利用率は80%以上!どれだけお得? バイク用ETCをおさらい。

国土交通省の発表によれば、2022年9月時点における全国の高速道路のETC利用率は94.1%(乗用車、トラック、バス、バイク等の全車両)。このうちバイクを含む軽自動車は84.5%。単純計算で高速道路を走るバイクは、5台中4台はETCを装着しています。高速道路利用の際、「停車して料金を支払う手間がない」「各種割引が適用される」など、様々なメリットのあるETC。ここではバイク用ETCに関する常識や最新情報、取り付けにかかる費用等をまとめてみました。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
協力:2りんかん https://2rinkan.jp/
※下記価格は2022年12月現在/税込

高速道路の走行時にとっても便利なETC。ETCを利用する最大のメリットは、下記の2点。

1:停車して料金を支払う手間がない(クレジットカード清算となる)
2:休日30%割引、早朝30%や50%割引、深夜30%割引など、現金払いに比べてとってもお得(割引サービスは地域や時期により異なる)

バイクは排気量125ccを超えるモデルであれば、高速道路の利用が可能。バイクで高速道路を走行する場合、最大の“ネック”となるのが、料金所の通過でしょう。

「バイクを料金所の横に停め、グローブを外し、ポケット中の財布から料金を取り出し……」

これらの作業が、滅茶苦茶めんどくさい。またこの場合、後方に支払い待ちの車が渋滞していた日には、本当に申し訳ない気持ちになります。これらの負担をすべて解消してくれるのが、バイク用ETCです。

全国で拡大する「ETC専用入口」

東京都内の首都高速では34ヶ所を「ETC専用入口」に

ETCの普及により、「高速道路を走るにはETCの搭載は常識」「ETCは搭載して当たり前」となりつつあります。例えば東京の中心部を網羅する首都高速道路。

首都高速道路株式会社は、首都高でのETC利用率拡大等の社会情勢の変化を踏まえ、2022年4月から34ヶ所をETC専用入口に。2025年度中までに約9割(160ヶ所)、2030年度頃にはすべてをETC専用入口に拡大していくと発表。

運用開始された34ヶ所の料金所
一ツ橋、滝野川、浦和南(上)、晴海、安行、霞が関(内)、霞が関(外)、代官町、空港西、新宿、初台、幡ヶ谷、護国寺、中環大井南、富ヶ谷、初台南、高松、王子北、四つ木(内)、四つ木(外)、清新町、さいたま見沼、浜町、加平(南)、加平(北)、加賀、新木場(西)、新木場(東)、大井、磯子、木場、横浜駅東口、新山下(上)、新山下(下)

NEXCO西日本は11ヶ所をETC専用化

NEXCO西日本は、管轄内の高速道路料金所のうち、従来は一般料金所だった11ヶ所をETC専用化すると発表。このシステムの変更は2023年春からを予定。NEXCO西日本は今後、標識看板を設置して周知を行う模様です。

運用開始された11ヶ所の料金所
新名神高速道路:茨木千提寺
第二京阪道路:城南宮南(入口)
第二京阪道路:伏見(入口)
第二京阪道路:交野北(入口)
浜田自動車道:瑞穂
高松自動車道:津田東
徳島自動車道:美馬
高知自動車道:伊野
今治小松自動車道:東予丹原
東九州自動車道:都農
長崎自動車道:多久

なお、NEXCO東日本は2025年度までに、125ヶ所中8割程度の料金所をETC専用化すると発表。このように全国の高速道路では、キャッシュレス化&非接触も目的に、ETC専用化を拡大。高速道路の利用においてETCの装着は、必須といえる状況に向かっています。

ETC車載器の補助金キャンペーンも随時実施中

2022年、全国で「ETC/ETC2.0車載器購入助成キャンペーン2022」が実施されました。このキャンペーンは、2022年1月27日〜6月30日の期間中、ETCまたはETC2.0車載器を新規に購入・セットアップ・取り付けを行った人限定で、最大10,000円/台を助成するもの。

また、沖縄県では地域住民限定で、「沖縄県ETC車載器購入助成キャンペーン2022」を実施。こちらは2022年4年8月1日~11月30日の期間中に、ETCまたはETC2.0車載器を新規に購入・セットアップ・取り付けを行った人限定で、最大10,000円/台を助成するキャンペーン。

