されている雰囲気。俊敏ではないが、スムーズかつ着実に吹き上がる。その伸びを待って順次シフトアップして行くのがとても心地よい。あたかも排気量が少し増えているかのようなエンジンフィーリングなのである。
 外付けの回転計で計測すると、アイドリングは1,300rpm。ローギヤでエンジンを5,000rpm回した時のスピードは22km/h。5速トップギヤで50km/hクルージング時のエンジン回転数は3,400rpm弱だった。
 ちなみに基本的にエンジンは同じスーパーカブC125よりも、モンキー125はアクティブに元気良く走れ、トップクルージング時のエンジン回転も100rpm以上低く抑えられている。
 実用燃費率は今回計測できなかったが、グロムよりも中低速域の出力特性に的を絞られているようで、回さなくてもゆったり走れる点が好印象。普段使いでも穏やかな気分で走れる事から、諸元値の差以上の高燃費率が期待できそう。

 前後サスペンションと空気容量の大きなタイヤから発揮される乗り心地も快適。シートの座り心地も良い。着座位置の自由度も大きく、林道散策から、それこそロングツーリングまで自由自在な使い方に適応してくれる。  余談ながらモンキー125は原二なのに1人乗り専用車。あえてその点に贅沢な雰囲気が加味されているようにも感じられた。
 50cc時代のモンキーと言えば、小ささからくる諸々の苦痛や不便を承知であえてツーリングに出かけると、モンキーならではの冒険心が駆り立てられる楽しみがあった。しかし今のモンキー125は、ミニバイクながら、それを全く感じさせない快適性を発揮してくれる。乗り味は普通サイズのバイクに負けないパフォーマンスを誇れるのだ。
 今回の新エンジン搭載で、モンキーが大きくなったメリットをさらに遺憾なく発揮されてより逞しく魅力的なレジャーバイクになった。そう思えたのが正直な感想である。

足つき性チェック(身長168cm/体重52kg)

ホンダ・モンキー125

足つき性はご覧の通り。シート高は776mm。たっぷりと厚みのあるシートはワイドなデザインで、アップマフラーの張り出しがある車体もそれなりに太い。そのため地面を捉える両足のゆとりはそれ程多く無い。

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…