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Concept Mercedes‑AMG PureSpeed
ハミルトンとラッセルも登場
メルセデス AMGは、F1モナコGPのコースに隣接する、モンテカルロのヨットハーバーにおいて、息を呑むような美しさを讃えた2シータースポーツ「コンセプト メルセデス AMG ピュアスピード」をワールドプレミアした。ルーフもウィンドスクリーンも排されオープン2シーターは、1950〜1960年代のレーシングカーをオマージュしている。
コンセプト メルセデス AMG ピュアスピードは、メルセデス・ベンツが展開する限定モデル「ミトス(Mythos)」シリーズ第1弾を予告しており、2025年にも生産仕様が発表される予定。250台のみが限定製造され、限られたカーエンスージアストがそのステアリングを握ることができるという。
今回のワールドプレミアは、メルセデスAMGペトロナスF1チームのレーシングドライバー、ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルも参加。イベントに登場したメルセデス AMGのマイケル・シーべCEOは、コンセプト メルセデス AMG ピュアスピードについて次のようにコメントした。
「コンセプト メルセデス AMG ピュアスピードは、よりダイレクトにパフォーマンスとドライビングプレジャーを体験することができる車両として開発されました。ルーフもウィンドスクリーンもなく、2名のパッセンジャーを外界から隔てるものは一切ありません。光、空気、情熱を五感で感じることができるのです」
「そして、少量限定生産される『ミトス・シリーズ』初のコンセプトカーとして、最高レベルのエクスクルーシブも体現しています。ヘイロー(HALO:頭部保護デバイス)」を思わせるデザイン要素は、F1マシンをイメージしました。つまり、今回のモナコGPほどワールドプレミアにふさわしい場所はないのです」
ヘイロー・システムと専用ヘルメットを用意
コンセプト メルセデス AMG ピュアスピードのハイライトのひとつが、従来のAピラーに代わるヘイロー・システムの導入だろう。この頭部保護エレメントは、2018年シーズン以降、すべてのF1マシンに搭載され、アクシデントの際にドライバーの頭部を保護。最新F1マシン同様、コンセプト メルセデス AMG ピュアスピードに搭載されたヘイロー・システムも、車体に直接固定された専用ブラケットで構成される。
また、メルセデス AMGは、このモデルのために専用設計された2つのヘルメットも用意。ヘイロー・システムと統合され、エアロダイナミクスに最適化されたヘルメットにより、ドライバーとパッセンジャーには、ルーフ、ウインドスクリーン、サイドウィンドウに邪魔されることなく、F1マシンを思わせるような視界を楽しむことができる。
また、コクピットには専用カラーと装備コンセプトを導入。ダッシュボードには、メルセデス AMGのウォッチパートナーでもある「IWCシャフハウゼン(IWC Schaffhausen)」がデザインした専用ウォッチが配置される。
エアロダイナミクスを追求したエクステリア
コンセプト メルセデス AMG ピュアスピードは、極めて低いシルエットを持つハイパフォーマンスカーとして開発。車体下部には、シャープにカットされたカーボンファイバー製パーツが奢られ、車体上部の官能的で丸みを帯びたフォルムと強いコントラストを形成する。
フロントセクションは、ロングノーズとシャークノーズを組み合わせたデザインを採用。メルセデス AMG ONEを思わせるエクステリアは、「AMG」の文字が入れられたロワエアインテークと、ノーズのクロームメッキが施されたスリーポインテッドスターがあしらわれた。ボンネットのセンター部にはエアアウトレットが設けられ、フロントとサイドのディフレクターと組み合わせることで、コクピットへとフレッシュエアを導く効果が与えられている。
前後ホイールカバーには、カーボンファイバー製クラッディングが施されており、リヤホイールカバーはエアロダイナミクスを向上させるため、完全に閉じられた。一方、フロントホイールカバーに関しては、ブレーキ冷却とダウンフォースレベルを最適化するため、エアフローが効率的に通過するようオープン化されている。
かつてのレーシングカーをオマージュ
シート後方に配された2基のフライングバットレスは、スターリング・モスとデニス・ジェンキンソンが1955年に開催されたミッレミリアにおいて、公道での平均スピード157km/hという驚異的な記録を樹立して優勝した「300 SLR」をオマージュした。
エクステリアカラーは、ル・マン・レッドからグラファイトグレーへのグラデーションし、こちらは1924年にシチリアで開催されたタルガ・フローリオにおいて優勝したメルセデス製レーシングカーのカラースキームに由来している。当時、ドイツ製レーシングカーは伝統的にホワイトだったが、地元ファンがレースの進行を妨げないよう、ノーズをレッドにペイントしていた。
また、今回ボディサイドに配されたレーシングナンバー「10」は、100年前のタルガ・フローリオ優勝車を引き継いでいる。