ホンダ・ダックス125(44万円)が発売になって、旧ダックス50&70が気になってきた。中古車相場は?

2022年7月にいよいよ国内で発売となるホンダ ダックス125。ホンダの小排気量モデル伝統である、カブ系の縦型エンジン(排気量124cc)を搭載した同車は、1969年(昭和44年)に国内で初登場し、ロングセラーモデルとなったダックス50(排気量49cc)とダックス70(排気量72cc)の復刻版。モンキー50と同様、カスタムベースとしても大人気のダックス50とダックス70は、「安い中古車を入手し、自分流にチューニングを楽しむ」というユーザーも多数存在したが……。昨今では旧車ブームに伴い、絶版ミニバイクの中古車価格も急上昇。ここではダックス50とダックス70の種類に加え、中古車価格に注目してみた。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideakit)

時代によってフォルムも変化したダックス50&70

1969年(昭和44年) ダックスホンダ ST50/70スタンダード

中古車のタマ数 ★☆☆☆☆

写真は1969年(昭和44年)に国内で発売されたダックスホンダST50スタンダード。

1969年(昭和44年)に登場した、ダックスの初代モデル「ダックスホンダ(当時の正式名称)」。初代モデルは国内仕様の「ST50スタンダード」「ST70スタンダード」に加え、輸出仕様の「ST50エクスポート」「ST70エクスポート」の4種類あり。

初代モデルは車への積載を可能にするため、トップブリッジ上には「分離用ノブ」を設置。このノブを回転させると、フロント部分が分離できるしくみがポイント。

原付一種に該当するST50は、ボア経39mm×ストローク長41.4mmで排気量49cc。一方、原付二種に該当するST70は、ボア経47mm×ストローク長41.4mmで排気量72cc。ST70にはダブルシート&タンデムステップが装備されており、2人乗りも可能な設計だった。

国内仕様のST50スタンダードとST70スタンダードには、ダウンタイプで薄型プレス成型の通称・モナカマフラーに加え、兜(かぶと)のような形状のいわゆる「カブトフェンダー」を採用。一部のダックスファンの間では、今でもカブトフェンダーの人気は極めて高い。

前後にカブトフェンダーを装備したローダウン仕様のダックス改。KSR用倒立型フォーク、Gクラフト製特注アルミステム&特注アルミスイングアーム、前後アルミワイドホイール、極太タイヤ、265mmリアショック、ディスクブレーキなどでカスタマイズ。■OWNER:☆夢次郎(モトチャンプ別冊4MINIちゃんぷ17より)

1969年(昭和44年) ダックスホンダ ST50/70エクスポート

中古車のタマ数 ★☆☆☆☆

ダックスホンダST50エクスポート(写真)とダックスホンダST70エクスポートは1969年(昭和44年)から欧米に向けて輸出された。

ヨーロッパやアメリカにも積極的に輸出され、高い人気を誇った、ダックスホンダST50エクスポートとダックスホンダST70エクスポート。スクランブラー風のアップマフラーに加え、前後フェンダーは国内仕様のフェンダーとは異なる、フラットな形状が特徴。現況このモデルは、ヨーロッパを中心に熱狂的なコレクターたちに愛されている希少な超お宝車。

●ST50<ST70>の主要SPEC
全長:1510mm/全高:580mm/全幅:960mm/乾燥重量:64kg<65kg>/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc<72cc>/ボア×ストローク:39mm×41.4mm<47mm×41.4mm>/最大出力:4.5ps/9000rpm<6.0ps/9000rpm >/最大トルク:0.32kgm/6000rpm〈0.511kgm/7000〉/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-10

1976年(昭和51年) ダックスホンダ ST50-Ⅵ/70-Ⅵ、ST50-Ⅶ/70-Ⅶ

中古車のタマ数 ★★☆☆☆

ST50-Ⅵ
エンジンガードを装備したST50-Ⅶ

1976年(昭和51年)、国内仕様車としてバータイプのアップハンドルやリアキャリアなどを装備した「ST50-Ⅵ」「ST70-Ⅵ」を追加ラインナップ。

このモデルの特徴は、走りや好みに合わせて高さが調整できる、可動式のフロントフェンダーを装備しているところ。1978年(昭和53年)リリースの「ST50-Ⅶ」には、剛性アップも望めるエンジンガードが装備された。

