エンジンはNinja 1000SX、4,378,000円。ビモータの最新モデル「KB4」を解説

“ビモータ”がカワサキプラザ他、全国の主力店舗で販売される。株式会社カワサキモータースジャパンが日本総輸入元となる事が発表された。リリースされる第一弾は最新の「KB4」である。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●カワサキモータースジャパン
アンベール直後の記念撮影。KB4と株式会社カワサキモータースジャパンの桐野 英子 社長。

ビモータ・KB4…….4,378,000円

 “ビモータ”と言えば、イタリアン・カロッツェリアとしてその名も世界に知れた、超有名なプレミアム・ブランド。
 国内4メーカーやドゥカティといった量産メーカーのパワーユニットを厳選搭載し、独自のスーパーバイクをリリースしてきた事で知られている。
 ハンドメイドで丁寧に仕上げられる作りや、革新的技術とデザインを積極的に取り入れる独創的なキャラクターは量産モデルとは一線を画す貴重なモデルとして高く評価されてきた。
 またかつてTTフォーミュラ1レースで世界タイトルを奪取したことも、その技術がギミックではなく、確かなポテンシャルを備えていた証として、同ブランドへの信頼度はさらにを高まった。その価値ある商品力は高い評価を集めてきているのである。

細部まで尽くされた造形へのこだわりからは芸術的な魅力が漂ってくる。

 1990年に初のハブセンターステアリングを搭載したTESIの投入で、一段と大きな脚光を浴び、さらにその名を轟かせた「BIMOTA(ビモータ)」は1972年より各社のエンジンを搭載した高級スーパーバイクをリリースして来た事で知られている。
 既にその歴史は半世紀に及んでいるが、製品開発から製造、そして販売まで行う会社経営は決して順風満帆ではなかった。
 そんなビモータの再生支援のために、新たな二輪車メーカー(ビモータS.P.A.)の共同設立に乗り出したのが日本の川崎重工業だったのである。
 2019年11月のEICMA(ミラノショー)には早くもコラボモデルを公開。両社のアイデンティティを象徴する、「TESI H2」の出展には世界のバイクファンが驚愕した。同時にビモータの新型モデル200台の販売計画を発表したのである。

 その新開発モデルが今回の「KB4」。カワサキエンジン搭載モデルとしては、1978年のKB1、1981年のKB2、1983年のKB3に続くシリーズ4番目に当たる。まさにビモータブランド待望の最新モデルである。
 なお、コンセプトモデルとして参考出品されたTESI H2やKB4ネイキッドバージョンの販売予定については、現在未定。ただし将来的なバリエーション拡充を目指して検討中であることは間違いなさそうだ。
 いずれにしてもとびきりプレミアムなバイクである事は間違いないが、ユーザーとなれる幸運な人にとって、アフターサービス態勢の充実した全国のカワサキプラザ店で購入できる安心感と魅力は大きい。
 発売予定は2022年3月。日本総輸入元はカワサキモータースジャパン。同社の公式ホームページには既にビモータの新ページが追加されているが、購入方法については、後ほど掲載される予定になっており、乞うご期待なのである。

1Lクラスのバイクとしてはコンパクト軽量に仕上げられている。それはミドルクラス並み。

空気の導入もしっかりとマネージメントされたフェアリングデザイン。ヘッドランプはシンプルな丸型を採用。

ダブルで装備されたフローティングローターはφ320mm。ラジアルマウントされた油圧キャリパーはブレンボ製の対向4ピストンタイプ。

エンジンはNinja 1000SXのユニットが流用されている。ミッション及び1次2次減速のレシオも共通である。

ピレリ製のディアブロ・スーパーコルサを履く。シングルディスクはφ220mm。ブレンボ製の1ピストン・ピンスライド式油圧キャリパーを装備。

一人乗り専用のシングルシートは本革で仕上げられている。

肉抜きもされたアルミ削り出し部品のトップブリッジ。それに並行してステアリングダンパーが標準装備されている。
トップブリッジの真下にクリップオンされたセパレートハンドル。スイッチボックスはNinja 1000SXと同じ物を使用。
リヤのモノショックはオーリンズ製。リモコンダイヤルでプリロード調節ができる。
シート下部には冷却用のラジエターを搭載。後方には電動ファンがある。そのマウントステーはカーボンファイバー製。
左のシフトペダル側も同様。当然クイックシフター(2,500rpm以上の回転域で機能する)も装備。

ステップは偏心カムを介してマウントされる方式。ステップ位置がアジャストできる仕組みになっている。

アルミ削り出しパーツの3ピース構造で制作されたリヤアーム

ステアリングの上下ブラケット。部品の一つ一つが美しい。
オーリンズ製リヤショックはフルアジャスタブル。

主要諸元

モデル名:KB4
全長×全幅×全高(mm):2,050×774×1,150
軸間距離(mm):1,390
最低地上高(mm):140
シート高(mm):810(+/−8)
キャスター/トレール:24.0°/100.8mm

エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒 / DOHC 4バルブ
総排気量(cm³):1,043
内径×行程(mm):77.0×56.0
圧縮比:11.8:1
最高出力(kW/rpm):104.5(142PS)/10,000
最大トルク(N・m/rpm):111(11.3kgf・m)/8,000
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量(L):4.0
燃料供給方式:フューエルインジェクション
燃料タンク容量(L):19.5

トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ:
 1速:2.600(39/15)
 2速:1.950(39/20)
 3速:1.600(24/15)
 4速:1.389(25/18)
 5速:1.238(26/21)
 6速:1.107(31/28)
一次減速比/二次減速比:1.627(83/51)/ 2.733(41/15)

フレーム形式:トレリス
懸架方式(前/後):オーリンズ  FGR&T 43 NIX30/アルミ削り出しスイングアーム オーリンズ TTX36 
ホイールトラベル(前/後mm):130 /122
タイヤサイズ(前/後):120/70ZR-17/ 190/50ZR
ホイールサイズ(前/後):17M/C×MT3.50/ 17M/C×MT6.00
ブレーキ形式(前/後):デュアルディスクφ320mm /シングルディスクφ220mm
車両重量(kg):194
乗車定員:1名

生産国:イタリア共和国

ビモータ・TESI H2

現時点で販売予定の無いTESI H2。ただし今後はビモータブランドのバリエーション拡充が予定されていると明言。将来的には、国内発売が期待できるのかもしれない。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…