これぞニッポンの技術力!SHOWAが最新の電子制御リアショックを発表。超小型化したECUをサスペンション本体に一体化【EICMA2023】

ショーワ・イーラ Gen2は小型化したECUをサスペンションに一体化することで、別体のECUを搭載することなく電子制御化を実現。また減衰力を可変するバルブを改良し、第一世代よりも広範な減衰力の可変幅を可能にした。
「NISSIN」「KEIHIN」「SHOWA」の各製品ブランドを展開(2020年に経営統合)する、四輪車と二輪車の新技術・先進技術カンパニー「日立Astemo」。日立Astemoは2023年11月8日~11月13日にイタリア・ミラノで開催された世界最大のモーターサイクルショー「EICMA(エイクマ)」において、ライトモーターサイクルやスクーターもターゲットにした独自の電子制御サスペンションシステム『SHOWA EERA(ショーワ・イーラ/Electronically Equipped Ride Adjustment ) 』の第二世代を発表。第二世代の『ショーワ・イーラ Gen2』は小型化したECUをサスペンション本体に一体化。別体のECUを搭載することなく、超コンパクトに電子制御化を実現している。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

SHOWA(ショーワ) EERA(イーラ/Electronically Equipped Ride Adjustment)Gen2……参考出品

第二世代となる「ショーワ・イーラ Gen2」は小型化したECUをサスペンションに一体化することで、別体のECUを搭載することなく電子制御化を実現。
第二世代となる進化した「ショーワ・イーラ Gen2」装着車。

小型化したECUをサスペンションに一体化!別体のECUを搭載することなく電子制御化を実現して低コスト化を実現

第一世代の「SHOWA EERA(ショーワ・イーラ/Electronically Equipped Ride Adjustment)」は、慣性測定ユニットのIMU(Inertial Measurement Unit))とサスペンションストロークセンサーが計測した走行中の車両データをもとに、サスペンションの減衰力を可変するアクチュエーターを制御するサスペンション制御用ECUを別体に搭載。

今回、EICMA2023で発表された第二世代の「ショーワ・イーラ Gen2」は、超小型化したECUをサスペンション本体に一体化することで、別体のECUを搭載することなく電子制御化を実現。また減衰力を可変するバルブを改良し、第一世代の「ショーワ・イーラ」よりも広範な減衰力の可変幅を可能にしている。

ショーワ・イーラの最大の特徴は、サスペンション本体にストロークセンサーを内蔵していること。これによりサスペンションの状態を正確に把握し、的確な減衰力を提供することができる。

第二世代となるショーワ・イーラ Gen2は、センサーと減衰力制御バルブの構造を改良することで、小型軽量化とともに製造コストの低減を実現。大衆車や小排気量車を含めた、幅広いカテゴリーへの搭載が可能となった。

低コスト化の大きな理由は、従来のストロークセンサコイルの機能をフレキシブル基板によって達成。また各サスペンションユニットへの指令を行っていたサスペンション制御用ECUを小型化し、サスペンションユニットを一体化して材料費を抑制したこと。これらにより、搭載スペースに制限があった小排気量車への搭載を可能にしたほか、前後サスペンションユニット単体での電子制御化も容易にした。

ショーワ・イーラ Gen2装着車。

製造コスト低減で、小型車や大衆車への電子制御リアショック化を容易に!

EICMA2023の展示車両は、電子制御サスペンションの効果を最大限発揮できる最小パッケージの一例として、小排気量車をベースにリアサスペンションユニットのみをショーワ・イーラ Gen2に交換。

ショーワ・イーラ Gen2は、サスペンションと一体化した小型ECU内に小型GGセンサー(加速度計)を搭載することで、ストロークセンサーを廃止しても簡易的に車体状況を測定することが可能となった。

それによりライトモーターサイクルやスクーターなど、コスト競争力が求められる大衆向けの小排気量車でも、比較的容易に電子制御化の採用を実現。また新型ストロークセンサーを搭載することで、より緻密な制御が求められる大型車両やスポーツ車両にも対応。より幅広い車両カテゴリへの適用を可能にした。

ショーワ・イーラ Gen2に採用されている新構造のバルブは、部品点数を減らすとともに、第一世代よりも広い減衰力の可変幅を実現。その広範な可変幅の中から、プログラムを変更することで、ライトモーターサイクルからスポーツスポーツモーターサイクルまで、車両キャラクターに合わせた最適な減衰力特性を引き出すことに成功。走行性能と走行安全性を向上させているのがポイントだ。

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