このようなETC車載器の設置に関する助成金キャンペーンは定期的に行われており、2023年以降も行われる可能性が十分あり。「まだETCを設置していない」「これからETCを導入したい」という人は、今後の情報をチェックしておきましょう。

バイク用ETCの導入方法

バイクでETCシステムを利用するには、「ETCカード」と「ETCカード車載器の取り付け・セットアップ」が必要。「ETCカード」は、クレジットカードの“サブカード”として発行するのが定番。様々なクレジットカード会社からセレクト可能ですが、予算を抑えたい人は、発行手数料&年会費無料のカードを選ぶのがおすすめです。

「ETCカード車載器の取り付け・セットアップ」は、バイクの情報を登録する作業。ITS-TEA(ITSサービス高度化機構)の認可を受けた、下記の表示のあるバイクショップやバイクパーツショップで行うのが鉄則です。認可のないショップ、または個人で取り付け・セットアップを行うことは認められていません。

また、バイクに自動車用ETC車載器を取り付けることもNG。自動車用の車載器は、防水性・防塵性・耐振動性の確保が不十分。もしもバイクに設置した場合、誤作動を引き起こて通信エラーとなり、開閉バーが開かないなどの危険性が高まります。特にバイクはバーに激突した場合、転倒など大事故となる可能性が高く、極めて危険。必ずITS-TEAの認可を受けたショップで作業してもらうことが重要です。

ショップによっては自店で購入したバイク用ETC車載器のみ、取り付け・セットアップを受け付けている場合があるので、「ネットやオークションで安価にETC車載器を入手した」「知人にETC車載器を譲ってもらった」という人は、ショップに取り付け+セットアップのみ可能かどうかを相談してみましょう。

なお、ETC車載器は引っ越しなどで住所が変わり、ナンバープレートが変更になった時。また他のバイクからETC車載器を付け替えた時には、ETC車載器の再セットアップが必要です。

「ETCカード車載器の取り付けとセットアップ」は、必ず上記表示のあるバイクショップやバイクパーツショップで行うことが重要。

ETCカードを用意し、ETC車載器を購入したら、いよいよセットアップ。作業はネイキッドモデルの場合、1時間程度(外装を取り外す必要のあるスクーターはそれ以上)かかるので、電話やネットで必ず事前に予約しておきましょう。セットアップには基本的に下記3点が必要。

・申込書(ショップが用意してくれる)
・250cc未満は軽自動車届出済証、250cc以上は車検証
・運転免許証

ETC車載器の種類

一体型

アンテナ一体型のETC車載器「ミツバ MSC-BE21(20,900円/生産終了)」。本体重量は約172g(本体ケーブル含む)。

アンテナ・インジケーター・カード読み取り機が一体となった、昔ながらのシンプルなタイプ。一体型は配線が単純で取り付けが容易なため、取り付け工賃が安く済むのがポイント。ただしアンテナ分離型に比べ、スペースを取ってしまう。ハンドル周りのフォルムが重くなる。盗難のリスクが高い等のデメリットがあります。

分離型

アンテナ分離型「ミツバ MSC-BE700S」。カードの読み取り機・アンテナ・インジケーターを分離させた3分割タイプ。詳細は下記参照。
カードの読み取り機を分割させ、アンテナとインジケーターが一体になった2分割タイプ。

アンテナ+インジケーターとカード読み取り機を分割した、昨今主流のタイプ。アンテナとインジゲーターを、ハンドル周辺に取り付け。カード読み取り機はシート下などに設置できるため、ハンドル周りがスッキリ仕上がるのが特徴。アンテナ一体型よりも配線が複雑になるため、一般的に工賃はやや高め。なお、アンテナ分離型には、

1:カードの読み取り機・アンテナ・インジケーターを分離させた3分割タイプ
2:カードの読み取り機を分割させ、アンテナとインジケーターが一体になった2分割タイプ

の2タイプあり。

「ETC1.0」と「ETC2.0」の違い

従来のETC1.0に対し、ETC2.0は追加機能を持たせた進化バージョン。具体的には、従来品には不可能だった、高速道路からの一時退出が可能なこと(一部のエリアに限る)。また一部の高速道路では、通常のETC1.0よりも割引率が高い等のメリットもあります。

特に「高速道路からの一時退出」は、インターチェンジ周辺地域への立ち寄りも可能となり(道の駅等の休憩施設への立ち寄りに限る場合が多い)、利用者の利便性向上。また周辺地域の活性化というメリットも生まれます。

ETC2.0は、自動料金支払いだけでなく、全国の道路に設置されたITSスポットを通して集約される、渋滞回避等の経路情報を活用した新しいサービスも予定。混雑状況に応じた動的な料金の導入などのほか、ETC2.0車載器を対象とした、料金割引のさらなる拡大も計画されています。

「旧セキュリティ」のETC車載器は、2030年で使用不可?

