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ホンダ・ズーマー(北米名:Ruckus)は2001年モデルから2012年モデルまで日本で販売された49ccの原付スクーター(北米では現在も販売中)。既存のスクーターのフォルムを覆した、これまでにない斬新なスタイリングが特徴。シート下の荷物収納スペースにスケボーが積載できるなど、若者を中心に高い人気を誇った。
街乗りはもちろん、カスタムベースとして絶版後も人気が衰えることのなく、ズーマーのカスタムは、日本や北米を中心に発展。2023年現在もカスタムパーツは各メーカーから発売中だ。北米では特にドルビーワークス等のアルミホイールの人気が高く、国内で装着している人も多い。
排気量49ccであるズーマーカスタムの定番は、パワフルな「GY6(125ccや150cc)」へのエンジンスワップ
ズーマーの型式は「AF58」。これに加え、「GET」という識別コードがある。ズーマーの純正エンジンには、「GET」の識別コードが刻印。初代は「GET1」、次モデルは「GET2」、インジェクションモデルは「GET3」に分けられる。
ズーマーの定番カスタムは、ノーマル49ccからパワフルな他車用に載せ替える「エンジンスワップ」。メジャーなのは、識別コード「GY6」のエンジンに載せ替える手法。「GY6」とは、中国製のホンダ系コピーエンジンのことで、排気量は125ccや150ccとなっている。
「GY6」は価格の安さ、入手のしやすさ、載せ替え時の加工も比較的容易で、コンパクトな車体のズーマーとの相性も良好。これによりGY6へのスワップは、ズーマーカスタムの本場・アメリカでも高い人気を誇る。
エンジン載せ替えトレンドは「ホンダPCX125/150用」
車体とエンジンが同一メーカーではなくても気にしないユーザーの場合、ヤマハのシグナスX用エンジンやグランドアクシス用エンジンのスワップも定番。ただしズーマー+シグナスX用エンジンや、ズーマー+グランドアクシス用エンジンの組み合わせは、両者の構造上、ワイドホイールを導入しにくいのがネック(一般的に4.0~4.5J前後が限界)。
そのため、昨今ではワイドホイールも履ける「ヤマハBW’S125用エンジン」。また、中古車市場のタマ数も増え、中古価格も安定してきた「ホンダPCX125/150用エンジン(8.0J前後までOK)」をスワップするカスタムの人気が高まっている。
ホンダ ズーマー+ホンダ PCX125/150用エンジンの組み合わせが人気の理由。それはワイドホイールが履けること。車体とエンジンが同メーカーであること。(一般的にバイクのカスタマーは、同メーカーにこだわるユーザーが多い)。車体とのマッチング性が良好なこと。ノーマルのズーマーと同様、高性能な水冷式であることだ。
PCX125/150用エンジンに比べ、BW’S125用エンジンは総体的に中古の市場価格が安価。ただし載せ替え時の加工に手間がかかる。またエンジン周りのサイズがPCX125/150用よりも大きいため、全体的に収まりが悪い等のデメリットも発生する。
一方、コンパクトなPCX125/150用エンジンは、低燃費でクリーンな「eSP」を採用。また小柄な原付スクーターであるズーマーとのバランスも良く、アイドリングストップ機構等を備えているため、驚くほどの低燃費性能を発揮するのが大きなメリット。
PCX125/150用エンジンに載せ替えるには、社外品のエンジンハンガーを使用するのが定番で、ボルトオン&ワイドホイールを組めるTOKYOPARTS製エンジンビレットマウントキットが用いられる場合が多い。
ズーマーのカスタム費用はHow Much?(おいくら?)
TOKYOPARTSでの最近のトレンドは、同社のエンジンハンガーを使い、PCX125/150用のエンジンを組み合わせること。これにワイドホイール&ワイドタイヤを導入するのが人気の手法だ。
中古であるエンジンや駆動系は、基本的に一度全バラにしてオーバーホールし、消耗した部品はすべて交換。また、駆動系ドリブン側、セカンダリー内の片面式ベアリングを両面式に変更するなど(純正の場合、走行距離~8000km程度でガタがきて異音が発生する場合あり)、細部まで徹底的に再生(オーバーホールの内容は要問い合わせ)。
写真下の美しいズーマーカスタムは、PCX用エンジンを搭載し、リアに人気のワイドホイールを装着。前後のブレーキやサスペンションは徹底強化されており、価格は150万円~(車両代込み)。なおブレーキ、サスペンション、ホイールなどのブランド、外装パーツの内容、塗装方法等により価格は大きく前後する。
TOKYOPARTSにてカスタムを依頼する際の、「少しでも予算を抑えたい!」という時の一例は、
・車両あらかじめ用意して持ち込むこと(程度の良い、インジェクション車が理想的)
・装着可能なホイールの持ち込み(要サイズ&組み合わせ確認の上)
TOKYOPARTSではフルコンプリート車両を購入するよりも、「昔からズーマーを持っていた」「知人から安価でズーマーを譲ってもらった」という車両持ち込みのお客さんが多数。 また、モンキー・ゴリラのカスタムと同様、予算に合わせてコツコツと仕上げていくユーザーが増えているのも特徴だ。
完成したコンプリート車をドンっと一括購入するのもアリだが、少しずつ自分流のズーマーに近付けていくのも、今時のトレンド。モンキー・ゴリラのような「コツコツとカスタム型」も、今流行のズーマーカスタムといえるだろう。
ズーマーカスタム 製作:TOKYOPARTS(東京パーツ)
TOKYOPARTSの「PCXエンジン ビレットマウントKIT(PCX125&150対応)」を組み込み、ホンダPCX用エンジンをスワップ。ショート型フロントフォークを組み合わせ、地を這うようなロー&ロングスタイルに仕上げている。
エンジンは燃焼室内に亜酸化窒素を送り込むことで驚異的な加速を発揮する、ドラッグレースの定番「NOS(ナイトラス・オキサイド・システム)」を採用。亜酸化窒素が密封された青色のボンベは、フットレストスペースに設置されたサブフレームの下にレイアウト。
ハンドルはTOKYOPARTSの「セパレート ハンドルベース キット」を使い、レーシーなフォルムを演出。前後のディスクブレーキは、キャリパーにブレンボ製カニ型を採用。
オシャレなデザインのリアホイールは、超ワイドなPCX用12インチ7Jサイズの「Hurricane wheel For PCX 」を導入し、極太の130/70-12タイヤを組み合わせ。フロントは12インチキャストホイールに110/60-12タイヤをコーディネイト。
ヨシムラジャパン製マフラー、3連のプロジェクターヘッドランプ、カーボン製フロントフェンダー、肉薄のスライスシートなど、ズーマーのフォルムを活かしたアイテムが随所に投入されている。