ホンダ 新型モンキー125でガス欠するまで走ってみた。250km地点を通過|東海道ガス欠チャレンジ [Part03]

5速になったホンダ モンキー125はガソリン満タンでどこまでイケる? 東京・日本橋から250kmでもまだまだ走る走る!?[3日目]

劇的リバイバルで話題をさらったあの名機、ホンダ モンキー125。ヘタレAFO RIDERタカハシが、新型モンキー125で東京・日本橋から京都を目指し、満タンきっちり使い切りの東海道ワンウェイ・アタックに挑む。男気あふれる清水港から、胸キュンいちご海岸通りを抜け、駿河湾岸一気走り!

REPORT●AFO RIDER タカハシ(AFO RIDER Takahashi)
PHOTO●高橋克也(KATSUYA Takahashi)
ILLUSTRATION●高橋克也(KATSUYA Takahashi)

清水と富士と男伊達

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
静岡市清水区内なら、ほぼどこからでも雄大な富士が眺められる。

のそのそ起き出し、清水の宿を走り出したのは午前10時をまわった頃だ。フューエルメーターの目盛りは残りひとつ。快晴の空には雲ひとつない。
気分よく走り出したとたん、さっそくフューエルメーターのラスイチ目盛りがピコピコと点滅をはじめた。ガス欠までの最終警告だ。

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トリップメーター190.0kmでフューエルメーターが点滅開始。目盛りが消えてみえる写真だが、たまたまその瞬間にシャッターを切っただけ。完全にガス欠してからも点滅は続き、ゼロ表示はならない。

もうすぐガス欠すると思うと、たいていのライダーは心がザワつくものだ。でもわざわざガス欠させようとして走ってるタカハシにとっては、旅のゴールが見えてきたようなもの。逆に気が楽になって、ちらっと観光でもしようかと思い始めた。

静岡県民のアイドル、清水次郎長

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「次郎長通り」は、三保の松原へ続く一本道だ。

つい最近、清水次郎長(しみずのじろちょう)を知らないという人物に会い、マジこいつ人間か? くらいにめっちゃ驚いた。だが、もしかすると次郎長がウルトラメジャーな世界的大偉人として崇敬を集めていたのは、京都に生まれたタカハシが、少年時代に一時暮らした昭和期の静岡周辺に限ったことだったのかもしれない。

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アーケードには、三度笠をかぶり道中合羽をまとった愛くるしい次郎長キャラクターが。

清水次郎長は、幕末から明治にかけて現在の静岡市清水区あたりで活躍した侠客(きょうかく)だ。今風にいえば、いわゆる「反社」にあたるが、じつは社会事業家として地域の発展に尽くした人でもあった。

清水市には今でも次郎長の名をもつ通りがあり、次郎長の生家が保存・展示されている。なんとなく暴力団っぽいイメージの次郎長をお堅い自治体が公然と褒めたたえていることに違和感をもつ人もあるかもしれないが、それも現代とは違う当時の社会背景あってのことなのだ。

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
清水次郎長生家は、2016年にリニューアルオープンした施設。
AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
館内には当時の資料や写真を多数展示。次郎長グッズも買える。

かつて少年タカハシがハマった次郎長のテレビドラマは、コンプライアンスに厳しい令和の時代ではとても放送できないような代物だったが、子どもだったタカハシは、切った張ったの次郎長親分のカッコよさにしびれ、腕っぷしの強さに身もだえし、義理人情の切なさにボーダの涙を流しまくったものだった。だが、テレビ時代劇が放送されなくなった最近では、次郎長生家を訪れる人もめっきり減ってしまったという。

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠 イラスト 高橋克也
時代劇に登場する「お控えなすって」の決めゼリフは、「仁義」と呼ばれる当時の侠客特有の礼式。街道筋では、旅先で他家に世話になるとき欠かせない作法とされていた。

名勝 三保の松原

せっかくここまで来たんだし、せっかくの晴天だしで、三保の松原に足をのばすことにした。東海道に名立たる景勝地だから、見て損はないはずだ。気温はたった8度だが、日差しのおかげでまあまあぬるっと生暖かい。