ETCの「セキュリティ規格」とは、国土交通省が定めるETC(料金所・車載器・ICカード)について、盗聴・改竄等の不正防止を目的に定められた情報安全確保の規格。昨今の情報機器の能力向上に伴うセキュリティ脅威の増大への備えとして、セキュリティ機能を向上させるために、「新セキュリティ」が規定されました。

「新セキュリティ」以外の「旧セキュリティ」のETC車載器は、2030年を目途に使用不可となる予定。ただし、旧セキュリティに問題が発生した場合は、変更時期が早まる可能性あり。なおETC車載器の新旧は、一般的に車載器管理番号及び識別マーク等により識別可能です。

ETC導入の予算をチェック!

豊富なバイク用パーツやアイテムを販売するショップ「2りんかん」。同ショップがオススメする、最新のETC車載器の価格、セットアップ料金、取り付け工賃をご紹介しよう。

ミツバMSC-BE700S……アンテナ分離型(3分割タイプ)/新セキュリティ(2030年以降も使用可能)/ETC2.0

新セキュリティに対応した、カードの読み取り機・アンテナ・インジケーターを分離させた3分割タイプ。走行の邪魔にならないよう、GPSアンテナとETCアンテナを一体化。高速道路上の緊急情報や注意警戒情報をインジケーターの点滅で通知し、安全・快適運転をサポート。過酷な条件に設置されるアンテナとインジケーターは、 防水・防塵規格の最高条件となる「IP68」「IP66」を達成。カードの有効期限切れは、GPSデータ受信時にアンテナのLED点滅で知らせてくれます。

価格表ネイキッドオフ車・アメリカンカウル付き・スクーター
合計価格37,840円41,140円44,440円
本体価格25,850円25,850円25,850円
セットアップ料金2,750円2,750円2,750円
取り付け工賃9,240円12,540円15,840円

【主な仕様】
◎タイプ:アンテナ分離型(3分割タイプ)
◎セキュリティ規格:新セキュリティ(2030年以降も使用可能)
◎種類:ETC2.0

防水・防塵性:IP68、IP66(本体部・コネクター部はIP55)
車載器本体寸法:W81 × H22 × D112.5 (㎜) ※突起部除く
車載器本体重量:約150g
電源ケーブル:約1m
アンテナ部寸法:W40 × H15.8 × D44 (㎜) ※突起部除く
アンテナ部重量:約22g
アンテナケーブル:約2m
インジケーター寸法:W13 × H13 × D40 (㎜)
インジケーター部重量:約7g
インジケーターケーブル:約2m
電圧:DC12V専用
動作温度:-20℃〜85℃ (ETCカードは除く)
消費電流:80mA(待機時)
公式HP:https://www.mskw.co.jp/motorcycle/etc/be700s

ミツバMSC-BE61W……アンテナ分離型(3分割タイプ)/新セキュリティ(2030年以降も使用可能)/ETC1.0

ETCカードはスライド挿入式を採用。

新セキュリティに対応した、カードの読み取り機・アンテナ・インジケーターを分離させた3分割タイプ。種類は標準版のETC1.0。狭い場所でもETCカードを簡単にセットできるよう、スライド挿入式を採用。インジケーターは目立つことなく取り付けできる、スリムタイプに設計。

価格表ネイキッドオフ車・アメリカンカウル付き・スクーター
合計価格33,770円37,070円40,370円
本体価格21,780円21,780円21,780円
セットアップ料金2,750円2,750円2,750円
取り付け工賃9,240円12,540円15,840円