●ST70-Ⅵの主要SPEC
全長:1590mm/全高:630mm/全幅:955mm/乾燥重量:70kg/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒72cc/ボア×ストローク:47mm×41.4mm/最大出力:5.5ps/8000rpm/最大トルク:0.51kgm/7000rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-10

1979年(昭和54年) ダックスホンダ ST50-M/ST50-C

中古車のタマ数 ★★☆☆☆

1979年(昭和54年)、ダックスはロング型フロントフォークなどを新採用した、アメリカンバージョンにモデルチェンジ。このダックスは、ロー&ロングのアメリカンスタイルや、左サイドに装着された豪華なフルメッキ仕上げのエアクリーナーボックスなどが特徴。

また、幅広のプルバックハンドル、前方に伸びたフロントフォーク、キャリア一体型のシーシーバー付きバックレストシート、メガフォン風アップマフラー、フルメッキ仕上げの大型エアクリーナーボックスなど個性的なアイテムも装備。

ミッションのタイプは手動式4段リターン(ST50-M)と自動遠心式3段リターン(ST50-C)の2種類をスタンバイ。排気量は72ccが廃止され、原付一種の49ccのみとなった。

●ST50-M<ST50-C>の主要SPEC
全長:1610mm<1600mm>/全幅:705mm<680mm >/全高:1005mm<995mm >/乾燥重量:73kg<69kg >/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最大出力:4.1ps/8000rpm/最大トルク:0.37kgm/6000rpm/変速機:4速リターン<3速リターン>/クラッチ形式:手動式<自動遠心式>/タイヤサイズ:前後4.0-10

1995年(平成7年) ダックス(通称12Vダックス)

中古車のタマ数 ★★★☆☆

スクーターブームなどがきっかけとなり、ダックスは上記のアメリカン仕様をもって生産中止。しかしモンキーブームの再来やレジャーの多様化に伴い、1995年(平成7年)に再登場(名称からダックスホンダのホンダが消滅)。

フレームは初代から受け継がれた、スマートで強靱なプレスバックボーンを採用。エンジンはオートカムチェーンテンショナーやCDI、12VのMFバッテリーを導入した、最新型のカブ系がベース。フロントフォークには正立型を採用し、前後にワイドタイプの3.50-10インチブロックパターンタイヤを装着。

1995年版には、初代ダックスに採用の折畳みハンドルに加え、シート高735mmのロングシート、メッキがけした豪華なフロントフェンダーやマフラープロテクターを導入して高級感をアップ。

●12Vダックスの主要SPEC
全長:1510mm/全幅:590mm/全高:980mm/乾燥重量:72.3kg/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.29kgm/4500rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-10

中古車の型式や価格をチェック!

ここでは人気のバイク検索サイト「グーバイク」から、各店で一定の整備を受け、比較的程度が良いと予測されるダックス50&ダックス70をリサーチしてみた。
●写真/情報協力:グーバイク https://www.goobike.com
※注:中古車商品は絶えず最新のものに更新されており、記事制作時での掲載物件となっており、現時点で閲覧、購入できるとは限りません。

ダックスホンダ ST50 年式:不明/走行距離:7522Km/車両価格:24万9800円

販売店:コレクションサンタ(栃木県鹿沼市)

折り畳み式ハンドル、フォークブーツ付きのフロントフォーク、フラットフェンダーの装着により、外観は一見、輸出仕様のダックスホンダST50エクスポートに見える。しかしウインカーの大きさや取り付け位置、フロントフォーク横のリフレクター、マフラーのデザインから推測するに、1976年モデルがベースと推測。シートは社外品がチョイスされている模様。

走行距離は7522kmだが、メーターの取り換えが簡単でパーツも豊富。また、エンジンの互換性が非常に高く、中古エンジン本体や中古エンジンパーツがふんだんにある。しかもエンジンの載せ換えが容易なダックスの場合、走行距離はあくまでも参考程度にしておくのが常識だ。

写真で見る限り、エンジン、足周り、フレームや外装類はとってもきれいで程度は良好。ノーマルで乗るのはもちろん、チューニングベースやカスタムベースとしても注目の1台。

