目次
キャンツー向きバイクの条件とは?
まず、どんなバイクがキャンプツーリングに向いているかを紹介する。ポイントは、以下の通りだ。
・積載性が良い
テントやシュラフに調理用品など、キャンプに必要な荷物は意外に多い。クルマと比べると、車体が小さいバイクの場合は、持っていく荷物も厳選する必要があるが、それでもやはり、ある程度は積載性の高いバイクの方が重宝する。
特に、リヤシートがフラットで座面も広ければ、荷物を積載する時の安定性もいいし、より大きな荷物も積みやすい。加えて、キャリアや荷掛フックなどを標準装備しているバイクの方が、積載物を固定しやすく、キャンツーには最適だといえる。
・航続距離が長い
キャンプ場といえば、人里離れた場所にあることも多く、周辺にはガソリンスタンドすらないケースもある。
特に、長距離を走るツーリングでは、やはり燃費がよくて、燃料タンクもできるだけ大容量のモデルの方がベター。できるだけ、航続距離が長いモデルを選ぶ方がいい。
・多少のダートを走れる走破性
キャンプ場内はもちろん、アクセスする周辺の道には、未舗装路がある場所も多い。そう考えると、選ぶバイクもダート走行性能がある程度高いモデルの方が安心だ。また、ライディングポジションも、スーパースポーツなど前傾がきついモデルより、バーハンドルを装備し、アップライトなポジションになるモデルの方がいい。
特に、最近流行っているアドベンチャーモデルなど、オン・オフ両方の道で快適に走ることができるバイクは最適な選択肢のひとつだといえるだろう。
・排気量はスキルや経験も考慮して選ぶ
一般的に、大排気量のバイクの方が燃料タンクも大きく、航続距離は長いし、車体が大きいために荷物の積載性も高いといえる。だが、例えば、キャンプ場周辺にあるダート道を走る場合などには、車体が重い分、ある程度のスキルも必要だ。
特に、バイク免許を取ったばかりの初心者などで、ダート走行の経験が少ないライダーの場合、大排気量バイクにたくさんの荷物を積んだことで、より車体が重くなっていると、未舗装路でバランスを崩しやすく、立ちゴケしたり、転倒するリスクも高くなる。
もちろん、オフロード走行にも慣れているベテランライダーなどなら、大排気量モデルでもいいだろう。だが、初心者などには250ccモデルなど車体の軽いモデルの方が、安全・安心にキャンツーを楽しめるケースも多い。
そうした軽二輪バイクは、大型モデルと比べて足着き性も比較的いい場合が多いので、もし、バランスを崩しても立ち直しやすい。さらに、もし仮にうっかり立ちゴケなどをしても、車体が軽いから引き起こしもしやすい。
それは、久しぶりにバイクに乗るリターンライダーも同様だ。特に、筆者のように50代後半であれば、自分が思っている以上に体力は衰えていることも考えられる。何事も無理は禁物で、自分のスキルや体格、体力などに応じたモデルを選ぶ方がいいといえる。
おすすめ1:スズキ・Vストローム250SX
ここからは、上記のような条件を満たした、おすすめの最新モデルを紹介してみる。まずは、スズキが2023年8月24日より国内販売を開始した軽二輪の新型アドベンチャーツアラー「Vストローム250SX」だ。
すでに、インドで販売している250ccモデルの国内仕様として登場したのがこのモデルだ。1050ccや800cc、650ccなど、豊富なラインアップを誇るスズキVストローム・シリーズに属するバイクで、250ccクラスでは、以前から「Vストローム250」をラインアップしているが、新型では軽量コンパクトな油冷単気筒エンジンを採用する(併売する従来モデルは2気筒エンジン搭載)。
また、従来モデルが前後17インチホイールを採用しているのに対し、新型SXでは前19インチ/後17インチホイールを装備。オフロードでの走破性をアップさせている点で、よりキャンツー向きのモデルといえるだろう。シリーズ共通の「クチバシ」デザインなどによる、冒険心をくすぐるタフなイメージも魅力だ。
<主要諸元>