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日本三大松原に数えられる美観の地も、手前にぼんやり写り込んだバイク乗りの霊らしきもの一発で台無しに。
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海をわたる風がさやさやと松林に寄せる。文学青年だったら「この浜には何もない美しさがある」とかなんとかコジャレ狂ったことを書き散らしたがるかもしれない。
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天女が羽衣をかけたとされる羽衣の松。どこぞのソウルブラザーズみたいに「三代目」を名乗って生えていた。

三保の松原からは、国道150号を西へ進む。駿河湾岸にべったり張り付き、大海原を見晴らしながらスカッと豪快に突っ走る清水バイパスだ。が、これが並走する別ルートと合流すると、なぜかとたんに「いちご海岸通り」という、どことなくサ○リオ少女っぽいキラキラネームに成り下がってしまうのも愛おしい。

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
左手にまばゆく輝く駿河湾、右奥はるかに久能山を望み、一直線に進む国道150号清水バイパス。でも、もうすぐ「いちご海岸通り」と合流しちゃう♡

国道150号が安倍川を渡る静岡市あたりでは、東海道は海を離れた北側を通っている。でもめんどくさいからこのまま行こう。焼津市から内陸へ舵をとり「おおむね旧東海道」にあたる県道381号線に乗り換えることにした。

駿河から遠州へ

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県道381号で小夜の中山へ。キーから伸びているのは鍵紛失防止コードだ。真似したければしてもいいが、安全のため、テンションがかかったら瞬時にコードがリリースされるパーツを取り付けておくのだけは忘れずに。

同じ静岡県でも、大井川を西へ渡るともう駿河とは呼ばれない。旧国名で遠州(遠江/とおとうみ)と呼ばれた別の国だ。金谷宿を過ぎ、小夜の中山(さよのなかやま)へ。少しでも早くガソリンを減らそうと休まず走りっぱだったから、さすがに疲れ、「子育て飴伝説」で知られる小泉屋の軒先で一息いれた。
トリップは249.5km、フューエルメーターはいまだに最後の一個が点滅したままだ。いったいどこまでこの状態で走る気なのか……モンキー125のピコピコへの粘着ぶりは異様というほかはない。

3日目は91.9km、累計278.8kmでチャレンジ継続中

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
「名物 子育飴」の看板をかかげる小夜の中山の小泉屋。子を抱えて亡くなった母親の悲嘆が路傍の石を泣かせ、気づいた寺の住職が赤子を引き取って飴で育てた伝説が残る。
AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
国道1号袋井バイパスをひたすら西へ。日没は目の前だ。

日坂宿をすぎると、国道1号は県道415号に名を変える。行く手に沈む陽はたちまち朱に染まり、袋井バイパスを降りる頃には、すっかり薄暮の空に変わっていた。

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
現在の磐田市街、東海道見附宿(みつけじゅく/みつけしゅく)。かつては天竜川の渡し船を待つ旅人でにぎわったという。

日没後の2月のライディングは、寒さで全身がきりきり痛む。辛抱たまらず磐田市のビジホの部屋に転がりこむと、すぐさまシーツにくるまって暖をとった。
モンキー125のフューエルメーターはあいかわらずピコピコしたままだ。日本橋からの走行距離は278.8km、この日の走行距離は91.9kmだった。

AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠
朝のピコピコ開始から88km以上、やすみなくガス欠ウォーニングを発し続けていたくせに、結局ぜんぜんガス欠せずシレッと一日を走り切って、トリップメーターは278.8kmに。
AFORIDER ホンダ モンキー125 東海道 ガス欠 イラストマップ 高橋克也
■東海道ガス欠チャレンジMAP/モンキー125/日本橋~磐田

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AFO RIDER タカハシ 近影

AFO RIDER タカハシ

イラストレーター、カメラマン、ライター、ムービークリエイターなど、世間をあざむく幾つもの顔をもつが…