仮に各部に不調が出た場合。ダックスは社外のリプレイスパーツも豊富なので、交換部品に困ることは少ないと思われる。また、キャブレター仕様のホンダ横型SOHCエンジンは構造も簡単なので、専用パーツや分解・組み立て用の専門書籍(パーツメーカーのキタコから発売中の“虎の巻”など)を揃えれば、プラモデル感覚でレストア・消耗部品の交換・ボアアップなどのチューニングが可能。

ダックス50 年式:1995年/走行距離:10767Km/車両価格:32万5000円

販売店:バイクショップアール(熊本県熊本市)

ダックス50やダックス70の中では高年式となる1995年モデルは、全般的にシリーズの中でも程度の良い物件が残っているのが特徴。これは高年式であることに加え、カスタムベースにするよりも、ノーマルのまま大事に乗っている人が多いせいかもしれない。

1995年モデルは発売当時、19万8000円でリリース。写真の物件は走行距離が10767Kmながら、新車時の価格を大きく上回る、32万5000円。

ダックスホンダ ST50 年式:不明/走行距離:7006km/車両価格:19万8000円

販売店:バイクショップ ロード☆スター(兵庫県加古川市)

「ワイドホィール付いてます。ノーマルホィールも有ります」とは販売店のコメント。ベース車両は1979年発売のアメリカンバージョンである模様。メッキ処理したフレーム、社外のダウンマフラー、ミニウインカーなどでカスタマイズ。自分流にカスタマイズされているためか、比較的購入しやすい価格に設定されているのが特徴。

ダックスホンダ ST70 年式:不明/走行距離:不明/車両価格:38万5000円

販売店:バイクのタキーズ(静岡県浜松市)

「初期型ダックス入庫しました。カスタムベースにどうぞ」とのお店コメント。前後カブトフェ、折り畳み式ハンドル、ミニウインカー、また2人乗り可能な70ならではのダブルシートやタンデムステップなど、貴重な初期型のフォルムを残しているのが特徴。

「カスタムベースにどうぞ」というコメントの通り、写真で見る限り外観はレストアが必要かと思われる、ややくたびれた状態。ただし手間をかけてレストアすれば、その価値は数倍に跳ね上がることは間違いない。自分で塗装やオバーホールができる。もしくはこれからレストアに挑戦してみたいユーザーにはオススメの1台。

ダックス50 年式:1995年/走行距離:0Km/車両価格:77万円

販売店:有限会社 龍神JAPAN(大阪府堺市)

1995年モデルは発売当時、19万8000円でリリース。写真の物件は走行距離が0Kmの、新車のまま保管されていたお宝車だ。価格は新車時を大きく上回る、プレミア付きの77万円。

ダックス50/70は社外ボアアップキットで15馬力超も可能!

■OWNER:TRICKY’S(4MINIちゃんぷ17より)

地を這うようなロー&ロングスタイルのダックス改。ベースマシンは12V仕様の1995年モデル。フロントはフレームのネック角を変更し、ノーマルステムに100mm延長したフロントフォークを組み合せ。

リアは自作の120mmロングスイングアームにワンオフの280mmリアショックをコーディネイト。ホイールは前後ともGクラフト製10インチ4.0Jで、ハブはノーマルを使用。10インチ4.0Jホイールには、前後とも110-80サイズのミシュランS1をチョイスしている。

エンジンはCD90をベースに、SP武川製スーパーヘッド124ccボア&ストロークアップキットを導入。ミッションは5速に変更。キャブレターは大口径のPWKΦ28を組み合わせ、オイルクーラーを装備するなど、細部に渡りフルチューン。マフラーは排気効率に優れたOVERレーシング製としている。

新型ダックス125の最高出力は9.4馬力。一方、1995年モデルの最高出力は2.6馬力(ともにメーカーカタログ値)。

SP武川製スーパーヘッド124ccボア&ストロークアップキットを組み込んだダックス50/70(キャブレター仕様のホンダ横型エンジン)は、セッティング次第で軽く15馬力(シャシーダイナモによる後輪出力)を叩き出すことでも有名だ。

モンキーやダックスのチューニングショップとしても有名な「エム・キッズ」が手掛けた、排気量106ccにフルチューンしたダックス70改は、後輪出力で15馬力をマーク。(月刊モト・チャンプ/1998年8月号より)

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