■全長2180mm×全幅880×全高1355各mm)■シート高:835mm■車両重量:164kg■249cc・油冷4ストローク単気筒■最高出力:19kW(26PS)/9300rpm■最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7300rpm■燃料タンク容量:12L■燃費:WMTCモード値34.5㎞/L■価格(税込):56万9800円
おすすめ2:カワサキ・ヴェルシスXツアラー
お次は、カワサキの「ヴェルシスXツアラー」。こちらも軽二輪のアドベンチャーモデルで、エンジンには、初心者からベテランまで、幅広いライダーが扱いやすい248cc・2気筒を搭載する。
また、ロングストロークのフロントサスペンションとリンク式のリヤサスペンションは、軽量な車体と組み合わせることで、オンロードからオフロードまで、様々な路面状況で高い安定性を誇っている。
ホイールには、フロント19インチ、リヤ18インチのスポークタイプを採用。マルチパーパスタイプのチューブタイヤを装着することで、ストリートだけでなく、キャンプ場などにあるライトな未舗装路などでも高い走破性を実現する。
さらに、注目は、パニアケースを標準装備することで、荷物の積載性が高いこと。キャンツーはもちろん、通常のツーリングでも、より快適に楽しむことができる工夫がなされている。
<主要諸元>
■全長2170×全幅940×全高1390(各mm)■シート高:815mm■車両重量:183kg■248cc・水冷4ストローク並列2気筒■最高出力:24kW(33PS)/1万1500rpm■最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/10000rpm■燃料タンク容量:17L■燃費:WMTCモード値24.8㎞/L■価格(税込):72万6000円
おすすめ3:ホンダ・CT125ハンターカブ
ロングセラーのビジネスバイク、ホンダ「スーパーカブC125」の兄弟車で、アウトドアにも対応した装備が魅力の「CT125ハンターカブ」。原付二種モデルなので、高速道路の走行こそできないが、下道ツーリング派などには絶大な人気を誇るモデルだ。
主な特徴は、CT125スーパーカブをベースに、前後スポークホイール、110mmのストローク量を持たせたフロントフォーク、アップマフラーやアンダーガードなどを採用すること。市街地走行から郊外へのツーリング、林道でのトレッキングなど、幅広い走行状況に対応した装備を持つ。
また、124ccの空冷単気筒エンジンには、クラッチの操作がいらない自動遠心クラッチを採用。シート高800mmという足着き性のよさや、趣味の道具もたっぷり積める横幅409mm×前後477mmという大型サイズのリヤキャリアなども魅力だ。
<主要諸元>
■全長1965×全幅805×全高1085(各mm)■シート高:800mm■車両重量:118kg■123cc・空冷4ストロークOHC単気筒■最高出力:6.7kW(9.1PS)/6250rpm■最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/4750rpm■燃料タンク容量:5.3L■燃費:WMTCモード値63.7㎞/L■価格(税込):44万円
おすすめ4:ヤマハ・テネレ700
250ccバイクなどでは、高速道路での走りなどは者足りないが、1000ccを超える大型モデルに乗るのはちょっと自信がない。そんなライダーにおすすめなのが、700ccの2気筒エンジンを搭載するアドベンチャーモデル、ヤマハの「テネレ700 ABS(以下、テネレ700)」だ。
1970年代に世界で最も過酷なラリーといわれるパリ・ダカールラリー(現在のダカールラリー)へ参戦していたヤマハのワークスマシン「XT500」を祖とするのがこのモデル。そのノウハウを注入し、1983年に発売された市販車「XT600テネレ」を源流とするロングセラーの市販ビッグオフロードマシンだ。
