ハンドルとシートが格納できる“箱型”コミューターのモトコンポ。車載を想定したコンパクトな車体設計と乾燥重量42kgという軽さも相まって、レジャーバイクとして高い認知度を誇る原チャリだ。
さてそんなモトコンポの稀有な専門ショップが東京都町田市にあるSUBARM(サブアーム)である。数回にわたって同ショップが手掛けたカスタムマシンを紹介していこう。
まず第1弾は、アメリカで有名な洗濯洗剤Tide(タイド)のグラフィックを纏った一台。米国のカーレース「NASVAR」へ参戦する車両も実在し、それをモチーフにしたこの車両は、言うなれば「NASCOMPO」だ!
2019年の「YOKOHAMAホットロッド・カスタムショー」にも出展され、2022年には環七沿いの「UNITEDcafe(ユナイデットカフェ)」にて特別展示されるなど何かと話題がことかかないマシンでもある。
コンセプトは単純明快で、「とにかくカリカリまでやってみよう」というメニューとなっており、限界までカスタム&チューニングが施されている。
まずエンジンはランナー50用をベースに、Stage6製ヘッドで水冷化しつつ70㏄までスープアップ。クランクは高回転まできっちりと回せるよう、純正同寸の強化タイプをワンオフ。これに軽量ローター、HP製 そして2マップを切り替えできるデジタルCDIを採用し、まさにレーシングスペックと言える心臓を手にしている。
吸排気系も抜かりがなく、こちらもStage6製のミナレリエンジン用チャンバーをセット。注目のキャブレターは、米国SMART CARB(スマートカーブ)のφ28サイズをチョイス。これは主にモトクロッサーなどで採用される負圧キャブで、工具を使わずにニードルの位置を素早く調整できるクリックシステムを採用。アルミ削り出しボディと高品質&ハイパフォーマンスが自慢で、日本円だと10万円~はするハイエンドな代物なのだ。
これらを綿密に組み合わせたパワーユニットは、優に純正(2.5ps)の数倍のパワーを獲得しているに違いない!
もちろん車体周りも見どころだ。フロント足周りはRRGS製ズーマー用フォークに、DJ・1の丸穴8インチホイールをセット。ディスクブレーキ化を見越してJOG ZRハブを加工流用している。
リヤ足周りもDJ・1用の鉄ホイールではあるが、YSKさんフィールドで加工して大幅にワイド化。DURO製の芝刈り機用タイヤ(18×8.50)を組み込んでファットに仕上げつつもカウル幅にピッタリと収めているため、違和感が少なくまとまりがあるスタイルとなっているのはオミゴト!
さらに、リヤショックはドイツのWILBERS(ウィルバース)製BMW K1600用を採用し、スプリングは台湾、GEARS(ギヤーズ)製をショート加工して変更済み。高性能ブランド同士を掛け合わせて車体にマッチングさせている。
このサスペンションは車体中央部にレイダウンさせてマウントさせ、これに伴い燃料タンクを後方に移設させている。フレームについては、ただでさえ“弱い”と言われるモトコンポゆえ、トラス構造にして強度を高めて剛性アップ! 普段はカバーに隠れて見えないが、中身はイタリアンレーサー(?)さながらのスポーティな作りなのだ。
モトコンポらしさは一切損なわず、ガッチリ&カリカリに鍛え上げられた「NASCOMPO」は世界最高峰のカスタム車と言っても過言ではないだろう。次回のサブアーム製カスタム車もお楽しみに!
(問)SUBARM tel:050-6882-3840 https://www.subarm.jp/