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125スポーツスクーター界を牽引する、ヤマハ原付二種の雄!2台のシグナスを徹底比較
ヤマハ シグナス グリファス……35万7500円(消費税10%込)
ヤマハ シグナスX……33万5500円(消費税10%込)
2003年に国内仕様がリリースされた、ヤマハの125ccスポーツスクーター・シグナスX。発売以来、二種スクーターのエースとして君臨してきた同モデルは、他メーカーモデルの追随を許さない、確固たる牙城を築いてきた。
ストリートでの使用はもちろん、カスタムベースとしても人気(外装・足周り・エンジンのカスタムパーツやチューニングパーツも非常に豊富)のシグナスXは、ミニバイクレースでも大活躍。マイナーチェンジやフルモデルチェンジを繰り返して進化してきたシグナスXは、基本的に1型~5型として振り分けられるのが特徴だ。
そして今回、6型として発展したモデルは、エンジンを空冷式から水冷式に変更されたが……。名称は、「シグナスX」から「シグナス グリファス」へとチェンジされた。
スポーティな外観や前後12インチホイールは、1型~5型のシグナスXを踏襲したもの。しかしヤマハNMAXと同型の水冷式ブルーコアエンジン、全域でのハイパワーに貢献するVVA(可変バルブ)、新設計のアンダーボーンフレーム、新開発のワイドタイヤなどを備えたスポーティな足周りなどは、「既存のシグナスXとはまったくの別物」と言えるほど大きく進化・発展。“X”ではなく“グリファス”という別名称を与えたのは、シグナスシリーズの新たな出発点であることを伺わせる。
もっとも驚くのが、両車の価格差。驚異的な進化を遂げつつも、価格差はわずか2万2000円。今回、シグナス グリファスがいかにバーゲンプライスでリリースされたのか? それは下記のスペックを見れば、容易に想像できるはず。なお、シグナス グリファス&シグナスXとも、生産国は台湾。ちなみに同社の125ccモデルであるNMAXはインドネシア、トリシティ125はタイで生産されている。
外観・サイズの違いをチェック
【シグナス グリファス】
全長×全幅×全高:1,935mm×690mm×1,160mm
軸距:1,340mm
最低地上高:125mm
シート高:785mm
車両重量:125kg
フレーム:アンダーボーン
キャスター/トレール:26°30′/90mm
【シグナスX】
全長×全幅×全高:1,890mm×690mm×1,120mm
軸距:1,305mm
最低地上高:115mm
シート高:775mm
車両重量:119kg
フレーム:バックボーン
キャスター/トレール:27°00′/90mm
前後12インチホイールを採用した両車は、外観デザインも酷似しているのが特徴。しかしシグナスXに比べ、シグナス グリファスの車体は一回り拡大されたのが大きな特徴。シグナス グリファスの全長・全高・ホイールベースは、前後13インチホイールを履く同社のNMAXと同値であり、さらにシート高はNMAXよりも20mmも高く、コンパクトスクーターというイメージからは遠ざかった印象。また、シグナス グリファスの車重は、シグナスXの119kgから125kgへと6kg増加。これも取り回しの際に、大柄さを感じさせる要因となった。
エンジンの違いをチェック
【ヤマハ シグナス グリファス】
エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
排気量:124cc
ボア×ストローク:52.0mm×58.7mm
圧縮比:11.2:1
最高出力:9.0kW(12PS)/8,000rpm
最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm
燃料タンク容量:6.1L(無鉛レギュラーガソリン指定)
エンジンオイル容量:1.00L
始動方式:セルフ式
燃料消費率(WMTCモード値):44.5km/L
【ヤマハ シグナスX】
エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
排気量:124cc
ボア×ストローク:52.4mm×57.9mm
圧縮比:10.0:1
最高出力:7.2kW(9.8PS)/7,500rpm
最大トルク:9.9N・m(1.0kgf・m)/6,000rpm
燃料タンク容量:6.5L(無鉛レギュラーガソリン指定)
エンジンオイル容量:0.90L
始動方式:セルフ式
燃料消費率(WMTCモード値):37.3km/L
シグナス グリファスに搭載されたグリファスブルーコア(BLUE CORE)は、シグナスXとはまったく別物の、ヤマハNMAXと同型のエンジン。グリファスブルーコアとは、走りの楽しさと燃費・環境性能を高次元で両立するエンジン設計思想のこと。シグナス グリファスに搭載の水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ124ccエンジンは、可変バルブ「VVA」を始め、始動モーターとジェネレーターを一体化したSMG(スマートモータージェネレーター)など、最新の機構を採用。
空冷から水冷になったシグナス グリファスは、最大出力&最大トルクとも、シグナスXに比べて大幅に引き上げ。また、燃料消費率(WMTCモード値)も、37.3km/Lから44.5km/Lに伸びるなど(パワーは従来比で20%以上、燃費は約20%向上)、エンジン性能は、パワー&エコの両面において驚異的な進化を遂げている。
シグナス グリファスのボア×ストロークは52.0mm×58.7mmとし、シグナスXよりもややロングストロークに設定。ただし圧縮比は11.2まで引き上げている。
足周りの違いをチェック
【ヤマハ シグナス グリファス】
懸架方式:前 Φ33.0mmテレスコピック 後 ユニットスイング式2本ショック
ブレーキ:前 Φ245mm油圧式シングルディスク+片押し2POTキャリパー 後 Φ230mm油圧式ディスク+1POTキャリパー
タイヤ:前120/70-12 51L(チューブレス) 後130/70-12 56L(チューブレス)
【ヤマハ シグナスX】
懸架方式:前 テレスコピック 後 ユニットスイング式2本ショック
ブレーキ:前 Φ245mm油圧式シングルディスク+片押し2POTキャリパー 後 Φ200mm油圧式ディスク+1POTキャリパー
タイヤ:前110/70-12 47L(チューブレス) 後120/70-12 51L(チューブレス)
シグナス グリファスの前後ホイールは、アルミキャストの新作。これに新開発のDURO(デューロ)製ワイドタイヤを組み合わせ。タイヤサイズは前後とも、サイズアップしているのが特徴だ。
前後ブレーキは両車とも、制動性に優れた油圧式ディスクを採用。両車ともフロントディスクはシングル式のΦ245mmをチョイスしているが(取付位置は左右異なる)、シグナス グリファスのリアディスクローターはΦ230mmに大径化され、制動力をアップ。なお、シグナス グリファスは生産国の台湾ではABS仕様も選べるが、国内仕様はABS仕様の設定はなく、左レバー(リアブレーキ)で前後ブレーキが連動するUBS(ユニファイドブレーキシステム ※注1)が標準装備されている。
※注1:UBS(ユニファイドブレーキシステム)=左レバーの操作で前後ブレーキが連動するUSBは、左レバー(リアブレーキ)を操作すると、フロントブレーキにも程よく制動力を分配する前後連動ブレーキシステム。