2019年に登場した現行のテネレ700は、最高出力73ps、最大トルク6.9kgf-mを発揮する2気筒エンジンを搭載。豊かな低中速トルクと伸びやかな高回転をあわせ持つことで、オフロードでのファンライディングとオンロードでの扱いやすさを両立している。
また、足まわりには、フロント21インチ/リヤ18インチの軽量アルミ製ホイールを装備。ストローク量210mmの径43mm倒立式フロントサスペンションや、専用設計のリンク式モノクロス・リヤサスペンションなどの採用により、悪路などでの高い走破性を体感できる。
その2024年モデル(2023年9月28日に発売予定)では、多様な情報をひと目で読み取れる5インチカラーTFT採用の新メーターを採用。前後ブレーキには、新しく3モードABSを装備し、前後オン・オフ切替え機能を備えると共に、新たにリヤのみオフにすることも可能となり、路面状況などに応じたABSの制御選択ができるようになっている。
ほかにも、スマートフォンなど電子製品の充電などに便利なUSBソケットも標準装備することで、より使い勝手も向上している。
<主要諸元>
■全長2370×全幅905×全高1455(各mm)■シート高:875mm■車両重量:205kg■688cc・水冷4ストローク直列2気筒■最高出力:54kW(73PS)/9000rpm■最大トルク:69N・m(6.9kgf・m)/6500rpm■燃料タンク容量:16L■燃費:WMTCモード値23.8㎞/L■価格(税込):139万7000円
おすすめ5:ホンダ・XL750トランザルプ
ホンダが、2023年5月に発売した新型のオン・オフ両用マシンが「XL750トランザルプ」だ。
ホンダのラインアップには、1082cc・水冷直列2気筒エンジンを搭載するアドベンチャーモデル「CRF1100Lアフリカツイン」もあるが、足着き性がいいなどで、より幅広いライダーに対応しているという点では、このモデルの方がキャンツー向きかもしれない。
1987年に登場した583cc・V型2気筒エンジン搭載の「トランザルプ600V」を元祖に持つのがこのモデルだ。新型のXL750トランザルプでは、エンジンに軽量コンパクトで高出力な新開発の754cc・水冷直列2気筒を搭載する。
最高出力91ps/最大トルク7.6kgf・mを発揮するエンジンは、低・中回転域でパルス感のある力強いトルクにより、オフロードでも扱いやすい特性を実現。また、高回転域でのスムーズな吹け上がりも両立することで、高速道路などの合流などでも余裕ある加速感を味わえる。
足まわりでは、ショーワ製SFF-CA倒立フロントフォークや、プロリンク式リヤサスペンションをマッチング。市街地から未舗装路までオールラウンドで快適な乗り心地を実現している。
さらに、最新のコネクティッド機能にも対応。車両とスマートフォンをBluetoothで連携することで、ハンドルスイッチや音声入力によりマップや音楽再生、通話などの操作を可能とする「HSVCS(Hondaスマートフォン・ボイスコントロール・システム)」を装備する。
ほかにも、、防風性能と空力性能を兼ね備えた大型ウインドスクリーンや専用のアルミリアキャリアなどを標準装備することで、ロングツーリング時の高い快適性や利便性も誇る。
<主要諸元>
■全長2325×全幅840×全高1450(各mm)■シート高:850mm■車両重量:208kg■754cc・水冷4ストローク直列2気筒■最高出力:67kW(91PS)/9500rpm■最大トルク:75N・m(7.6kgf・m)/7250rpm■燃料タンク容量:16L■燃費:WMTCモード値22.8㎞/L■価格(税込):126万5000円
このように、一口にキャンツー向きモデルといっても、原付二種から250cc、700ccや750ccなど、さまざまな排気量のモデルがある。自分には、どんなバイクが向いているのかは、先述した通り。自分のスキルや体格、年齢などを考慮しつつ、より長距離を走り、腕にも自信があるのであれば大排気量モデル、まずは軽いバイクから始めるなどであれば、原付二種や軽二輪といった感じで選ぶといいだろう。