【主な仕様】
◎タイプ:アンテナ分離型(3分割タイプ)
◎セキュリティ規格:新セキュリティ(2030年以降も使用可能)
◎種類:ETC1.0

防水・防塵性:IP55
車載器本体寸法:W81 × H22 × D112.5 (㎜) ※突起部除く
車載器本体重量:約140g
電源ケーブル:約1m(本体 約0.3m、付属ケーブル 約0.7m)
アンテナ部寸法:W33 × H12.8 × D38.8 (㎜) ※突起部除く
アンテナ部重量:約15g
アンテナケーブル:約2m
インジケーター寸法:W13 × H13 × D40 (㎜)
インジケーター部重量:約7g
インジケーターケーブル:約2m
電圧:DC12V専用
動作温度:-20℃〜85℃ (ETCカードは除く)
消費電流:80mA(待機時)
公式HP:https://www.mskw.co.jp/motorcycle/etc/be61w

ミツバMSC-BE61……アンテナ分離型(2分割タイプ)/新セキュリティ(2030年以降も使用可能)/ETC1.0

ETCカードはスライド挿入式を採用。

新セキュリティに対応。カードの読み取り機を分割させ、アンテナとインジケーターが一体になった2分割タイプ。種類は標準版のETC1.0。狭い場所でもETCカードを簡単にセットできるよう、スライド挿入式を採用。アンテナ+インジケーター部は、見やすい緑色のLEDにより、ETC車載器の状態を知らせてくれます。

価格表ネイキッドオフ車・アメリカンカウル付き・スクーター
合計価格31,790円35,090円38,390円
本体価格19,800円19,800円19,800円
セットアップ料金2,750円2,750円2,750円
取り付け工賃9,240円12,540円15,840円

【主な仕様】
◎タイプ:アンテナ分離型(アンテナとインジケーターは一体型の2分割タイプ)
◎セキュリティ規格:新セキュリティ(2030年以降も使用可能)
◎種類:ETC1.0

防水・防塵性:IP55
車載器本体寸法:W81 × H22 × D112.5 (㎜) ※突起部除く
車載器本体重量:約140g
電源ケーブル:約1m(本体 約0.3m、付属ケーブル 約0.7m)
アンテナ&インジケーター部寸法:W33 × H12.8 × D38.8 (㎜) ※突起部除く
アンテナ&インジケーター部重量:約15g
アンテナ&インジケーターケーブル:約2m
電圧:DC12V専用
動作温度:-20℃〜85℃ (ETCカードは除く)
消費電流:70mA(待機時)
公式HP:https://www.mskw.co.jp/motorcycle/etc/be61

日本無線JRM-21……アンテナ分離型(3分割タイプ)/新セキュリティ(2030年以降も使用可能)/ETC2.0

挟み込み型のETCカード収納スペースを採用。

新セキュリティに対応した、カードの読み取り機・アンテナ・インジケーターを分離させた3分割タイプ。アンテナはハンドル周りのスペースを考慮し、ETCアンテナとGPSアンテナを一体化したコンパクトタイプ。しっかりとロックできる、挟み込み型のETCカード収納スペースは、バイク用の厚手のグローブを装着したままでも開閉可能。防水パッキンにより、最高峰の防水機能「IP66/IP67」を獲得。独自のフルシールド・ハウジング機構と、防水パッキン一体型のカードリーダーを採用しているため、閉めている時はもちろん、開けている時もしっかり防水してくれます。

価格表ネイキッドオフ車・アメリカンカウル付き・スクーター
合計価格38,170円41,470円44,770円
本体価格26,180円26,180円26,180円
セットアップ料金2,750円2,750円2,750円
取り付け工賃9,240円12,540円15,840円

【主な仕様】
◎タイプ:アンテナ分離型(3分割タイプ)
◎セキュリティ規格:新セキュリティ(2030年以降も使用可能)
◎種類:ETC2.0

防水・防塵性:IP66/IP67
車載器本体寸法:W110 × H24 × D83 (㎜)
車載器本体重量:約190g
電源ケーブル:約1m
アンテナ部寸法:W41 × H13 × D37 (㎜)
アンテナ部重量:約56g
アンテナケーブル:2m
インジケーター寸法:W15 × H15 × D45.5 (㎜)
インジケーター部重量:約8g
インジケーターケーブル:2m
電圧:DC12V専用
動作温度:-20℃〜85℃ (ETCカードは除く)
消費電流:-
公式HP:https://www.jrc.co.jp/

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